演説の示す先
1937年5月1日 午前11時
「諸君、私は戦争が嫌いだ。」
この日復興進むゲルマン連邦帝国首都ベルリンの集会場の壇上で男の声が響いた
「それは何故か決まっている、戦争で得をし笑みを浮かべる人間は限られているからだ。」
男の声を聞いている人々は静かにその言葉に耳を傾けている
「それを示すがごとくとある諜報組織より、今回の大戦の黒幕についての報告が入った、正直な所この報告は国民諸君に伝えるか迷ったが...それでも私は伝える事を決めた。」
壇上に上がりかつての戦傷により杖を突き言葉を紡ぐ男...アドルフ・ヒトラーは聴衆を見渡した
「それは新大陸を中心に勢力を持つ富裕層にあたるユダヤ人の組織『タルムード』、ヨーロッパにおいて暗躍している秘密結社『ゲルマン騎士団』、アメリゴ合衆国の白人至上主義を掲げる『KKK』が挙げられるとの事らしい。」
聴衆達はその言葉に騒めき始めた
「だが勘違いしないでほしい、彼等の中にもそういった組織の行為にし反発し離脱して我々に情報をもたらした勇気ある人々もいるのだ、『タルムード』からはユダヤ人資産家や下流や中流階層のユダヤ人、『ゲルマン騎士団』からは同じく反発する人々、『KKK』からは戦争に反対するゲルマン系の人々などである...であるからどうかそういった組織に入っているだけや同じ民族であるだけの関係ない人々に難癖をつけて差別行為に及ばないでほしい...かくいう私も政府に入ってから一族の歴史を紐解くにつれてユダヤ人の血を引いているかも知れないとかいうくだらん報告も同時に入った、まあ正直な所その事を私は恥に思うつもりは無い!」
ヒトラーの告白を聞いた聴衆達は騒めきを潜め、集会場にいる各々の隣にいるユダヤ人達に目を向けた
注目を浴びたユダヤ人達は皆一斉に首を横に振り、戦場で戦った事によって出来た傷やボロボロになった服を見せつけた
「諸君もわかっただろう、悪いのは人種や民族や部族や宗教では無い...政府、結社、組織等の幹部やその裏で蠢く諸悪の根源共だ! そして見よ! 我々は祖国の地から! 父なる祖国の地から! 生まれ育った愛すべき故郷から冷酷な侵略者達や悪の手先共を追い出したのである!」
段々とヒトラーの演説は熱くなっていき、聴衆達も雰囲気を滾らせていった
「勇猛なる兵士達は成し遂げたのである! そしてそんな勇者達に物資を作り、支えた諸君もまた英雄である! また1度は心が折れた我々を我らが家族ともいうべきモスクワ連邦や様々な国々が我々を助け友に戦ってくれた! 諸君もラジオから流れる『Sieg Heil!』という掛け声を耳にしただろう!」
ヒトラーも声に聴衆達は辛い日々を思い出し涙を流した
「後もう1歩だ諸君! これから発動される正真正銘最後の大攻勢! これが終われば戦争も終わる!」
聴衆達の視線が集まるのを確認すると
「既に諸君の中にも感づいている者もいるだろう! そう最後の目標は! ブリティッシュ連合王国グレート・ブリテン島である!」
と告げた
「既に準備は進み、開始まで秒読み状態である! このくだらない戦争に終止符を打とうでは無いか!」
爆発したように歓声を上げ始めた聴衆達の声はとどまる事を知らず、広がっていった




