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ロ号作戦その三

「いやーすげぇなこりゃ、アメ公がかわいそうって思えてくるね。」


「そ~ですねぇ、まあ扶桑舐めてた自分達の自業自得ですけどねぇ~」


「...拓海もナルも何でそんなに落ち着いていられるのよ! ここ戦場よ!」


1936年2月8日土曜日午後1時

サンディエゴ上空1500m


既に扶桑帝国軍は上陸し、時間御を稼ぎ少しでも扶桑の侵攻を止めようとする合衆国軍との間で市街地戦に突入していた

そんなサンディエゴ上空を飛ぶ海上爆撃機海竜の中でそんな会話が交わされていた

早川はイリマの言葉に


「だって落ち着いていないと逆に危ないよ、それに今回の任務は地上の友軍部隊からの要請に従って爆弾を落としたり機銃掃射をするだけだしねぇ~...気を張りすぎない方が良いよ。」


とのんびり返した

ナルもそれに頷いた

イリマは大きく息を吐いた、そしてその時丁度交通の要衝を制圧している地上部隊から


『こちら海軍陸戦隊第二小隊! 航空支援を要請する! 敵は十字路に簡易防御陣地を構築して抵抗している! 爆撃を頼む!』


と通信があった

早川はそれに


「こちら椿一番艦所属第一小隊一番機要請を受諾した、煙幕を頼む...いや只今上空から確認した、これより爆撃する。」


と答えた

通信からは


「感謝する! なるべく早く頼む...ああくそ! 敵の新型戦車確認! 一番機! 敵戦車に目標を変更してくれ!」


と返事と報告が返って来た、無線からは銃撃音を掻き消す様な戦車が奏でるエンジン音と砲撃音が響いていた

早川は


「了解した、イリマにナル 行くぞ!」


と二人に伝えてから爆弾を投下する為降下し

そして戦車と装甲車を盾にしている第二小隊と道路を挟み交戦中の敵戦車と敵防御陣地を目標に


「投下用意...今!」


と高度300mという低高度で翼にぶら下げていた二つの250キロ爆弾を投下した

投下された爆弾はヒューーーという音を立てながら敵戦車と敵防御陣地に一発ずつ命中し、両方とも吹き飛ばした

地上からは


『目標の撃破を確認した! 感謝する! 我が隊は十字路を制圧後、この先500m先にある合衆国軍の車両整備場の制圧に向かう! すまないが上空からの偵察をお願いしたい!』


と感謝の言葉と更なる要請が送られてきた

それに早川は


「要請了解、ただもう爆弾は使い切ったので偵察と機銃掃射しか出来ない、そこは覚えておいてくれ。」


と話した

それに無線からは


『ははは! それだけ出来れば十分だ、それじゃあ偵察したら報告してくれ、交信終了!』


と笑い声が響き無線は切れた

早川は


「さてと、それじゃあ偵察に行きましょうかね。」


と機体を車両整備場に向けた

それから5時間後の午後6時にサンディエゴは扶桑に完全制圧された

この戦いで合衆国軍は、かねてから進めていた扶桑帝国領のウルル大陸制圧作戦である『ジャッジメント作戦』の為に集められていた兵器の数々が扶桑によって鹵獲されてしまった

その影響は大きく、鹵獲された兵器の一部は扶桑本土に送られ解析された挙句、サンディエゴを奪還しようとする合衆国軍に対し壁となって立ち塞がった

その中でも合衆国軍に猛威を振るったのは

M16 MGMC 自走対空砲

M26パーシング重戦車

M36ジャクソン対戦車駆逐車

などだった

M16自走対空砲は建物の陰からそのМ2重機関銃4丁から放たれる弾幕で歩兵隊や航空機を薙ぎ払い、M26重戦車は侵攻してくる合衆国軍の自動車化部隊を吹き飛ばした、M36対戦車駆逐車は車両数こそ少ない物の侵攻してきた合衆国機甲部隊を撃破していった

他にも、扶桑帝国の主要資源供給源に大打撃を与える為に集められた膨大な量の物資や、合衆国有数の軍事港湾都市であるサンディエゴというだけあって車両や火器等の工場やそれらを支える物資生産工場が建てられており、その工場群から弾薬等を生産する事により、扶桑本州やウルル大陸から出発した大規模輸送艦隊が到着するまでの間、サンディエゴには敵味方とも合衆国製兵器で交戦するという光景があちこちで見られる事となった

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