核兵器
1936年10月15日午前6時
帝都東京 御所 食堂
前日京都から戻って来た前皇帝とその伴侶...宏仁大帝と良子が目覚め、朝食を取る為庭園に隣接している食堂にやってきた
食堂には既に現皇帝神楽とその伴侶の直哉、そして対外的には直哉の伴侶とされている幸とグレイス、さらについ先日退職した皇居料理長の後を継ぎ料理長兼直哉の4人目の伴侶となったゲルマン系を中心にガリアとモスクワとほんの僅かに扶桑の血が混じっているクォーターのコゼット・H・アンデが揃っていた
彼ら以外には護衛の近衛兵2人と大臣クラスの官僚に加え、何故か庭から入って来た菊花馬の陸王丸とその家族(メス1頭に子供2頭)がいた、もっともこの場にいる人間全員動物も家族の一員という意見なので特に反対する者はいない
そして神楽の席の近くに設置されているベビーベットの中で生まれたばかりの輝夜がスヤスヤと眠っていた
そして神楽が2人が来たことを確認すると
「では揃ったようじゃし食事にしよう、コゼット頼んだ。」
とコゼットに話した
コゼットはそれに
「ク、クヒヒ...か、かしこまりました...本日は昨日届いた献上品のサツマイモと天然物のなめこで、お味噌汁に致しました...後はいつもの固めの御飯と豚と牛の腸詰、食後のデザートにちょっと豪華に献上品の南国果物の盛り合わせを用意しました、陸(陸王丸の愛称)ちゃん達にはいつもの牧草ね...クヒヒ、作り甲斐がありました」
とかなり緊張しているのかかなり挙動不審になりながら給仕を始めた
そして給仕が終わると食事を始めた
食事は和やかに進み、食後のデザートとコーヒー(陸達は普通の水)を楽しんでいると直哉が
「そうだ、丁度集まってるしこの戦争とこれからの方針を改めて報告しましょうかね。」
と真剣な表情に切り替えて報告を始めた
周りの雰囲気も真剣なものに切り替わり、待機していた近衛兵が世界地図を一同が食事をしていたテーブルに広げた
直哉はそれを確認すると報告を始めた
「まず全体的な報告を行います...現在の大まかな戦況としてはどの戦線でも我が同盟陣営有利、このままいけば確実に勝てるでしょう、そして技術に関しても1950年代位にはなりました、現在帝国軍全体で大規模な兵種と師団構成の変更と兵器の近代化及び新兵器の開発を大規模に進めています...志願兵の大規模な増加に伴い総兵力が200万まで届きました、現在辞退可能な半分志願制の徴兵を行い予備戦力の錬成を行っています、同時に戦局の展開によっては総動員令を発動し1500万の戦力を確保しても大丈夫なように物資の備蓄を急ピッチで進めています。」
直哉がそう報告し座ると、内務大臣の黒崎が続いて立ち上がり
「内政に関してですが、現在帝国領各地にて大規模なインフラ整備と発電施設関係の建設を訓練も兼ねて陸海両軍の新規に編成された工兵部隊の支援の下行っております、また技術研究に関しても恐ろしい勢いで進行しており、それに伴い新たに政府主導の元に電子部品工場の新たな建設も開始しております、更に核技術に関しても進歩があり、粗悪ではありますが原子爆弾の製造にも成功しております...それと直哉君からの提案により帝国領と占領地全域で編成され始めた自衛組織『自衛隊』の第一陣が編成完了、現在本州の軍需工場にて生産された簡易式の半自動小銃とその弾薬の配備を行っております、自衛隊を占領地でも編成した理由ですが治安維持の為であり、現地の自衛隊には『犯罪者と猛獣以外とは戦うな』と言明しております...他には極右や極左系の報道機関に対する検閲を強化し、国民を扇動させないよう目を光らせております。」
と報告した
それに大帝が厳しい表情を浮かべながら
「...どういうことかね? 何故核兵器を作った!」
と問いただした
それに直哉が
「指示したのは自分です義父上、いずれは連合陣営でも原爆は作られるでしょう、ならば先にこちらが作り対抗するしかありません、現に合衆国に潜入している諜報員から合衆国が原爆に関する研究開発『マンハッタン・プラン』を行っているとの報告が上がっています...勿論使いません、作るのも10発までとするのに加え厳重に封印して置きます、あくまで保険ですから。」
と釈明した
大帝はそれに理解したのか頷いた
そして陸軍大臣の石原が報告を始めた
「陸軍と致しましては現在抱えているシャム・アフリカ・欧州南部の3戦線にて大規模な攻勢を計画しております、それに伴い現在膠着状態のサンディエゴ戦線から旧式化した軽戦車部隊を中心に3個師団引き抜き、代わりに最新鋭の重自走砲部隊を中心に2個師団配備しております...またそれに伴い旧式化した兵器を使い尽くすか売り払う事を決定しました、外務省との協議の結果主な輸出先はゲルマン連邦やモスクワ連邦等の同盟諸国や保護国のハワイ王国を予定しております、またその対価として技術や資源に加え兵器の輸入を行う予定です。」
