世界とは自分であり自分の答えは世界の答えである
私は無力だった。
時が進む事にずっしりとその重みを増していく彼女の前で、ただ立ち尽くすことしか出来なかった。
もう消えてしまったはずの彼女は、足元の血溜まりをじっと見据えてるはずなのだが、時折こちらを見ているように錯覚してしまう。
彼女はこちらを見て、静かにこういうんだ。
「あなたのせいで、私は……」
力なく首から吊るされた彼女は、こちらを見ることも、何かを告げることも出来ないはずなのに、確かにそう言っているのを感じる。
自分のせいなのか?これは、自分が招いたことなのか?
自分自身に問いかけたはずのそれは、世界によって返答される。
ただ紅の水滴が垂れる音が響く、それが世界の答えだ。
その重苦しく淀んだ空気、それが世界の答えだ。
ならばまた、これも世界の答えだろうか。
自分は彼女の腹に突き刺された刃を引き抜き、自分の胸に刺す。
そして、意識が消えてしまわないうちに彼女の隣にそっと寄り添った。
麻縄のちくりとした痛みが、今はただただ心地よかった。