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海に浮かぶはモンスター ~パンツァ―ファウスト作戦 時代遅れの戦艦部隊と新鋭戦艦の意地~

1937年 2月4日 午前3時

地中海 チュニス軍港から40キロ洋上 第一水上打撃戦隊の上空6000m


「やりましたね機長、敵同盟国戦艦部隊発見です。」


「そうか、しかし夜間なのにこんな簡単に見つかるとは...」


連合国艦隊に向かっている第一水上艦隊の上空を雲に隠れながら飛んでいるのは戦艦『ノースカロライナ』から発艦した水上偵察機SC シーホークだった 

そしてそのシーホークからの連絡を受けた連合国艦隊の合衆国艦隊以外の司令官達や参謀達は


『救助作業中に乱入されると拙い! 幾ら国際条約で救助作業中は攻撃してはいけないとはいえゲルマンは怒り狂ってるだろうから守られない可能性が高い!』


と冷や汗を浮かべながら考えた、しかし合衆国艦隊司令長官やその参謀は自身がした訳では無いが同僚である第2空母戦隊司令長官のウィリアム・ハルゼー・ジュニア海軍中将が引き起こした蛮行を思い出し冷や汗を通り越し真っ青な表情になっていた

その蛮行とは扶桑が占領中のサンディエゴとハワイ間の輸送航路や南米との貿易の為に航行している艦船への攻撃作戦『オペレーション・パステル』にて行われた合衆国軍捕虜返還用大型飛行船『第12大鷹丸』撃墜事件と武装貨客船『あるぜんちん丸』撃沈事件だろう


『第12大鷹丸』はハワイから南米チリのサンティアゴ、そして大陸を横断してベネズエラの合衆国大使館に合衆国軍捕虜を返還する捕虜輸送用の非武装飛行船である、そして大使館で合衆国軍の捕虜を降ろすと合衆国から返還された扶桑軍捕虜を乗せ行きと同じルートを使い帰る、政府間の条約で安全が保障されている捕虜返還飛行船である

しかし合衆国軍捕虜を降ろした後サンティアゴからハワイへ帰還する際に、南米を回り通商破壊作戦を開始したウィリアム・ハルゼー・ジュニア海軍中将率いる第2空母戦隊の艦載戦闘機の攻撃によって撃墜されてしまったのである

ハルゼー中将は


「フソウとは戦争中であると同時に合衆国人は載っておらず、通商破壊作戦中の我が艦隊が通報された為撃墜した。」


と政府と海軍本部からの叱責にそう弁明したが、その際に沿岸を飛行していた際に撃墜されており、近くで取材していた中立国の記者団が撮影しており、世界中に広がってしまったのである

また『第12大鷹丸』からの救助要請の通信を受け救助に行うべく現場に急行した民間船舶の『あるぜんちん丸』に対しても退船要求も何も行わず攻撃を加えた上に救助作業も行わずに遁走した事も世界中に広がってしまったのである、しかもハルゼーの弁明した通報も『第12大鷹丸』は通報しておらずそれも批判の理由となった

この事件には国内外から批判の声が上がった、他にも身内の合衆国軍内部からも批判の声が上がった

その中でもチェスター・ウィリアム・ニミッツ・シニア大将とアーネスト・キング大将の二人は特に批判の声を上げていた


ニミッツは1896年に行われた親善航海兼練習航海の際に練習巡洋艦『コンスティチューション(帆走フリゲートでは無い)』所属の少尉候補生として参加しており、その航海で立ち寄った扶桑帝国主要港の横浜港に寄港した際行われた歓迎会で出会った当時の扶桑帝国海軍司令官の一人東郷平八郎海軍大将と出会い感銘を受け、その後自他共に認める親扶桑家として有名な将官となっていた

そしてキングは史実では少尉候補生時代に鎌倉大仏見学の際にスリにあっておりその後の日露戦争の勝利で傲慢になっている駅員などの対応で悪印象を持つ事になるのだが、この世界ではスリにあった直後に近くの土産屋の店員の老婆それに気付き、警備の警官や周囲の人々がスリをボコボコにし財布を返し、食事を奢ってもらい親扶桑家となっている