石原の報告が終わると、海軍大臣の島郷が報告を始めた
「海軍としても陸軍と同じように旧式化した艦艇を輸出、同じく兵器を中心に輸入を行う予定です...それに伴い補助戦力と補給手段の拡充と兵器の近代化を行っていきます、またパナマ運河攻撃も計画されており成功した暁には太平洋は更に我々にとって安全な海になるでしょう...それと本州防衛の為海岸線に陸海共同で建設していた防御要塞線と航空基地が完成しました、これで戦略爆撃や奇襲上陸の危険が無くなりました。」
石原の報告が終わると、外務大臣の芝原が
「外交状況に関しては特に問題ありません、絶えず捕虜の返還作業と並行して連合陣営に対して講和会議の開催を打診し続けております...それとかねてから注目しているハワイ王国の状況でありますが、かなりまずい事になってまいりました、ハワイ王国内の移民地区では合衆国からの移民を中心にテロ活動が本格化しております、彼らの背後には連合陣営がいるようで収まる気配がありません、それに伴い我が国のウルル大陸やウルレレ島にある移民地区でも連合陣営の支援の元大規模なテロ活動が確認されております、ですのでこれからは足元を固める事に注力して参ります。」
そして最後に直哉が
「まあそういう状況です、芝原さんの言う通り戦局が有利なうちに地盤固めに注力していきます。」
と報告した
それに神楽と大帝は頷くと
「うむ結構、しかし絶えず絶対に講和する道を模索し続けるのじゃ。」
「核兵器に関して始めは怒りが込みあがったが報復以外で使わないんなら結構、全員体調を崩さないようにね。」
とそれぞれ話し、解散となった
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新兵器紹介コーナー
九式主力戦車『シロ』
『チリ』を更に改良し生産性と性能向上を図ったもの
一日で5台出来る程生産性が高く、派生型も含め大量生産された
名前の由来は主力戦車のシと主力戦車としては二番目に開発された事からロ
全長 8m
車体長 5.9m
全幅 3.3m
全高 2.8m
重量 44t
速度 48km/h(整地)
37km/h(不整地)
行動距離 300km
装甲 前面 75mm
側面 50mm
後部 40mm
武装 通常型 主砲 三六式90mm対戦車砲(三四式よりも貫通力を高めた物)1門 60発
副武装 三六式軽機関銃×2
対空型 主砲 三六式20mm四連装機関砲 2000発
副武装 三六式軽機関銃×2
水陸両用型 主砲 短砲身75mm榴弾砲 1門 70発
副武装 三六式軽機関銃×1
非武装派生型 野外炊事型 汎用輸送型 野戦陣地作成型
乗員 4名
エンジン 飯島重工製550馬力ディーゼルエンジン
九式支援戦車『オロ車』
対戦車自走砲として『オイ車』の設計図を参考に開発された支援戦車
主砲として固定式の高火力超射程の120mm砲を搭載しており、M26パーシング重戦車を一方的に撃破させることが出来る
全長 9m
全幅 7m
全高 2.1m
重量 59t
速度 前進時20km/h 後退時35km/h
武装 主砲 三六式120mm長砲身対戦車砲改1門 60発
副武装 三六式軽機関銃×2
装甲 前面装甲:100mm
側面装甲:50mm
乗員 8名
エンジン 飯島重工製700馬力ディーゼルエンジン1基
三六式大型赤外線誘導噴進弾『桜花』
陸海両軍技術局の総力を上げて開発された赤外線誘導式の大型噴進弾
史実の桜花の操縦席を無くしたような外見になった大型噴進弾
主に艦隊を守る巡洋艦や駆逐艦クラスの艦を超遠距離から攻撃する為に索薬量を1.3tに減らされている
直哉はこれを始めてみた際
「もしも有人式の特攻兵器作りやがったら全員銃殺刑だ。」
とドヤ顔をしていた開発陣に殺気と共に言い放ったという、その際開発陣の大半がちびりかけたのは言うまでもない
75mm速射防空砲
海軍が対空隊小型艦用に特化させた汎用艦載兵器として開発した中型砲
この砲を一言で説明すると、『焼夷榴散弾をばらまく為の砲』である
一分間に18発の焼夷クラスター弾をばらまくことで、複数の砲を合わせたら空に文字通り焼夷弾の壁を築くことが出来る高性能砲である
ただ開発されたばかりで高コストなのと壊れやすい事から本国の防衛艦隊に配備されることが決定されている




