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新たな時代


戦争が終結してから早8年、世界は新たな世界秩序の元復興と繁栄に邁進していた


第1の連邦

西ヨーロッパ・新大陸連合連邦、ガリア共和国・ブリティッシュ連合王国・アメリカ連邦国を中心とした旧連合陣営諸国と南アメリゴ大陸諸国で構成された、本部をアメリカ連邦国ニューヨークに置き大西洋を手中に収める通称『大西洋連邦』 

第2の連邦

中立諸国連邦、北欧大同盟・ローマ連邦王国・東南ヨーロッパ諸国・アフリカ多部族共栄国・インド共和国を中心とした中立陣営や戦後独立した国々で構成された、本部をシチリア島に置く将来的に圧倒的な可能性を秘めた通称『中立連邦』

第3の連邦

東ヨーロッパ・アジア同盟連邦、ドイツ帝国・帝政ロシア連邦国・扶桑帝国・中央アジア連邦・満州共和国を中心とした3大帝国とその勢力下の国々で構成された、本部をベルリンに置くバルト海と太平洋を手中に収める通称『同盟連邦』


この3大連邦を中心とした列強とその他の中小国で世界秩序が築かれていた

無論対峙しているだけでは再び世界大戦が起こりかねないので頻繁に会議が催されどんなに小さい問題でも話し合いが持たれていた


天朝帝国では古くから扶桑帝国との戦争による重税と徴兵による長年の圧政により革命が勃発、西方に共産主義の人民共和国・南方にファシストの国民戦線・北方に帝政と天朝の正統な政府を掲げる天朝正統帝国の3勢力による内戦が発生

史実では満州と呼ばれる地域ではあまりの惨状に民衆の支持と世界各国の支援を受けた汪兆銘を首班とする満州共和国が独立し建国された

また史実のモンゴル・新疆ウイグル自治区・カザフスタンの領土でも天朝帝国に追われ再起の時を伺っていた人々も内戦が勃発した際に立ち上がり独立に成功した

朝鮮半島では同じく圧政に耐えかねた民衆により革命が発生、北方を勢力下に収める朝鮮国民解放戦線、南方に首都を追われ逃れた王朝による正統大朝鮮王国とで内戦が発生した


この混迷を極める2つの内戦は戦後に発生した戦場でしか生きる事が出来ない戦闘凶の傭兵達が流入し、余っていた旧式の兵器が流れこみ大惨事に発展してしまっていたが、全体的に世界はいざこざが有りつつも平和だったので世界各国は手を触れない方針となっていた


また戦後諸民族の意志を受けモスクワ連邦は国王から皇帝になり、国名も変更される事となり始めはロシア帝国となる予定が、ロシア皇帝の意見により連邦が付いた『帝政ロシア連邦国』と呼称されるようになった

ゲルマン連邦帝国も諸貴族の領地返納を受け、『ドイツ帝国』と呼称するようになった


1945年10月6日午前11時30分

東ヨーロッパ・アジア同盟連邦構成国扶桑帝国 第1首都東京 皇居内 小林直哉近衛武官専用執務室


「平和じゃなー、茶と茶菓子が旨い。」


「はい母様(かあさま)、平和ってやはり良いものですね。」


この国において最も権威が有り世界4大美女に数えられる美魔女化しつつある扶桑帝国皇帝の神楽とその娘で皇位継承権1位の美少女に成長した輝夜がソファーに座り茶を飲みながら徐に呟いた

それに対し


「おい働けそこの穀潰し2人、神楽母さんはさっさとこの書類に判ください、ねえさんはこの論文を書き直せ! いたずら目的で古代文字にして提出するな。」


「幸とグレイスとエルザを見習え、3人は立派に仕事をこなしてるぞ? フリードリヒに至っては新型の防空プログラム解読して挙句の果てその劣化してるけど今ある技術で運用可能な改良型作り上げたから魔窟の連中が喜々として誘拐しやがって手が足らん、手伝え!」


幸が生んだ娘の黒髪美少女の茜がその美少女部分を打ち消す位の青筋浮かべた笑みで書類の山をテーブルの上に置いた

その隣でお茶のお代わりを持ってきたメイド服姿のコゼット(面白半分でエルザの実家から送ってもらった正統なメイド服を神楽が着せた)からお茶を貰って書類の山を恐ろしい勢いで片付けている直哉が呆れた表情でそう話した

その脇で直哉と神楽と輝夜の秘書として書類の山を片付けている3人もそれに頷いた


戦争が終わった後、直哉は褒賞として近衛武官としての執務室を貰ったのは良かったがその後自前の執務室を持っている筈の神楽と輝夜が入り浸るようになり、最早共同執務室と化していた


扶桑帝国は戦後国家戦略を変更した、今までのインフラ整備と基礎技術の開発で得た基盤をフル活用し先進的な技術研究と膨大な工業力の育成と軍備の整備に努めていた

例えば帝国領各地に小都市を乱立させ人口が一か所に集中させずに村が衰退しないように努めつつそれに伴う人材の不足を動員の解かれた将兵を動員する事で解決させた、医療分野で労働問題が起きる事が予想された為有事の際には軍医として雇用する事を条件に膨大な量の医療従事者を育成し投入し改善させた、植林に杉やヒノキではなく木の実を付ける木を植林する事、各教育機関の設置や監督や私立研究所への支援強化

