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天朝暴走

1936年2月7日金曜日午後9時

本来ならそれぞれ戦争に備え仕事に戻っている筈の大臣達なのだが、急遽外務大臣の芝原が、一時的に神楽から皇帝の持つ権限全てを移譲されている近衛武官である直哉と本来の皇帝である神楽に緊急会議の招集を願い出て、本日二度目の会議が招集された

そして会議はいつも通り総理の岩倉が


「それでは緊急会議を始めます、では芝原君お願いします。」


と話した

岩倉から呼ばれた芝原はその言葉を聞くと立ち上がり


「では報告します、つい先程天朝駐在大使より緊急連絡がありました、内容は

『天朝帝国政府より朝貢を行えとの通告があり、丁重に断ったのですがそれに天朝帝国政府が怒り宣戦布告してきた。』との事です。」


と報告した

それに出席していた神楽が呆れた表情で


「大使館職員の事は救出せねばならんが...天朝は何を考えておる? 朝貢なんてもう千何百年も行われておらんだろうに。」


と話した

神楽の隣にある椅子に座っていた直哉も


「この時代で朝貢なんかやったら扶桑が天朝の属国になったと見られるから受け入られる筈無いだろうに...連中完全に連合陣営で戦う気だな。」


と一種の尊敬にも似たような口調で呟いた

その直哉の呟きに石原は


「まあ理由が何であれあんなに合衆国から支援受けてたら十分宣戦布告してくる事は予想出来ている、陸軍は既に臨戦態勢で迎撃すりゃ良いだけの話だ...まあ、連中の主力兵は農民に銃を持たせただけの一種の暴徒に近い物で質は無いに等しいがその分バカみたいな数で来るだろうから、弾薬が足りなくなるかも知れんがな...つってもオイ車も緊急配備するときについでに支給させれば良いだけだ。」


と話した

更に続けて島郷が


「海軍としては、天朝帝国海軍のありとあらゆる軍港を襲撃し無力化する計画は何時でも発動可能な状態にある、またシャム地方に配備されている陸軍に海軍が所有している大量の銃弾を提供できる用意がある、直ちに現地に輸送する。」


と話した

それに石原は


「すまんな島郷さん、おかげで更に余裕を持って対処出来るだろう...それとブリテッシュ連合王国領ヒンドゥスターン連邦(第二次大戦時のインドにあたる国)を経由して連合諸国からの攻撃が来るかもしれないから海軍も注意した方が良い。」


と島郷に話した

島郷はそれに


「無論分かっている、シャム地方駐留艦隊も増強済みだ...まあ予備役を新造艦に乗せただけの再訓練も済んでない艦艇ばかりしか送れなかったが問題は無いだろう、なんせ連合の極東艦隊はどれも旧式艦艇ばかりだし、大戦が起こった後は

『同盟諸国の支配する地中海を解放する!』とかほざいて返り討ちにされているからな。」


と笑みを浮かべながら答えた

さすがにその発言は看過出来なかったのか


「島郷さん、幾ら何でも連合を甘く見すぎだ、確かに連中は旧式艦艇の集まりだが数が多いから油断できない。」


と機嫌悪そうに直哉が島郷に窘めた

島郷はそれに思う事があったのか


「そうか、すまんな。」


と返した

神楽そのやり取りを聞くと


「まあ気を張り詰め過ぎるのも悪いからの、直哉お主も島郷の様に余裕を持て...天朝が連合として戦うとなると少々厄介じゃの、アフリカからヒンドゥスターン経由で戦略爆撃機が飛んできてもおかしくなくなるからの、その点はどうじゃ?」


と直哉を少し注意しながら尋ねた

直哉はそれに


「その点に関しては問題ない、既に大陸側のありとあらゆる飛行場には高高度迎撃機を少数ながら配備済み、後々ちゃんと増強しておくから爆撃されても被害は少なくなるだろう...一番の懸念は飛行士が足りない事だ、半年後には大量に教育終了するがそれまでは余裕無いぞ...陸軍海軍共に今後半年間は可能な限り大規模作戦はしないで頂きたい、半年後には好きなようにやって良いからそれまで待って。」


と話した

石原と島郷は直哉の言葉に頷いた


その後会議は夜の11時まで続いた

開戦まで後1時間...





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