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シベリア鉄道と同盟陣営

シベリア鉄道

モスクワ連邦領極東の大港湾都市ウラジオストクと首都モスクワを繋ぐ大鉄道である

その建設に関わった勢力として主にモスクワ連邦の前身であるロシア王国、極東の大国の一つ扶桑帝国、当時ロシア王国の王室と婚姻関係を結んでいたゲルマン連邦帝国の名家バルクホルン公爵家が挙げられる

ロシア王国としては当時友好関係を深めていた扶桑帝国との主要連絡路として

扶桑帝国としてはロシア王国との友好関係構築と民衆の不満を反らす為今も昔も扶桑に対して挑発を繰り返してくる天朝帝国に対する圧力強化の為

ゲルマン連邦帝国は始めは興味なしだったが両国から『建設手伝ってくれたら輸出する資源の値段安くするよ、ついでに性能高い機関車も高く買うからさ!』と誘われて表としてはしょうがねぇなぁとしながらも内心は狂喜乱舞の状態だった

そんなそれぞれの思惑を持ちながらシベリア鉄道の建設は急ピッチで進んだ、その際に大活躍したのはゲルマン連邦帝国で考案された貨物車を改造して作られた敷設車だろう

この敷設車は人力式ではあるが、後部にレールと枕木敷設する為の小型クレーンと前方部分にバラストと呼ばれるクッション代わりの砂利を落とす機能が備わっており、この便利な車両を使用する事により順調に建設が進んだ...因みにこの車両は戦争前の連合陣営にも輸出され各国の鉄道敷設の速度を高めてしまった事は計算外だった(ゲルマン連邦帝国皇帝の談)...

そんな歴史を持つシベリア鉄道は拡張を続け、現在は片側4本の線路がしかれており毎日休むことなく大型列車が走っている

そしてシベリア鉄道だが、現在はシベリアの資源採掘拠点で採掘され一旦ウラジオストクに集められた鉱物や石油資源をモスクワへ運び、モスクワ連邦西部から集まった開拓者や大量の食料と工業製品を絶え間なくモスクワからウラジオストクに運ぶ流れが出来ている

しかしこの日到着した71両の貨物車にはいつも運ばれている食料や工業製品は無く、思わず目を見張るような物が積み込まれていた



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1936年12月3日午前11時

ウラジオストク 貨物駅


この日モスクワ連邦最大の貨物駅であるウラジオストク貨物駅には、最近軍から提供された近衛武官専用機として対空装備型の富嶽に改造を施した物を使いやって来た直哉と従兵兼監視(という名の護衛)役幸に加えて、統合司令部(陸海両軍それぞれにあった司令本部を解散して一つに組み直した物、潤滑に戦争を進める為作られた)所属の士官達10名が、寒さをコートで防ぎながらやって来る列車を待っていた

そして10分後、駅に列車が入って来た、この列車は4両の動力車と70両の貨物車と1両の客車と1両の食堂車に1両の戦闘車の計77両で構成されている列車である

そして列車が止まると、10人づつに分かれた2つの異なる軍服を着た集団が客車から降りてきて待っていた直哉達の前に並んだ


「まさか出迎えてくださるとは思ってもいませんでした、真に有難う御座います...例のご注文された物を持ってきました。」


そのうちの一つの集団の長と思われる将官...ゲルマン連邦帝国軍中将のハインツ・グデ―リアンが笑みを浮かべ握手を求めながらゲルマン語(ドイツ語)で話しかけて来た

それに続くように


「我が連邦からも持ってまいりました、自慢の逸品です。」


と残ったもう一つの集団の長と思われる将官...モスクワ連邦軍中将のゲオルギー・ジューコフも同じく笑みを浮かべながら手を差し出した

それに直哉は笑顔で握手に答えると


「遠路遥々良くお越しいただき有難うございます、早速ですが持って来たものを見せていただきたい。」


と話した

それを聞いた二人は部下達に合図を送った後、直哉達に最後尾の車両まで案内すると貨物車に積まれていた雨除けの幌を取り外させた

出てきたのは


『おおー!』


「これがあなた方の生み出した戦車ですか、ここまで揃うと実に壮観ですな。」


「そうでしょうそうでしょう、ご注文の物、我がゲルマン自慢の全種類の主力戦車のサンプルです。」


「我が連邦の戦車もあります、ゲルマンにも劣らぬものばかりですぞ。」


士官達と直哉達の驚きと歓声があがったのも無理は無い、貨物車に積む込まれていたのはゲルマン連邦帝国軍とモスクワ連邦軍全ての主力戦車のサンプルだった、具体的には...