更には不正撲滅の為の憲兵の大量育成と権限の拡大、同じく警察組織の拡大と自白の強要を無くす事を条件に囮捜査の合法化を推進させたりした

軍備は従来の部隊や組織編制、装備を同盟機構軍仕様に変更する等だった


またエルザとの間に生まれたほんの僅かにアルビノの男の子であるフリードリヒは、体は弱かったがその分頭が良かった為、技術革新等で使いやすくなったコンピュータープログラムの虜となり日々プログラム制作に取り組んでおり、直哉が隠し持っていたブラックボックス込みのイージスシステムを完全解読した挙句それを基に敢えて劣化させた対空防御システムを完成させていた


現在扶桑帝国皇室には神楽の娘として皇位継承権1位で良い意味で部下に仕事を放り投げる事と責任を取る事を厭わない思考を持っているが長女輝夜9歳

母親の幸がかつての扶桑帝国皇帝の遠い親族で皇位継承権こそ低いが父親の直哉の指導の元輝夜の補佐という一種の宰相の立場を確保し日々奮闘している次女の茜6歳

現在執務室では無く研究所の方に居る扶桑帝国皇室の継承権こそ持っていないがドイツ帝国皇帝の親族であるエルザの息子で低くはあるがドイツ帝国の皇位継承権を持っており、アルビノで体は弱いが頭は良いプログラマーの長男のフリードリヒ6歳

同じく執務室にはおらず隣に作った子供部屋で昼寝中のコゼットとグレイスとの間に生まれた和平とヘレンの合わせて5人が血が繋がっているいない関わらず扶桑帝国皇帝の子供達となっている


直哉は抵抗している神楽と輝夜から目を離すと書類に目を落とし、茜に


「茜、現在進行中の帝国領各地で建設中のダム建設に関する最大の問題とその対処法は何だと思う?」


と問いかけた

茜は神楽にハンコを押し付けた後、直哉の近くによってから少し考えて


「立ち退く事になってしまう地元の人達の理解と周辺の理解? それで対処法はとにかく話し合いを続けて立ち退いてもらう?」


と話した

直哉はそれに頷くと


「確かにそれが大事だ、そこに仕事を用意するのとインフラを整えるのも追加すれば完璧だな。 大抵地元から離れたくないだろうから先祖の墓とか生活拠点の移転とかを金とか気にせず行った後、ダム管理の仕事も頼めば基本変な市民団体以外は反対する事は少ない、その段階までにかかった費用は稼働すればすぐに稼げるからな...やっぱりうちの子供達って転生者とかじゃないかな? どう考えたって年齢の割に出来すぎてて怖いんだけど。」


そう言いながら微笑みながら茜の頭を優しく撫でた

それに少し羨ましかった輝夜が近づくと、直哉は同じく輝夜に問題を出した


「輝夜にはこれだな...現在ウルル大陸で進行中の大工場地帯建設計画における問題点を洗い出す際に誰に仕事を任せるか?」


「部品製造会社の担当者と運用するにあたって実際働く作業員を中心とした第三者機関を設置させて、その第三者機関を政府の役人と軍の憲兵隊で監視させて報告させる。」


「神楽やっぱり輝夜はすぐにでも大学に入れるぞ、裏口でも何でも良いから! マジで本当に俺の子供なのか?! 俺と似ても似つかないんだけど!」


考えるそぶりすら見せずにスラスラと話した輝夜の頭を撫でまわしながら、直哉は神楽にそう話した


神楽はそれに


「わらわはぬし以外にはたとえ神だろうと体を抱かせた覚えは無いわ、というかどっからどう見てもぬしの子供じゃろうがタワケ。」


と呆れた表情をしながら顔を向けずに返すと恐ろしい勢いで書類の処理をしていた

それに続くように


「わ、私も直哉さん以外には体はゆ、許してないから...」


とコゼットが返すと


「コゼットと同じ」


「許すわけないでしょう?」


「夜這い掛けられたら切り刻むから安心なさい。」


グレイスと幸とエルザの順番で返した

直哉はその言葉に少し溜息をついた


「ちゃんと子供が生まれたのが1番で後継者に困らないのは良いんだけど普通に成長してほしかった。」


「私達悪い子?」


「ねえさんふざけないでくださいそんな事思ってない癖に、どうせ何かおねだりしようとしてますね。」


直哉の言葉に、目をウルウルしながら悲しそうな表情を浮かべる演技をした輝夜をバッサリと茜は切り捨てた

直哉はそんな騒がしい2人を見て撫でまわし、隣の部屋から聞こえてきた赤ん坊の泣き声に耳を傾けながら、心の中で願った


「(どうかこのまま平和で在りますように、この未来を背負う子供達が成長して全て引き継げるようになった後でも...)」


直哉は1人の父親として願った

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