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新たな艦艇群と新たな力

1936年5月3日午前10時

帝都東京 御所 執務室


本来執務室からは書類が擦れる音と何かを書く音が聞こえるのだが、この日は何かが机の上に当たる音が断続的に響いていた

執務室の中では丁度東京の皇居に戻ってきていた神楽が妊娠している体に負担を掛けないようにソファーに正座しており、直哉が椅子に座りながらペンを机にトントンと断続的に叩きながら機嫌悪そうにしていた

神楽自身は久し振りに京都から戻って来たと思ったら、いきなり執務室に連れ込まれた挙句正座させられた為何が何だがわからない状態だった

そして神楽が執務室に連れ込まれてから10分程経つと、居心地が悪いのか神楽は


「えーと...なぜわらわは正座させられてるのかの...?」


と直哉に尋ねた

それに対する直哉の返答は、無言で立ち上がり一枚の書類を差し出す事だった

神楽は差し出された書類を確認した、書類には

『軍から指示された天朝からの農民の亡命希望者受け入れについて、予想以上に亡命者が殺到しており指示願う』

と書かれていた

神楽は何故差し出されたのか分からなかったのか頭を捻った

神楽が書類から目を離し直哉を見ると、直哉は機嫌悪そうに


「...一つ聞かせろ、この指示は神楽が命じたのか?」


と尋ねた

神楽は真面目な表情になると


「...正確に言えば岩倉と黒崎と石原の三人に相談して密かに命じたのじゃ、天朝の国力を下げ扶桑の力を上げる為にの。」


と返した

直哉はその言葉を聞くと、機嫌悪そうな雰囲気を消して片手で頭を抱え溜息を吐きながら


「...こんな事やるんだったらせめて俺は通さなくて良いから島郷さんにも話を通してくれ。」


と告げた

神楽はそれに疑問の声を上げようとしたがそれよりも先に


「昨日海上警察(治安維持の為の警察組織、海軍とは別)から報告があってな、最近李朝王国(天朝帝国の属国)や天朝帝国から、モスクワ連邦との国境都市にあるウラジオストクに駐屯している第7師団の駐屯地とか海岸線から直接船で高砂大島や本州に直接亡命してくる連中が出てきて大騒ぎになってるんだよ、モスクワ連邦からも軽くではあるが苦情が入ってる...御蔭で東南アジア防衛の為に編成した小型艇隊をそういった連中の為に配属を急遽変更する羽目になった。」