ゲルマン連邦帝国軍

1号戦車A型~F型

2号戦車A型・D~E型・F型

3号戦車A型~N型

4号戦車A型~J型・ヴィルベルヴィント・オストヴィント

号戦車パンター

6号戦車(ティーガーI・ティーガーII)


モスクワ連邦軍

T-26

T-28

T-34

T-35

KV1

KV2

IS1

IS2

カチューシャ多連装無誘導自走ロケット砲


といった内容だった

品の確認が完了すると直哉は二人を誘って事務所の中に入っていった

事務所の一室の中には北海道名産の蟹尽くしの料理が並んでいた

そして三人は話もそこそこに食事を始めた(幸は従兵として飲み物を注いでいたりしている)

そして一通り食べると話し合いを始めた(なお供回りも別の部屋でカニ料理を堪能している)


「今回は主力戦車の売却をしていただいて感謝しております、やはり我が国は海には強くても陸には弱いですからな...最近ヨーロッパやサンディエゴ戦線でも敵の新型戦車が出てきて戦車同士の戦いでは苦戦していますからね、今はまだ複数車で集中攻撃して対処しており何とかなっています...てかこの蟹正直に美味いですね、土産で持って帰るか。」


直哉は炭火で殻ごと焼いた蟹を少しの塩を掛けてうまそうに食べながらそう話した

それにグデ―リアンは


「しかし戦車では弱くても他の装甲車や自走砲等の装甲戦力や航空機は強力なのが多いではありませんか、我が帝国の空軍でもそちらの主力戦闘機『シュヴァルベ(ツバメ)』...そちらではレイセンというのでしたな、我が国の戦闘機ではブリティッシュの首都まで護衛できなかった爆撃機をその長い飛行距離と格闘性能に物を言わせて戦果をあげております...私も家内とヒトラー宰相閣下と陛下に買っていきます」


と蟹のバターソテーをナイフとフォークで上品に口に運びながら話した

そしてジューコフも


「我が連邦としても天然ゴムや希少資源を大量に輸入させていただいており感謝しております、おかげで問題になっていた戦車のエンジンもかなり使いやすくなっております...無論私も愛すべきあのスターリンと国王陛下に買っていきましょう。」


と蟹の身がたっぷり入っているブイヤベースを優雅に食べながらそう話した

そして直哉はその話を聞き終わり、口の中に入った蟹の身を飲み込むと、浮かべていた笑みを消して真面目な表情を浮かべた


「土産は私の手持ちから出しますよ...本題に入りましょう、何でも我が国にしか出来ない依頼があるとのことでしたが...」


2人も同じように真剣な表情になると、料理が並べられていたテーブルから料理を片付けると、持って来ていたバックから手紙と何かの設計図らしき物(通称、青写真)の束をそれぞれ差し出した

直哉は自身の趣味でもある設計作業でも使う眼鏡を懐から取り出すとじっくりと時間を掛けて手紙を読んだ

そして読み終わると青写真を見始めた、見終わると息を大きく吐き話し始めた


「依頼内容わかりました、依頼内容は同盟陣営主要国海軍の総旗艦級の双胴戦艦とその護衛艦艇の建造依頼、この設計図は手付料って所でしょうか?」


「ええそうです、我が連邦からはつい最近開発が終了し正式採用されたばかりの主力戦車を始めとしたのライセンス生産権無償譲渡、そしてこれから始まるであろう宇宙開発技術の協同開発権です。」


「我がゲルマン帝国からは開発中の垂直離陸航空機『ハウニブ』を始めとした兵器設計図、精密電子部品製作の為の工作機器の無償提供です。」


そしてジューコフが更に


「ほかにもモスクワ連邦・ゲルマン連邦帝国・扶桑帝国・スルタン中東同盟・ローマ連邦王国の同盟主要5ヶ国で共同研究開発予定の次世代戦車の開発計画に対する出費資金の減額などもそろえております...如何でしょう?」


と付け足し、直哉に尋ねた

直哉は暫くの間考えると、部屋の隅で料理を片付けていた幸に例の物を持ってくるように伝えた

幸は一礼すると部屋から出て行った

そして直哉は二人に


「実は扶桑でも双胴艦の試作と試験を行っています、といっても旧式駆逐艦二隻と旧式巡洋艦二隻を組み合わせた物ですがね...結果は良好、双胴駆逐艦の評価は『対艦としては使えないが対空としては三隻分の火力を持たせることが可能、ただ次世代兵器の艦対艦誘導噴進弾(対艦ミサイル)は搭載できない可能性大』双胴巡洋艦の評価は『双胴駆逐艦に比べ戦闘性能良好、搭載可能量も双胴駆逐艦より高い為将来的には対艦噴進弾の搭載可能』とかなりの高評価です、ただ両者共通の問題として建造費と維持費が高く、それ以前に建造可能な造船所が少ないのが挙げられるとの事です...幸ありがとう、二人にそれを。」


