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帝国最強の攻撃隊 ~パンツァ―ファウスト作戦 空を駆けるは艦上飛行雷撃隊~

クリスマス前だけど投下でーす

そして天皇陛下御誕生おめでとうございます。


1937年2月3日 午後7時

地中海 同盟艦隊集結地点 


日は既に落ちているが、艦隊は攻撃を受け沈没した艦艇から脱出したり今なお取り残されている乗組員達を救助すべく、武装を降ろし内火艇と化している甲型哨戒艇を中心とした搭載艇や甲標的を参考に固定型のアームを前方に取り付けた潜水艇などを中心に忙しそうに救助作業をしていた

そしてその様子を急降下爆撃によって中破した『飛龍』の艦橋から多聞丸は見ていた


「しかしやられた事には変わりないが被害が少なくて良かったよ。」


「そうですね司令、我が方の被害は江戸型が中破と大破で一隻づつ、巡洋艦は一隻が沈没、駆逐艦は松型が一隻沈没、それ以外は友軍艦隊の被害との事、300機近い攻撃隊に攻撃されたとは思えない被害の軽さです。」


多聞丸の言葉に参謀はそう答えた、そしてそこに『飛龍』の艦長である姫香が報告を始めた


「『飛龍』も急降下爆撃を受けましたが、甲板自体装甲化されてて応急修理ですが航空機の発艦は可能です...爆装無しの戦闘機限定ですが。」


姫香の言葉に多聞丸は頷くと


「事前に攻撃機を陸の飛行場に降ろしておいて良かった、お蔭で攻撃隊を陸から出せるからね。」


そう話した

実は扶桑艦隊の空母の攻撃機は事前に対潜哨戒機や対空戦闘用に残しておいた『風竜』を除いて空母から降ろされているのである、その理由としては『近くに陸上基地あるんだから被弾したら発艦が厳しくなる攻撃隊は降ろして少しでも危険性を無くした方が良い』という判断を多聞丸は行ったからである、それを甲板上に集められて多聞丸から告げられた攻撃機乗りの搭乗員達からは(飛行士官の略だった飛行士から正式に変更された)


『幾ら大親父(搭乗員内での多聞丸のあだ名)の判断でも大反対だ!』

『空母乗りが怪我や年取らずに空母から降りろとか侮辱ですか!』

『反乱起こすぞクソ大親父!』


等という言葉を搭乗員皆に言われたのである、その迫力は凄まじく海鳥が逃げ出す程であった

しかし多聞丸には彼等を黙らせ従わせる切り札があった、それは


「一人一枚で姫香の軍服写真又は小林直哉近衛武官の鍛錬後の半裸写真又は裸の扇情的な恰好の遊女か男娼が写った写真に加え同じく一人につきビール缶半ダースと清酒3合にツマミ缶5個の臨時配給...どれが良いかね?」


『『『了解致しました! 何でも御指示下さい第二航空戦隊司令長官山口多聞丸中将閣下!』』』


多聞丸の手の中にある4枚の写真と彼の後ろに纏めておかれている写真と物資の山だった

搭乗員達は即座に物資を抱え込むと自分達の愛機に乗り込みアフリカ地中海沿岸における同盟軍最大規模の大航空基地ザーウィヤ基地に飛び立っていった、ザーウィヤ基地周辺には製油所中心に多数の軍事関係施設や娼館や酒場等の慰安施設が立ち並んでおり搭乗員達も手に入れた物資も含め大喜びだった...因みに姫香と直哉の写真を希望する勇者はいなかった、誰だってタブーには触れたくはないのである


何はともあれ被害を確認した多聞丸は


「とにかく発艦できる全空母の戦闘機隊出撃だ、陸から飛んでくる攻撃隊を護衛せよ...有賀君達を援護するんだ、丁度新兵器も幾つか用意されてるからね。 後は戻って来た艦載機の補給と搭乗員の後退が済んだ機から臨時小隊を組んで制空任務に当たれ。 夜間で離着艦は危険ではあるが大丈夫だろう。」