と話した

神楽はそれに申し訳なさそうに一言


「す、すまん...」


と話した

直哉は手をヒラヒラと振り気にするなと合図すると、話を変える様に


「まあ旧式の小型艇を亡命者対策で使うから良いよ、東南アジアには量産が始まったばかりの新型の海防艦と戦闘艇を送るから、こいつが性能諸元だ。」


と苦笑いしながら話すとソファーに座った神楽の隣に座り機嫌良さそうに肩を引き寄せると、性能表を手渡した

神楽も機嫌良さそうに引き寄せられると、性能表を見た


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甲型汎用海防艦

各地の海岸線や輸送艦隊護衛の為設計開発された大型海防艦

量産性と整備性向上の為と長距離航海の為、かなり大型化しゆとりを持たせている

現計画では50艦建造する予定


性能諸元

排水量 基準:980t

全長 80.8m

全幅 9.2m

吃水 3.05m

機関 チ号ディーゼルエンジン二基二軸

   4,400馬力

速力 最大 20ノット

燃料 重油

航続距離 20ノットで7,000海里 

乗員   80名

兵装 12.7cm単装両用砲 前部1門後部1門の計2門

   ボ式40mm2連装機関砲2基

   三三式爆雷投射機2基

   爆雷投下軌条2基

   爆雷100個

   機雷掃海具

   三六式対空電探1基

ソナー 三六式水中聴音機

    三六式水中探信儀



甲型哨戒艇

戦時量産型の小型哨戒艇

整備性と量産性、更に素人でも扱い易いように設計された哨戒艇

軽巡洋艦以上の艦艇にも搭載予定の為、現計画では800艇建造予定


性能諸元

排水量 24.3t

全長 18.00m

全幅 4.30m

吃水 0.728m

機関  飯島重工製940馬力ガソリンエンジン二基二軸

    1,880馬力

速力 38.0ノット

航続距離 33ノットで290海里

燃料 ガソリン

乗員 7名

兵装 ボ式40mm機関砲1門

   爆雷6発  

対潜装備時 25mm機銃1門

      対潜小型8連装迫撃砲1基


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「こりゃまたたくさん建造するのぅ...」


神楽はその建造予定数の多さに思わずそう呟いた

直哉は神楽の大きくなった腹を撫でながら


「なに全部を1度に使う訳じゃない、2割位は各地の港に置いといてローテーションさせるからね。」


と優しく話した

神楽もくすぐったいのかクスクスと笑いながら


「聞いた話じゃと椿型を始めとする量産艦艇を今現在建造中のだけ完成させて、建造が始まってない量産艦艇の建造は中止させるそうじゃな、人員確保の為かの?」


と話した

直哉は立ち上がり、執務室に置いてある一番上の棚にに氷を置いて冷やすタイプの冷蔵庫からお茶を取り出し


「それもあるがそれ以上に理由があってな、椿型の後継艦が設計完了したから更新するんだよ...まあ、こんな怪物兵器もあるからだけどね。」

 

とお茶と一緒に別の書類を差し出した

神楽はその書類を見た


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最上型汎用重巡洋艦

本艦は量産型重巡洋艦として設計されていたものを、椿型の後継艦として新たに手を加えた物である

量産性を高める為無駄な部分は徹底的に省いており、それにより少々防御性能が下がってしまったがそれ以上に搭載量に余裕が生まれている

また新開発された噴進式の武装を試験搭載した、新時代艦艇である


排水量 基準:11,400t

全長 220.6m

全幅 21.6m

吃水 6.15m

機関 チ号ディーゼルエンジン

   152,000馬力

最大速力 35.0kt

航続距離 14kt/8,000ノット

燃料 重油

乗員 874名

兵装

重巡洋艦時 50口径20.3cm連装砲塔 前部後部2基ずつの計4基

      65口径12.7cm連装速射両用砲 左右2基ずつの計4基

      ボ式40mm連装機関砲6基

      ブ式12.7mm連装機銃2基

艦対地空30連装小型噴進弾『タイ』 前後1基ずつの計2基

      74cm3連装魚雷発射管2基 弾種『三六式噴進対艦魚雷』

搭載艇 対潜装備の甲型哨戒艇2艇

搭載機 水上偵察機『瑞雲』2機

空母時 65口径12.7cm連装速射両用砲 左右それぞれ1基の計2基

    ボ式40mm連装機関砲8基

    ブ式12.7mm連装機銃2基

搭載艇 対潜装備の甲型哨戒艇2艇

搭載機 噴式艦上戦闘機『火竜』12機 噴式艦上攻撃機『風竜』8機 水上偵察機『瑞雲』6機

計26機

飛行甲板

斜線方式飛行甲板

後部可動式噴射保護版(発艦時の噴射から艦を守る為に設置)

中央部運搬エレベーター1基    

汎用クレーン1基

油圧式カタパルト1基

航空巡洋艦時 50口径20.3cm連装砲塔 前部2基

       65口径12.7cm連装速射砲 左右それぞれ1基ずつの計2基

       ボ式40mm連装機関砲6基

       ブ式12.7mm連装機銃2基

搭載機 噴式艦上戦闘機『火竜』8機 噴式艦上攻撃機『風竜』3機 水上偵察機『瑞雲』2機 計13機

後部斜線方式飛行甲板

後部可動式噴射保護版

後部運搬エレベーター1基

汎用クレーン1基

艦対地空30連装小型噴進弾『タイ』 前後1基ずつの計2基

油圧式カタパルト1基

装甲 舷側:100mm

弾薬庫:140mm

甲板:35~60mm

主砲塔:25mm


噴式艦上戦闘機『火竜』

扶桑帝国で初めて正式採用されたジェット戦闘機

格闘戦よりも一撃離脱戦に特化している


形式:低翼

乗員:1名(操縦者)