と話し、戻って来た幸が持って来た資料を二人に渡した

二人は試験結果の書かれた報告書を渡されたことに混乱しながらも、その中に混じっていた二枚の紙に目を奪われた

直哉は二人がその紙に目を奪われたのを確認すると、話し出した


「正直な所長らく続いた戦艦の時代は航空機とミサイルの発達により終わるでしょう、しかしそれは永遠ではない、あなた方に渡したその紙に書かれている物によって再び戦艦の時代が来る...その為にも是非とも協力して頂きたい、協力して頂けるなら我が扶桑はその全力を持って建造に協力させて頂く...実の所双胴戦艦の建造計画はありました、既に性能予定表も完成しています、といっても作るのは最短でも5年かかると思いますが。」


直哉はそういうとニヤリと笑った



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ、うちの国家宰相殿の無茶言うもんだよ。」


「全くだなハインツ、あのお人好しのスターリン(鉄の男)もまさか国家間の契約を取り付けろって本当に無茶を言う。」


直哉との会談の三日後の夜、それぞれの祖国が購入した小型艇や小型砲艦の視察を終えたグデ―リアンとジューコフの二人は車上の人となっていた

列車の車列には来た時と同じように構成になっている、違うのは貨物車には戦車ではなく購入した小型艇や小型砲艦が分解されて乗せられている事ぐらいだ

現在二人は客車のグデ―リアンの部屋でキノコのソテーを摘まみに土産にもらった山梨産のワインを飲み星空を見ながらのんびり話していた


「しかし双胴艦隊か、同盟艦隊どうなるんだろうか?」


グデ―リアンはそう疑問に思っていたことを呟いた

ジューコフはそれに


「少なくとも連合艦隊とは違う道を歩むんだろうな、それはそうとそっちは何買ったんだ? こっちは魚雷艇3隻と小型砲艦2隻だ。」


と答えた

グデ―リアンはそれに


「話しても良いのか悩むとこだが、言われたら言うしかないな...魚雷艇2隻に小型砲艦2隻、それとヨーロッパ派遣軍の戦車数両だ。」


と話した

ジューコフは


「そうなのか、それと許可は取ってある、買ったのは研究用に1隻確保した後地中海の軍港防衛に回すからな。」


と話した

暫く二人はワインを静かに飲んでいたが不意にグデ―リアンが話し始めた


「なあジューコフ、近衛武官殿の話ではゲルマン連邦帝国とモスクワ連邦は大戦で敵対して戦争したらしいじゃないか...随分と今の状態と違うと思わないか?」


「そうだな、確かそっちのヒトラー宰相とこっちのヨシフ書記長ってよくお忍びで会って酒酌み交わしてる筈だよな?」


グデ―リアンの話にジューコフはそう話した


「だよな、確か若い頃ローマ連邦に留学してた時に会って仲良くなったらしいよな。」


「そうそう、確かヒトラー宰相は絵の留学でヨシフ書記長は農業の留学だっけか、お互い国の金銭支援で留学したから、強制的に出席させられた国が主催のパーティーで仲良くなったらしい、留学が終わった後はダキア連邦(史実のオーストリア)とセルトニア共和国(史実のセルビア)の間の紛争で再開だったかな?」


ジューコフの疑問にグデ―リアンが答えた


「そうそうダキア連邦の皇太子暗殺未遂事件、確かそれが原因で起こった紛争でヒトラー宰相が伝令兵として活躍したんだ、その後2ヶ月戦ってたけど後になってダキアの一部のバカ共が仕組んだ事って判明して大騒ぎしたんだっけか、それで和平会議の後のパーティーで再開して親友になったらしいな、それが国家の指導者になった今でも関係が続いている。」


そうこの世界では史実の第一次大戦の原因となったサラエボ事件は起こったものの死ななかったのである

その後戦火が飛び散るのを防ぎたかった両国の親分であるゲルマン帝国(略称)とモスクワ連邦は協力して調査、その結果ダキアの過激派の策謀と判明したのだ...その判明した背後に某極東の帝国の諜報機関が両国の支援に動いていたのは暗黙の了解になっている


公私両方で仲が良い両者の会話は夜遅くまで続いた

兵器の性能諸元試しに纏めてみようかな

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