待機していた戦闘機隊に出撃を命じた

甲板の応急修理を終えた『飛龍』を始めとした全空母から出撃を控えていた戦闘機隊総勢43機が飛び立っていった


彼等は洋上で陸から飛んできた攻撃機隊総数181機(内陸攻は32機)と合流すると連合軍艦隊に向けて進路を取った

この攻撃隊の機種は扶桑からはもう扱いなれた『火竜』『風竜』の2機種

三六式大型赤外線誘導噴進弾『桜花』1発を搭載した陸上機の『一式陸上攻撃機(史実よりもエンジンを高性能且つ消火装置付きのものに変えて高性能化済み)』

レシプロ航空機の零式艦上戦闘機『空征』と三七式艦上攻撃機『海征』の2機種の計5種だった


ゲルマン帝国からは『フォッケウルフ Fw190D―9』、モスクワ連邦からは『Yak―9』が参加し護衛任務に就いている


ゲルマンは軍全体が戦闘機中心による再建途中でモスクワ連邦は対地攻撃任務ばかりで戦艦に有効打を与えられるか不安だった為今回は見送られた



なぜレシプロの新型機が開発量産されて実戦配備されているかというと、空母『加賀』『赤城』『飛龍』『蒼龍』『鳳翔』『龍驤』の扶桑帝国海軍『最強無敵の第一航空戦隊』『攻撃の第二航空戦隊』『世界最初であり世界全ての航空母艦の母である元第一航空戦隊、現第四航空戦隊』所属の母艦搭乗員の中でもベテラン...世界各国のパイロット達から『人外魔境の中でも人外』『たった3機の艦上戦闘機で一世代上の陸上戦闘機23機を殲滅する怪物共』『彼等が人間? いえ怪物です。』『教導隊をたった1機で壊滅させて空を飛べなくさせた怪物』等言われていて人間詐称疑惑すら持たれている搭乗員達が


『一撃離脱に特化した墳式戦闘機? ジェットだのなんだの知らねえが効率が悪すぎらぁ、格闘戦にも特化したの寄越しやがれ!』


開戦前から要望(脅迫)していたからである

直哉はこの話を聞くなり即座に国内の航空機開発メーカーに『値段どれだけかかってもいいから格闘戦に優れたレシプロ戦闘機』の開発を命じたのである

そして三菱や中島等の巨大メーカーが基本案等を提出する中、東京に本社を構える社員60人規模の小型船舶専門の造船会社『東京造船』が手を上げたのである

大企業や財閥の開発者や軍の担当者達が無謀な挑戦だと笑ったが、直哉を中心とする一部の軍人や搭乗員達は東京造船の社長がおずおずと差し出した基本案と図面を見た瞬間目を見張る程驚くと同時に思わず叫んだのである


『なんだこいつは、化け物じゃないか!』


そこからあっという間だった、状況についていけず呆然としている社長を気にせず直哉は私財を投じて株式の49%を所有すると同時に工場を自腹で建てたのである

そこまでするほどその戦闘機は素晴らしかったのである

その戦闘機は元々経営が厳しく倒産寸前だった際に、軍が新しい戦闘機の採用を決めると聞いた設計士兼社長が


「最後位好きなのやろう。」


とダメで元々といった心境で設計し生まれた物である...生まれてしまったのである

外見は史実の紫電と烈風を合わせたうえで更にスリムにしたような外見で、3,300馬力のエンジンを搭載し最大速度770kmで格闘戦や急降下を行えるじゃじゃ馬機に仕上がっている

武装はゲルマン連邦帝国の傑作兵器であるMG151/20機関砲(20mm弾、弾数200発づつ)×2門にブ式12.7ミリ機関銃2丁(弾数300発づつ)

因みに航続距離は1900kmである

また攻撃機としても優秀であり、『海征』という名で三座機化したうえで、武装のMG151/20機関砲を降ろし代わりに後部防護機銃としてMG81Z機関銃を追加 対艦装備として新たに開発した三七式対艦噴進弾(250キロ爆弾と同威力の弾頭を搭載した初歩的な無誘導空対艦ミサイル、戦艦以外は数を当てれば沈められる)を一発又は500kg爆弾搭載した対艦攻撃機として正式採用されている


そんなこんなで経営を立て直すどころか扶桑において一番の後ろ盾である近衛武官の協力を得た東京造船は名前を『東京重工』と改め皇帝の資金調達機関の1つと化して急速に勢力を拡大し財閥化する事になる

後に社長は


「まさか本当に採用してもらえるとは思わなかった、船の設計ばかりしていたが航空機の設計で成功するとはねぇ、人生とはわからないものだよ。」


と記者の取材に答えている


そんなこんなで攻撃隊は夜間である為微かな明かりで見る地図と地上から飛んできた電子戦機型富嶽からの送られてくる情報を頼りに連合軍艦隊に向かって飛んでいった

その攻撃隊の編隊、空母『飛龍』所属の攻撃機第一小隊二番機の機内では男女二人の搭乗員が話をしていた

女の方は攻撃機『海征』を操り、編隊長である一番機から一番信用されている27歳の面倒見の良い姉御肌で有名な操縦士の旧名笠原桜かさはらさくら現在は飯山桜いいやまさくら大尉

