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10話 バカ野郎(side アリア)

「何かと交戦しているみたいね〜」


「そうだな、しかし何と交戦している? 機影もなにも見えないぞ」


「姫様、どういたしましょうか?」


「距離を詰めて、何が起きているのか確認する」


「ですが」


「魔晶獣が交戦しているということは、あそこに攻撃対象となる者がいると言うことだ」


「そうね〜、困っているようなら手助けしてあげないと〜」


「フィネステリア嬢まで」


「安心しろ、ラージェス。近づいてみて何が起こっているか確認するだけだ。危険があれば直ぐに退避する」


「はあ。姫様もフィネステリア嬢も、任務中だということをお忘れなきようお願いいたします」


 やはりラージェスは話がわかる。

 小言も最小限だしな。


「私が先導します。何かあればお二人は直ぐに退避してください」


「わかった」


「わかりました〜」



 ここまで近付けば。

 やつらは一体何と戦っているの?


「あれは……人でしょうか?」


「本当ね、小さすぎてよくわからないけど〜」


 人?

 人の身で魔晶獣とやりあっているというのか?

 とんだバカ野郎だな。


「姫様、どういたしますか?」


「もしあれが人だというならば、このまま見捨てるわけにもいかないだろ」


「そうね〜」


「ですが人一人の為に姫様達が?」


「ラージェスお前の言うことはもっともだ。だがな」


「そうね〜。普通なら無視でもいいのだけれど、あの数の魔晶獣を一人で相手にできる人だものね〜」


「そういうことだ。今後の我等の貴重な戦力になりうるかもしれんしな」


 ラージェスにはすまない。

 だが、どんな奴なのか気になって仕方がないのだ。


「それに、ここで見捨てるのは寝覚めが悪いしね〜」


「そういうことだ」


「はあ、わかりました。その代わり」


「わかっている。ラージェス、お前の指示に従う」


「従います〜」



 ……。

 人が空を駆けている。

 そしてアイツは!


「アリアさん、あれってさっきの〜?」


「ああ、あの時のチキュウジンだ」


「お二人のお知り合いですか?」


「知り合いというほどではないが、この街に来たときに救助したチキュウジンの一人だ」


「チキュウジン? 何故チキュウジンが魔晶獣と戦闘を?」


「わからん」


「あ、一匹落としたわね〜。あの武器は何かしら〜」


 生身の人間が一撃で魔晶獣を!?

 あり得んだろ?

 しかも魔法も使えない、この世界に来たばかりのチキュウジンだぞ。


「姫様、あの者はチキュウジンで間違いないのですよね?」


「ああ、ニホンゴで話していたからな」


「また一匹おとしたわ〜」


「あの動き、身のこなし、かなりの手練れにしかみえないのですが……」


「魔晶獣をヒラヒラといなす動き、綺麗ね〜」


 確かに、あの軽やかな動き。

 複数の魔晶獣に囲まれて交戦しているとは思えん。

 ってあれは!?


「ねえ、アリアさん。今あの人が使った剣って〜」


「ああ、今投げつけられて、へし折れたのは私の剣だ」


「じゃあ、今投擲された短剣も〜?」


「ああ、私の物だ」


「ということは盗人は」


「あのバカ野郎だな」


「え〜と」


「とりあえず残りの魔晶獣を片付ける、話はその後だ」


「お手柔らかにね〜」


 それは相手次第だな。

 とりあえずは一発殴らせてもらいたいところだが。

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