全長:11.50m

全幅:13.70m

全高: 4.05m

主翼面積:25.00m

全備重量:7000kg

エンジン:イ号噴射式エンジン2基 静止推力908 kg ×2

最大速度: 852km/h

実用上昇限度:12,000m

航続距離:980km

武装:30mm機関砲 ×2(各200発搭載)

   三六式無誘導小型軽量墳進弾左右主翼に3発ずつの計6発


噴式艦上攻撃機『風竜』

『火竜』を攻撃機化した物   

対艦攻撃後に制空戦闘も可能


形式:低翼

乗員:1名(操縦者)

全長:11.50m

全幅:13.70m

全高: 4.05m

主翼面積:25.00m

全備重量:7000kg

エンジン:イ号噴射式エンジン2基 静止推力908 kg ×2

最大速度: 852km/h

実用上昇限度:12,000m

航続距離:980km

武装:30mm機関砲 ×2(各200発搭載)

   腹部格納式500kg爆弾 ×1



65口径12.7cm連装速射砲

超10cm連装対空速射砲を強化した物

対艦徹甲弾や10cm砲では使用出来なかった対空近接信管付き榴弾に対地榴弾も撃てるようになった



艦対地空30連装小型噴進弾『タイ』

とある技術者がその時近くにいた設計士を巻き込んで作り上げた新型兵器

榴弾換算で75mmクラスの噴進弾によって制圧砲撃を行う

射程は4000m



三六式噴進対艦魚雷

分類としてはロケット魚雷に当たる物

とある技術者と研究者が夏にロケット花火をした際に間違って水の中に打ち込んでしまい、その際に恐ろしい速さで水中を走っていったのを見て閃いたもの

研究自体は7年前から行われていたが研究費の無さから凍結されていた事を知った直哉が再開させて完成させたもの

従来の酸素魚雷よりも射程距離が半分程になっている、しかしその欠点は元々使用距離が短いので気にしていない

この魚雷の売りは、威力と速さと値段である

威力は推進機関が小さくなった事による索薬量の増加、速さは噴進機関による隠す必要が無いほどの160ノットにまで高速化、値段は高価なスクリュー機関から安価で量産性の高い噴進機関の変更により従来の高価な酸素魚雷の4割程になっている

そして問題点は製造できる工場が少ないという点である、その為現在海軍では製造工場の建設を急いでいる

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神楽は資料から目を離した

直哉はそれを見計らって


「噴進弾は強力な武装だ、それこそ航空機に並ぶ歴史を変える程のな、絶えず連合の一枚上を走ってやるさ。」


と話した

神楽はそれに


「...叩きのめすのは良いが、和平出来るならちゃんとするんじゃぞ?」


とこめかみを抑えながらそう呟いた



後に連合諸国は

噴式艦上戦闘機『火竜』はその速さと強力な武装で行われる一撃離脱戦法に恐怖し『ファイヤードラゴンが出てきたら即座に逃げろ。』と本部から通達され恐怖の代名詞になった

噴式艦上攻撃機『風竜』は攻撃機の癖に制空戦でも『火竜』に劣らなかった事から『タイフーン』という異名を付けられた

65口径12.7cm連装速射砲は扶桑艦隊を攻撃する合衆国のパイロット達から『ガンランス』と呼ばれ怨敵扱いされた

艦対地空30連装小型噴進弾『タイ』は海戦ではそこまで戦火を残せなかったが(扶桑基準)、陸戦用に改造された物はサンディエゴ戦線や後の欧州戦線では自走式や牽引式、しまいには主砲や副砲を撤去して自走砲化されたオイ車に搭載された後、その高威力高射程に物言わせて戦車も含めた地上部隊をを薙ぎ払った

三六式噴進対艦魚雷は後に小型化され潜水艦にも搭載された後、輸送艦隊を護衛艦隊も纏めて壊滅させて『リーパー・オブ・スティック(死神の鎌)』と呼ばれ恐れられた


この話を聞いた直哉は大笑いして研究所の予算を更に上げたという

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