兎に角そんな事件を巻き起こした合衆国軍は扶桑の復讐を恐れていたのである

身から出た錆とはいえ連合軍艦隊の司令官達の結束の結果として何とか交戦可能な艦艇を掻き集めて迎撃に向かう事になった

その編成は


戦艦

『キング・ジョージ5世』

『プリンス・オブ・ウェールズ』

『デューク』

『アンソン』

『ダンケルク』

『ストラスブール』

『リシュリュー』

『ノースカロライナ』

八隻

巡洋艦

八隻

駆逐艦

二十隻

の計三十六隻だった、残りの艦艇はどれも空襲で沈んでいたり救助作業に当たっている


そしてその30分後...大戦で最大の戦い1つと数えられる地中海海戦における戦艦同士の殴り合い、『大和』の名が世界に轟いた戦いが始まった


両艦隊はそれぞれ単縦陣で戦闘を開始した


「撃ち方始め!」


「うちーかた、始め!」


始めに発砲したのは『大和』だった、『大和』に搭載されている51センチ三連装砲から放たれた砲弾は『リシュリュー』に向かっていった、そして...


『『『な! いきなり至近弾だと?!』』』


「凄まじいな、電探と電子計算機というものは...初弾から挟叉を叩き出すとは、時代は変わったな。」


扶桑帝国海軍以外の指揮官達は驚きの声を上げ、有賀はしみじみと呟いた、そして有賀は


「制空隊は敵の観測機を叩き落とせ、その後観測機は観測開始、観測機からの観測報告を聞き逃すなよ。」


「ハッ!」


と命令をだした、事前に退避していた江戸型空母から飛び立って雲に隠れていた制空隊(機種は空征)10機は隠れていた雲から飛び出すと、第一水上打撃戦隊の上空にいた連合軍艦隊の各国が飛ばしていた偵察機4機に襲い掛かった、シーホークも例外ではなく...


「シット! 脱出する!」


「まってください機長!」


撃ち落とされていた、そして4機の撃墜を確認すると


「よし! こちら『大和』搭載水偵1番機、これより観測を開始する。」


と水偵が雲から出てきて弾着観測を開始した、他にも陸地から飛んできた同盟軍各国の偵察機が飛んできて同じく弾着観測を始めたのである


そして次に砲撃を開始したのは


「本艦の力、我が祖国ガリアの力見せてやれ! フー(撃て)!」


『リシュリュー』だった、『リシュリュー』に搭載されている45口径38センチ4連装砲長い射程を生かし砲撃を開始した、しかし弾着観測を行う為に飛ばした偵察機は叩き落とされてしまい直接砲撃するしか方法が無く


「ダメです! 外れました!」


「メ-ルド(クソ)! 修正急げ!」


全てが遠弾だった

そして暫くすると全ての戦艦が砲撃を開始した、そして斉射し始めると自然にお互い腹を見せ合い、艦艇で最大の火力をぶつけ始めたのである

そして2斉射すると、ガリア共和国海軍所属の戦艦『リシュリュー』に『大和』の51センチ三連装砲から放たれた砲弾2発が命中し...


「本艦の砲撃命中! 命中ふた...『リシュリュー』ば、爆沈しました!」


主砲を貫通し弾薬庫を吹き飛ばし、『リシュリュー』は真っ二つに船体が割れ沈んでいった


「良し! 次だ! ノースカロライナ級に目標変更!」


有賀はそれを聞くと即座にそう吼えたのである、『大和』はその有賀の指示に従うと『ノースカロライナ』に砲門を向けると砲撃を開始した


そして三時間後、その海域にいたのは同盟国艦隊だった

両艦隊の詳細は


同盟国艦隊

沈没

バイエルン級戦艦3番艦『ザクセン』

駆逐艦四隻

大破

ガングート級戦艦1番艦『ガングート』

戦艦『ヤウズ・スルタン・セリム』

駆逐艦七隻

小破

大和型超弩級戦艦『大和』

ソーカル級重巡洋艦『ソーカル』

軽巡洋艦三隻

駆逐艦一隻


連合国艦隊

沈没

全戦艦

大破

重巡洋艦四隻

軽巡洋艦三隻

駆逐艦九隻

無傷

軽巡洋艦一隻

駆逐艦九隻


完全に連合国艦隊の惨敗である

途中で『大和』の前部主砲に砲弾を当て使用不能にしたは良かった、その時既に戦艦部隊は『アンソン』を除き壊滅しており、『アンソン』が沈んだ時点で残っていた艦艇部隊は停戦を要請し、救助作業に移行したのである


ここに連合国軍地中海艦隊の砲戦戦力は壊滅し、主要な防空火力は壊滅する事になったのである

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