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飛行艦とロケット

1937年 2月10日 午前10時

ガリア共和国首都パリ ベルサイユ宮殿 集会場


大被害を受けたパンツァ―ファウスト作戦から2日後、ガリア共和国の元老院とガリア国民議会の両院から提出された合同集会開催の要請(強制とも言う)を受け、ガリア共和国大統領と首相に各大臣達は集会場で、周囲を取り囲んでいるように座っている議員達の追及を受けていた


「軍務大臣にお尋ねしたい、このたびの敗戦はどうする御積りか?」


「既にゲルマンの連中はここパリまであと50キロの地点まで迫っている! どうやって押し戻すんだ!」


「更にこのたびの地中海に面するアフリカ北部の陥落によってガリアの地中海に面している南部は強襲上陸される危険も出て来た! どう対応する!」



議員達の追及に軍務大臣は


「ではお答えする、このたびの出来事は敗戦では無く戦術的な後退であります、更に戦力の再編成も進んでおり押し戻す事は可能であります、吉報をお待ちして頂きたい...更に南部の上陸が可能な地点一帯には既に我が軍の工兵部隊の活躍によって海岸要塞線と飛行場が建設されていると同時に多数の兵員を投入し守備に当たっており問題はございません。」


と答えた

議員達もその答えに少し納得したのか追及の手を緩めたが、元老院の重鎮であるローラン・サールが声を上げた


「そうかそうか、ならば安心じゃ...しかしまだ肝心な事が残っておるわい。」


その声に大統領と首相は顔を歪めた

ローランはかねてよりガリアでは数少ない反戦派も含めた派閥である穏健派の筆頭であるからだ

ローランは厳しい目を軍務大臣に向けると


「その再編成された戦力はいかほどの物なのか、そして防空体制はどうなっておるのか答えていただきたい。」


と言った


「戦力に関しては軍事機密である為お話しする事は出来ませんが、防空体制は万全な物と「嘘じゃな、そんなもの片っ端から吹っ飛ばされているじゃろうが。」な!?」


軍務大臣の話をローランは遮った

ローランは


「主要工場地帯は戦略爆撃を絶えず受けており壊滅状態、数少ない工場で作られたレーダー拠点は建設途中でゲルマンの誘導爆弾の爆撃を受け吹っ飛ばされておるそうではないか、嘘はいかんぞ?」


と話し、大統領と首相に厳しい目を向けると


「大体今回の戦争を引き起こしてからどれだけの国民が死んだのか? そしてその死に見合うだけの物を手に入れたのか、大統領閣下と首相閣下に答えていただきたい。」


と言い放った

首相は


「無論手に入れている! 現に初戦の攻勢によって制圧したゲルマンの地域から接収した資源は我がガリアの工業製品となっている!」


と言い返した

そして大統領も話した


「そうだぞローラン議員、我々はちゃんと手に入れているのだ...なぜ頭を抱えている?」


首相と大統領の答えにローランは思わず頭を抱えた、そして絞り出す様に


「そもそもその考え自体間違っておると言うのに...」


と呟くと


「では聞くが後どれくらい残っておるのかの? まさか全部使いきったとか国名は上げんが支払いに使い切って残っとらんとか間抜けな話は無いじゃろうな。」


と大統領と首相に言い放った

議員達は即座に2人に視線を向けた、そこには


「そ、それは...」


「あ、ある筈だ!」


完全に予想外の言葉が出てきて焦っているのか完全に声の調子が可笑しくなっており


『(あ、これ使い切ってるな。)』


と議員達は確信が持てた

ローランは更に追求しようとしたが、外の方から爆発音が響いた


「な、なんだ! 誰か様子を確認してきてくれたまえ!」


議員達は慌てふためき、大統領は部屋の外にいる部下に状況を確認に行かせた

暫くすると部下が戻って来て報告した


「こ、攻撃です! ゲルマンからのロケット弾攻撃です! 数発が宮殿近くに落下したようです!」


「な、何だと! 防空部隊は何をやっていた!」


報告に軍務大臣はそう怒声を上げた、すると


「防空部隊からです! 早すぎて対応できなかった模様!」


無線に付いていた軍務大臣の部下がそう報告を上げた


ローランは1人溜息をつくと


「(やれやれ、こりゃガリアは負けるの。)」


と考えると周りで混乱している議員達を落ち着かせ始めた



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2月10日 午前10時13分 

元ガリア共和国主要都市 現ゲルマン連邦帝国軍制圧下ランス上空2000m


パリに対し行われたロケット弾攻撃...V1飛行爆弾を発射したグラーフ・ツェッペリン型大型飛行ロケット砲艦1番艦『グラーフ・ツェッペリン』艦長のヴェルナー大佐は吊り下げ式の艦橋の中で報告を聞いていた


「本艦が発射したFi103ことV1ですが発射した2発命中、改良型のF型(Fi103F V1F)も命中...ただ陸から発射されたV2ですが2発中1発発射失敗で1発が命中したそうです。」


「そうか、やはりV2よりV1の方が信頼性は高いようだな...無理にV2を積載する為に改装しなくてよかった。」


報告を聞いたヴェルナーはそう話すと


「V1次弾発射用意! 装填急げ! 今度は4発全部だ!」


と命令をだし、外を見た

外には『グラーフ・ツェッペリン』を中心に姉妹艦の『ヒンデンブルク』『ノルトシュテルン』の2隻とヤーデ型装甲飛行航空母艦1番艦『ヤーデ』が並び、それら4隻を護衛艦であるロター・レ―ヴェ型対空飛行砲艦8隻が展開し護衛任務に従事している、周りには『ヤーデ』から飛び立ったFi156C-3多用途機5機と戦闘機仕様の高馬力エンジンと前方にMG42連装機関銃を搭載したFi156C-6戦闘機8機が飛び空中警戒を行っていた

