ロ号作戦終了
これからはかなり更新頻度落ちてしまいます、御了承ください
1936年2月11日午前10時
御所執務室
この日直哉は執務室で、海軍省から報告に来た士官からロ号作戦の詳しい報告を受けていた
「...との事でロ号作戦は大成功と言っても過言では無いでしょう。 それと鹵獲した艦艇の詳細についてですが、補助艦艇は多いので省略しますが主力艦である正規空母では『ホーネット』『レキシントン』『エンタープライズ』『ヨークタウン』の四隻と軽空母は『インディペンデンス』『プリンストン』の二隻の鹵獲に成功しました。 戦艦では『アイオワ』『ニュージャージー』『ミズーリ』『ウィスコンシン』『モンタナ』『ネバダ』『ペンシルバニア』『アリゾナ』の八隻の鹵獲に成功 主力艦の総鹵獲数は計一四隻です...とは言っても全ての艦載機と武装を壊されており挙句の果てスクリューすらも壊してあるので修理が済むまで動くことも侭なりませんから戦力としては数える事も出来ないでしょう...因みに鹵獲した艦艇の修理が完了するのは8月頃に成るかと。」
その士官の報告を聞き終わると、直哉は
「そうか...精々半分位かと思っていたんだが、まさか丸ごと釣れるとはね...修理が終わったら本州に移送する様に計画を立ててくれ、彼女達も鹵獲されたとはいえ自らが生まれた国を撃ちたくは無い筈だ...誇り高い平氏の流れを汲む君達なら俺が言いたい事もわかるな? 絶対に彼女達に親を撃たせるんじゃないぞ。」
と報告書を見ながら、落ち着いていながらも有無を言わせぬ口調で命令を下した
士官は直哉の言葉に少し驚くとニヤリと笑い
「我が帝国海軍の流れをご存じとは御見逸れしました小林直哉近衛武官殿、海軍内部でも知っている者は少ないのですが...そういうと思い既に準備を始めております、外務省では合衆国に対して鹵獲艦艇を賠償金代わりにしようと動いているようです、恐らく大戦が終わるまでは本州で過ごす事になるでしょう。」
と話すと、笑みを消し真面目な表情になると
「武官殿にお尋ねします、武官殿は平時では艦艇はどうあるべきだと御考えですか?」
と尋ねた
直哉は報告書から目を離して士官に目を向けると、ゆっくりと話し始めた
「俺は...いや、私は錆び付いているべきだと考える、これは艦艇だけではなくありとあらゆる兵器に言える事だ...錆び付いている兵器と錆び付いていない兵器のどちらが良いと聞いたら恐らく大多数の人々は錆び付いていない物の方が『綺麗だから良い。』だと答えるだろう、しかし私を始めとする一部の人々は錆び付いている兵器を『良い』というだろうと言うだろうね、それは何故だと思う?...そんなの決まっている、錆び付いている兵器は使われていないからだ、使われずに錆び付くことが戦う為に生まれた彼等にとって良い事だと考えるからだ...人間という種は愚かな生き物だ、感情や欲望といった物で同じ種同士で殺しあうからね、でもこれだけは言える...そんな愚かな生き物である人間だが、他の生き物と同じように感情を持っている事でそうした事を抑制する可能性を持っている...私はそう信じている。」
直哉はそこまで話すと、士官に穏やかな笑みを向け
「だからな、こんなくだらない戦争とっとと終わらせよう、兵器である彼等をとっとと錆び付かせてやろうじゃないか...そして叶う筈の無い願いではあるが、錆が取れる事が無い事も祈りながらね...」
と話し、椅子を回して体を真後ろにある窓の方角へ向けた
士官は直哉に最敬礼すると部屋から出て行った
だが部屋から出ていく直前に
「私は武官殿が戦争を望んでいない事に安心しました...とっとと戦争を終わらせましょう。」
と言い残していった
直哉は士官が出て行った後
「...ああ、こんな実にくだらない戦争を終わらせよう。」
と一人呟いた
窓から見える空は実に綺麗な青空だった




