皇居の守護獣
完全に自分の趣味です...
凄い早く出来ちゃった...
扶桑帝国帝都東京中央部にある皇居、そこは帝国の政治の中枢たる国会議事堂と同レベル...いや、それ以上の警備が近衛兵達によって敷かれており史実での皇居の倍の面積を誇る天然の城塞でもある
そして扶桑帝国の大部分の国民達はそこが
『二個大隊規模の近衛兵達と皇帝の短刀達(皇帝直属の諜報機関)』
によって守られていると思っている...しかし当事者の近衛兵達や皇居に出入りする者達はそう思っておらず、そういう風に思っている人々に聞かれたら必ずこう言っている
『確かにそこには君達が知っているような位かそれ以上の警備がされている、しかしそれがあそこを城塞としているんじゃない...あそこには守護獣がいるから城塞になっているんだよ。』
と...
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とある夏の日の朝、いつもと変わらないように太陽が昇って来て、皇居の敷地内にある自然に飲み込まれたような状態に偽装されている大きい小屋に朝日を照らした、そして朝日が小屋に降り注ぐ時間になると小屋の脇に併設されている宿舎から10名の兵士達が出てきて小屋の中に入っていった、そこは皇居の守備に付いている近衛軍や陸軍の守備隊が運用...飼っている動物たちが寝床として使っている動物小屋である、入っていった兵士達は日ごとに男女関係なく志願した者達(150人)の中から選抜された者達(30人)が日替わりで動物達を世話をしている飼育担当達である、そして彼等は元気に食事を待っている動物達に前日の内に大量に作っていた食事を配っていく
小屋の中からは
『『『ワンワン!』』』
「おはよう皆今日も元気だね、そしてお待たせ、残さず食いなよー。」
『『『ニャーニャー!』』』
「コラ~、ちゃんとあげるから待ってなー。」
といった声が響いている
彼等は小屋に入ってすぐにある左右のエリアを寝床としている犬や猫、緊急事態用の伝書鳩に食事を与えると少し緊張しながらもウキウキしたような様子で奥のエリアに入っていく
なんせそこに住んでいるのは、侵入者対策用に調教された軍用戦闘犬20匹にネズミ狩り用に調教された猫15匹に伝書鳩5羽だけでは無く...
『『『ブルルル...』』』
「「「おはよう。」」」
近衛儀仗隊が運用している軍用馬兼侵入者警戒用馬11頭とその家族20頭の本来なら重馬と呼ばれる位の大きさの馬の群れである
しかし本来なら馬という生き物は繊細で、食事の時間が近づいたりちょっとでも過ぎると鼻を鳴らしたり吠えまくったり後ろ足で馬房(馬の寝床)の壁を強烈な勢いで蹴って壊すなどハチャメチャな行動を起こす生き物なのだが、ありえない事にこの場にいる馬達は皆静かに馬房の中で待っているのである...さすがに生まれてから一年未満の子供達まだかまだかとそわそわしているがそれでもおとなしく待っていた
そして彼等が丁寧に昨夜のうちに作っておいた食事である数種類の穀物を混ぜた飼料を器に入れた物を馬房の中に入れると全頭が嬉しそうに鼻を鳴らすと食べ始めるのである
そしてその間に彼等は先に食べ終わっていた犬や猫を外に解き放ち皇居の警戒任務やネズミ狩りの任務に送り出すと、夜間にした馬の糞や尿を吸い込んだおがくずを一輪車に積むという馬房の掃除を手慣れた様子で分担して始めたのである
そして全ての馬房の掃除が終わるころには全ての馬が食事を終えていた
そしてそれを確認すると
「えー、それでは本日の業務を通達します...」
と大真面目な表情で話し始めたのである
馬達もそれを真面目に聞いており、一種のおかしい状態がこの場に出来上がっていた
何度も繰り返すが本来なら馬はある程度人の言葉を理解するとはいえ、本日の業務内容を理解できるほど頭は良くないのである...その分記憶力は良いのだが幾ら何でも無茶である、しかしこの場にいる馬達は皆それを理解したのか話が終わると6頭を除いてそれぞれ担当地点に向かう4人兵士に続いて、本来なら顔につけなくてはどこかへ行ってしまう程の重要な道具である頭絡も着けずについて行った、そして残った兵士6人は水を入れる容器を洗い始めた
洗い始めると残った6頭の馬達は兵士が先導もしてないのに小屋から出て行った、兵士達も特に気にした様子もなく作業を行っていた
そして薄暗かった小屋から鼻を鳴らしながら出て来たのは...
「「「「「ブルル」」」」」
「ブルルル!」
5頭の地面から背中まで3メートル近い重馬と地面から背中まで3メートル40センチは軽くある程の巨大馬だった
この馬は200年前に扶桑各地の馬達を品種改良していく中で突然変異で生まれた種類で、名前を
『菊花馬』
と言う
現状扶桑本州の軍用牧場でしか生産されておらず、外国にも輸出が禁じられている馬である
その突然変異で得た巨大な体格と凶悪なまでの重量と運動能力からまさに戦う為に生まれて来たと言わんばかりの馬だが、この馬本来の価値はそれだけではない
なんとこの馬、人間でいうならば20歳近いレベルの知能を有しているのである!
その理由としてはその巨大な体格により脳も肥大化した為である、その知能の高さから海外の学者たちは
『神に選ばれて地上を支配している人間にとって代わるような生き物危険すぎる! 絶滅させろ!』
と一時期声が上がったが、彼等を育てている扶桑の人々や菊花馬達は
『あんだとゴラァ! 逆にそっち絶滅させてやるぞ!』
激怒し逆に脅し返すほどの状態にまでなったのである
何がともあれ彼等は声帯の構造から人の言葉は話せないが、理解できるため行動で返事を返す事でコミュニケーションを行えるのである
そしてそんな誉れ高い『菊花馬』の中でも最強であり最大の大きさなのが、ここ皇居の群れを率いる名前を
『陸王丸』
という巨大馬である
この陸王丸...通称『陸』はプライドが高く、自らが認めた者にしか乗せない馬である
認められているのは二人の騎手と現皇帝の一族、そして近衛武官である小林直哉である
陸は今日も群れの皆が元気だと確認すると、パカパカでは無くドカドカと音を立てながら見回り兼食事ををしに歩いて行った