外を見ていると


「中々に凄まじい艦ですね、正に動く戦略兵器です。」


「これは観戦武官殿、御気分の方は宜しいので?」


「ええ、御迷惑御掛けしました。」


扶桑帝国から派遣されてきた観戦武官である大泉洋子スレンダー海軍大佐が乗り物酔いで倒れていたが、宛がわれていた部屋から出て来てヴェルナーに話しかけた

そして会話しながら15分後には


『装填完了! 発射準備良し!』 


艦上部の格納式発射台で装填に当たっていた兵士から報告が入った

そしてヴェルナーは


「第2射用意! 発射間隔ずらして発射! 撃て!」


と命令をだし、4発のV1は飛んで行った

この日を境に暫くの間3隻と地上の発射拠点でローテーションを組んでパリに毎日V1を発射する様になる、無論ガリア共和国軍もただそれを見ているだけではなく多数の航空隊を送り込んだが、地上に多数建設された対空陣地の濃密の対空砲火と『ヤーデ』の戦闘機隊に加え、ゲルマン連邦空軍所属第12戦闘機師団...通称『レッド・バロンの子供達』と呼ばれる精鋭航空機部隊と扶桑帝国軍第251航空大隊...『竜殺し』と呼ばれる戦闘機狩り専門の航空隊が展開し、ガリア共和国軍が送り込んだ航空隊は壊滅し軍全体の航空戦力は更に衰える事になったのである



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兵器紹介コーナー


グラーフ・ツェッペリン型大型飛行ロケット砲艦

ゲルマン連邦帝国貴族のツェッペリン伯爵が作り上げた世界最大の超大型飛行船であるグラーフ・ツェッペリン級飛行船を軍用に改造した物である

下部に吊り下げ式の艦橋兼居住区兼長期飛行用物資貯蔵庫を備え、可燃物満載の船体には60ミリの軽量化済みの複合装甲を張り、防御力を上げており機銃弾では撃墜する事は不可能なほど重装甲化されている

武装は船体各地に対空機関砲座が設置され、最上部にV1飛行爆弾の格納式発射台と兵器庫が設置されている

またV1搭載のロケット砲艦以外にも、20.3センチ連装砲2基と15.5センチ榴弾砲10門を搭載した対地砲艦、物資輸送艦等の派生型が存在している

又史実での最大の問題点であった使用しているガスはスルタン中東同盟から大量のヘリウムが供給された為全体的な性能の向上につながっている


基本乗員:40名

兵員:最大70名

全長:342m

直径:52.6m

ガス容量:245,000 M3

エンジン: ダイムラー・ベンツ16気筒985馬力ディーゼル・エンジン8基

最高速度: 221km/H

搭載武装    

ロケット砲艦   V1飛行爆弾30発

         零式40ミリ機関砲(ボフォース機関砲を扶桑帝国陸軍が改良し生まれた高性能砲 ライセンス契約を結び生産している) 4基

         2センチ Flakvierling38(有名なアレ) 4基 


対地砲艦     クルップ社製20.3センチ連装砲 上部前後に1基づつ計4門

         クルップ社製15.5センチ榴弾砲 側面左右に4門づつ下部に2門の計10門

         2センチ Flakvierling38 4基


輸送艦型     8.8センチ KwK37(アハト・アハト) 上部に4門

         物資運搬用大型クレーン2基(武器じゃないけど)


    

ヤーデ型装甲飛行航空母艦

グラーフ・ツェッペリン型飛行艦を護衛する為に建造された装甲飛行空母

グラーフ・ツェッペリン型飛行艦の設計を元に艦橋部分を上部に移し、下部に航空機関連施設をまとめて設置しており離着艦?(アームを使って外に出撃する為)する仕組みになっている(なお史実でもアメリカ海軍が同じ仕組みの飛行空母を持っていた)

搭載機数は戦闘機12機に多用途機7機の19機

因みに装甲は薄く40ミリの複合装甲を使用している


ロター・レ―ヴェ型対空飛行砲艦

グラーフ・ツェッペリン型飛行艦を護衛する為に民間の徴用飛行船を買い取り、改修を施し生まれた飛行艦

元が民間で運用されていた飛行船である為居住性が高く、この艦で勤務する事を望む飛行艦乗りが後を絶たない

多数の対空機関砲を装備する事で対空戦闘のみならず対地掃射も行える傑作艦として多数が建造された


基本乗員:20名

兵員:最大90名

全長:232m

直径:32.6m

ガス容量:205,000 M3

エンジン: ダイムラー・ベンツ16気筒985馬力ディーゼル・エンジン4基

最高速度: 201km/H

搭載武装:クルップ社製65口径12.7センチ連装速射砲(ライセンス生産品をクルップ社が改良した物) 上部前後に1基づつの4門

     零式40ミリ連装機関砲(連装化した物)側面にそれぞれ3基づつの計6基

     2センチ Flakvierling38 側面にそれぞれ6基づつの計12基


全ての飛行艦は後の同盟陣営の大国を中心に構成予定の連邦国家『ユーラシア同盟機構』建国の為の下準備として同じ名称等を用いる事となっている、なぜ飛行艦なのかというと構成予定の国の中には内陸国家等がある為そのような国々でも揃えられるように地形的な制約を受けずらい飛行艦となっている

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