20話 出発
「本当にもう動けるのか?」
「はい、特に問題はなさそうです」
「その空を飛ぶ魔方具の使用も?」
「大丈夫そうです。この通り」
大丈夫どころか、前よりもかなり使いやすいくらいだ。
感覚がフィットする感じだ。
自分の能力を認識したからか?
「確かに、問題は無いようだな。ならば、魔晶獣が増える前にこの地を離れるとしよう」
増える?
どういうことだ?
「あの鳥みたいな化け物は増えるのですか?」
「ああ、正確には生産される」
「生産? あれは生物ではないのですか?」
「違うな。見た目や動きは生物に近いが、やつらは魔力によって作られた兵器だ」
作られた兵器。
ってことはあの怪物もロボットみたいなものなのか?
「この街でひときわ大きな声をあげていたヤツがいただろう?」
「はい」
「あいつが魔晶獣を作る工場だ」
工場?
「あれが化け物を作る生産工場だと? ですがあれ自体も化け物に見えましたが」
「その通りだ、やつは生産能力をもった強力な化け物だ。ヤイチが戦った魔晶獣とは比べ物にならん戦力だ」
防衛能力つきの生産工場って訳か。
厄介な奴だな。
「ということは奴を放置すれば、無限に魔晶獣が増え続けるということでしょうか?」
「いや、それはない」
「?」
「工場が管理できる魔晶獣には限度があるようでな」
「一定数以上は増えないと」
「ああ。それに一度生産を始めるとその土地から動かない。魔晶獣も一定の範囲から外には出られんしな」
範囲ありの遠隔操作か。
ラジコンみたいなものかな?
「魔晶獣生産については、魔力をある程度蓄える必要があるため、生産までに時間も必要だ」
「前回の戦闘でそれなりの数の魔晶獣を落としている今が、良い機会だと。わかりました、急いで出発しましょう」
「話が早くて助かる。私の方は何時でも出られる、そちらも準備が済み次第教えてくれ」
準備って言われても。
特にすることもないしな。
「大丈夫です、ラージェスさん。行けます」
「わかった、私がデフタノアで先行する」
デフタノア?
この機体のことか。
「わかりました、お願いします」
機体の目に光がはいった。
動き出すか。
「ヤイチ行くぞ」
これだけ大きな機体なのに、駆動音は恐ろしく静かだな。
一体どんな仕組みのエンジンなんだ?
「ヤイチ?」
っと今はそれどころかじゃないか。
「すいません、行けます」
「先程言ったように私が先行し、問題なければ合図を送る」
「わかりました。お願いします」
浮き上がるときもほぼ無音か。
これも魔法って奴のおかげなのか?
頭を左右に降って周囲の確認。
ということはあの目がメインカメラみたいなものか。
「ヤイチ、出てこい」
音声はスピーカー?
色々興味はつきないが……。
まずはこの状況を生き延びてからだな。