男の方は最近軍航空学校を卒業したばかりでありながら能力の高さを買われ桜に卒業後よくわからないまま一本釣りされたうえにその日の内に逢引宿に連れ込まれたうえで性的に食われ婚姻したある意味で幸運(桜のサバサバした性格や出るとこは出てて出ないところは出てない良い体を味わえる事)で不運(卒業早々美女と婚姻した事を妬まれた同期連中から石を雨の如く投げられた)な飯山太郎いいやまたろう少尉である


「うんうん、相も変わらず絶好調だねぇこいつ(海征)は。」


「帰ったら整備士のおっちゃんにお礼言いましょうね大尉。」


プロペラ機特有の音が響く機内では上機嫌そうに桜が話し、それに太郎が続いた

すると桜は太郎の言葉に不機嫌そうに唇を尖がらせ後ろを振り返った


「名前で呼びなよ太郎、周りの目無いんだしさ。」


「仕事中でしょうが、それと大尉ちゃんと前を見て操縦してください。」


太郎は一瞬振り返った彼女の表情にドキッとしたが、心を押さえつけて話した

そしてそこに無線から


『目は無いが耳はあるぞ大尉、次からはちゃんと無線が受信だけか確認する様に、丸々聞こえてるぞ。』


『そうだそうだいちゃつきやがって! 男っ気の無い私達への当てつけかい!』


『確かに海軍の飛行機乗りって男少ないのよねぇ、一航戦は男所帯だけど。』


『そりゃ扶桑じゃ女の方が多いからに決まってるじゃない、ほら早川(椿型が練習空母になったのでアフリカ戦線に攻撃機乗りとして転属しました)君だってもう結婚してるじゃないの。』 


他の機からの通信が飛び込んで来て暫くの間騒がしかったが


『こちら第三十四重飛行航空隊所属の電子戦機型富嶽4番機、コールサインは「アーチャーアイ」...幾ら敵が俺たちが来ることを知ってるとはいえうるさいぞ、もうそろそろ口を閉じろ。』


とアーチャーアイ(直哉が識別を簡単にする為新たに設定したコールサイン、大型機は英語のカナ、中型機小型機は最後に数字を入れれば基本自由)からの通信が入ると即座に黙った、そして指示を出し始めた


『今回の攻撃目標の確認をする、攻撃目標は友軍の第一水上打撃戦隊等を迎撃すべく動いている戦艦群では無い、目標はその後方の敵主力艦隊の空母及びその護衛艦だ、輸送艦や小型艇は無視して良い、通信終了後陸攻隊は距離15万で桜花を発射し帰投...それ以外は距離8万までに高度を10mまで下げて噴進弾を発射し帰投だ、雷撃隊から進化した飛行雷撃隊の力を見せてやれ。』


その後編隊の攻撃機は降下し合図を待った

そして


『全陸攻隊、桜花投下用意...今!』


アーチャーアイの合図と共に一式陸攻は桜花を投下し、一斉に翼を翻して


『じゃあお先に失礼、先に帰って晩飯食ってるからな。』


帰投していった

発射された桜花は灯火管制でジェットエンジンからでる閃光しかない攻撃隊を置いて連合軍艦隊に向かっていった

そして暫くすると


『命中を確認、当たったのは16発位か...良い戦果だ、負けるなよ。』


アーチャーアイの報告と激励があった

そして投下予定位置に攻撃機隊は到着した

既に陸攻から放たれた桜花の攻撃によって炎上し大混乱している連合軍艦隊が目視できており既に発射できる距離だった、しかしここで


『ちっ! 敵の夜間戦闘機隊を確認、迎撃機迎え撃て! 攻撃隊は噴進弾を投下して離脱せよ!』


アーチャーアイから舌打ちと共に指示が飛んできた

その指示を聞いた桜は大声で発破をかけた


「聞いたな太郎! 外すんじゃないよ!」


「わかってます大尉! チョイ右3度!」


太郎もそれに答え微調整すると


「投下用意...今!」


と噴進弾を発射した

そしてすぐさま攻撃隊は帰投していった

護衛戦闘機隊もそれを確認するとすぐさまエンジンを吹かして帰投していった

残されたのは炎上し大混乱している連合軍艦隊と攻撃を止められずに悔しがる連合軍の航空隊だけだった

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