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第23話 異世界戦場メシ『携帯ダンゴ』

 ――さあ、ここからが勝負だ。

 まずは支給されているアイテムが何か、確認しないといけないな。

 

 早速、備え付けの道具箱を覗きこんだ。

 しかし冷静な俺と引き換えフィーリアはというと、乳を振り乱して怖がっていた。


「もう大げさだな、ワラビ採りに行くだけだろうが」

「うわ~ん、やだやだぁ! フィーはキャンプでお留守番してますぅ!」

「ったくどっちがハンターなんだか……」

 

 あまりのヘタレぶりに呆れながらも、箱の中身を取り出しにかかる。


「地図があるな、まぁ標準か。……お! 携帯ダンゴがあるぞ!」

 

 携帯ダンゴとは、スタミナ回復用のアイテムだ。

 性能は決して優秀とは言えないが、この状況だと涙が出るほど嬉しい。


「クソッ、二つしかねえのか。そしたら一個ずつだな」

「フィーにくれるですかぁ」

「スタミナつけないと疲れるぞ。すぐ終わらせるためにこれから走るからな、先食っとけ」


 ダンゴはピンポン玉ほどの、茶色くて固い食料だった。

 周りにきな粉がまぶしてあって、いかにも戦場メシといった風情である。


 ああ、なんて素晴らしいんだ。

 ゲームの食べ物を食うなんて、ガキの頃からの憧れだった。


 胸を膨らませて頬張った。


 モグモグ……、何だ、コレ。

 たぶん大豆を使っているのだろう、しっかりと豆の味はする。

 だが土くれのような妙な味が、ずっと舌につきまとった。


 それに、すごく変な匂いだ。

 草のような、薬のような、およそ食べ物とはいえない不快な香りである。


 食感ときたら、これがまたヒドイ。

 やたらと固い癖に食感はモソモソボソボソして、口の水分が根こそぎ奪われた。

 その上、きな粉の粉っぽさが嫌に残る……。


 はっきり言ってマズイ、クソマズイ。

 俺が思い描いた戦場メシの夢は、一瞬で砕け散った。


「……食えたもんじゃないな」

「え、そうですかぁ。コチラでは普通ですよぉ」


「嘘だろ!? メシマズにも程がある」

「マスターのご飯が美味しすぎるのですぅ」


 お嬢さまのフィーリアが言っているのだから、間違いない。

 彼女が俺の適当な手料理にあれだけ感動した理由が、今わかった。


「ゲーム画面ではウマそうに見えたのにな」


 それでも食わないとスタミナを補給する手段はない。

 我慢して残りのダンゴも無理やり飲み下した。


 すると、不思議と身体が軽くなったように感じた。

 これがスタミナ、というヤツなのだろうか。


 ダンゴの最悪の後味を口の中に残しつつ、気を取り直して準備運動をする。


「よし、手っ取り早く採るもの採るぞ」

「あ~ん、わかりましたぁ」

 

 地図とコンパスを頼りに、キャンプエリアを飛び出した。


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