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finding me

作者: 宮里蒔灯
掲載日:2017/11/02

某ユーザー様の活動報告でのお題から、こんな短編が出来上がりました。


僕はたゆたう。


何者をも拒む深い漆黒に。全てを受け入れる透明な光に。


長い間ここにいるが、毎日変化があり、全く飽きない。


それでも自分の「使命」は忘れることはなかった。


何故なら、彼女との「約束」を胸に抱いているから。


ああ、あの金糸の髪の美しい少女はどうしているだろう。


そうだ、彼女は浜辺で別れるとき、嬉しそうに呟いたっけ。


『やっぱり、世界は広いのよ。私は知っているの』


少女は海辺の大きな白亜の屋敷にいつも一人きりだった。


多忙で薄情な両親は家に帰らず、使用人は他人行儀。


外は危ないからと、たまに庭に出るくらい。


すぐ近くに海があるのに、長い間少女は遠目でしか見たことがなかった。


『あなたに決めたわ。とても丈夫そうだし、私の願いを届けてくれそう』


たまたま側にいた僕は、無表情が常だった彼女に選ばれた。


少女はその透き通るような白い小さな手で、僕を優しく抱き締める。


そして、彼女の願いが込められた手紙を託された。


『今夜、決行するわ』


夜、人目を避けて僕らは庭から海に繋がる道へ出た。


初めての外の世界に、少女の胸が高鳴るのがわかる。


星明かりは僕らを導き、無事に海岸へ辿り着く。


『ああ……』


あまりの美しさ、神々しさに、少女の口からは感嘆のため息しか出ない。


天に無数の星が瞬き、反射する波は輝きながら絶え間なく押し寄せ、白浜は静寂を保つ。


しかし時間がない。早く戻らないと。


『お願い。必ず、届けて。そして私を……』


少女は真剣な声音で僕に「使命」を頼み、手を離した。


それから僕はずっと一人きり。


しかし僕は無力だった。


自分では誰かに助けを求めることができない。


どこかへ辿り着き、じっと待つ。


しかし何も起こらないまま、またたゆたうばかり。


今度こそ、この「手紙」を受け取ってくれる人がいるはず。


思索にふける僕の周囲が慌ただしくなってきた。


幾度となく感じた、人のいるところへ辿り着ける予兆。


僕はその身を流れに任せる。


すっかり外見は様変わりして、傷もたくさんついた。


そろそろ限界か。するとこれが最後の好機。


ああ、誰か、あの金糸の髪の美しい少女の願いを叶えてくれ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「何だこれ。瓶の中に何か入ってる。くそ、固いな……っ! ふう、開いた。手紙? 異国の言葉だな。後で長老に聞いてみるか」


燃えるような深紅の髪の少年が、海岸から拾った緑色のガラス瓶を手に、灰色の砂浜を軽やかに駆け抜ける。

青空の下、白いTシャツからのぞく小麦色の肢体が健康的だ。

何も恐れない、少年特有の好奇心と冒険心で黒い瞳を輝かせている。


───僕は少年の手の温もりに安堵し、少女の手紙に思いを馳せた。


それはきれいな文字で、短い文書で、こう書かれていた。


『私を見つけて。ここは、白い檻』


海水様!

この作品が生まれたのは、あなた様のおかげです!

ありがとうございました!

こんなところでサプライズ失礼しました!

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