開戦前夜 陸軍の超兵器と終わる日常
海軍が建造中の超兵器に会議特有の張りつめた空気が消し飛んだ後も会議は続く
直哉は海軍の報告に頭を抱えていたが、すぐさま落ち着きを取り戻して
「あー海軍のおかげで雰囲気が消し飛んだよ...それじゃ石原さん陸軍から報告をお願いします。」
と石原に話した
石原はそれに頷くと
「陸軍からの報告は少ないな、まあ太平洋に点在する離島防衛の部隊配置は問題無し、その部隊を支える補給に関しても潜水艦基地を設営したから包囲されても問題無い、大陸にある唯一の領土であるシャム地方の領土も問題無し...そうだ、伝え忘れていたが陸軍も新型兵器が出来ている。」
と報告すると、出席者達に資料を配った
資料には
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三六式主力銃シリーズ
直哉近衛武官殿より提供されたAKー47という自動小銃を元に研究者が設計した物
言わずもがなこの研究者は魔窟の住民なので既にその派生型も設計が完了している
次期主力火器として三六式自動小銃と三六式軽機関銃が本来なら夏に量産予定だったが、対合衆国戦に備え量産を開始
弾薬に関しては昨年に採用した7.7×39mm弾である三五式実包を採用する事により、可能な限り補給線を混乱させる事を無くす事に成功した
性能諸元
三六式自動小銃
口径 7.7mm
銃身長 412mm
ライフリング 6条右回り
使用弾薬 7.7×39mm弾
装弾数 30発
作動方式 長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長 870mm
重量 マガジン無し 3,900g
マガジン付き 4,400g
発射速度 600発/分
銃口初速 730m/s
有効射程 600m
三六式軽機関銃
口径 7.7mm
銃身長 590mm
ライフリング 6条右回り
使用弾薬 7.7×39mm弾
装弾数 75発
作動方式 長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長 1,040mm
重量 5,000g
発射速度 600発/分
銃口初速 745m/S
有効射程 100-1,000m
また補給手段として、『三五式三輪軽補給車』という名前で、補給用軽車両を開発し量産を開始している、実際は直哉近衛武官から提供された資料にあったジープを小型化して更に装甲を外した車両である為、何があっても戦闘に参加させてはいけない、又弾薬や歩兵火器や食料等の比較的小型の物しか運べず、重砲を運ぶ際は分解してなお複数に分けないと運搬できない欠点がある
量産が簡単なので既に300台程生産完了し、現地での輸送任務に従事している
現地から
「なかなかに使い勝手は良い、ただもう少し荷物を多く詰める様にお願いしたい。」
と報告が上がっているので現在誠意開発中
又拠点防衛用多砲塔重戦車の開発も終わり量産並びに配備開始
三六式重戦車 オイ車
全長 11m
全幅 4.2m
全高 2.5m
重量 110t
速度 前進時15km/h 後退時25km/h
武装 100mm長砲身対戦車砲1門 50発
47ミリ短砲身対歩兵砲2門 80発
三六式軽機関銃2門 1200発
装甲 前面装甲:80mm
側面装甲:45mm
乗員 11名
エンジン 飯島重工製900馬力ガソリンエンジン二基
この戦車は激戦が行われると予測されるシャム地方防衛の為に、直哉近衛武官から提供された試作戦車のデータを元に移動できる重トーチカとして開発された物
速度は前進時は遅いが後退時はそれなりに速度が出る様に設計済みである為、防衛時は心配無し
現地で簡単に組み立て出来る様に設計されているので、現地までは分解して運び現地到着後に組み立てる事でどんな場所でも展開可能
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「よし、陸軍海軍共にふざけんじゃねぇ!」
直哉は提出された資料を見てそう叫んだ
石原はそれに
「な!? まだ海軍の海上要塞よりは良いだろう、それに量産するとしてもそこまでするつもりは無い、なんせ山岳だから戦車の運用は困難だから天朝は出してこないだろうからな。」
と話した
ただそこに芝原が
「その件なんですが見直す必要があるかもしれません、実はつい先日諜報部から『天朝は連合入りを行う可能性濃厚、更に合衆国からM3軽戦車の設計図と技術支援を受けた可能性大』との報告があり戦車を大量投入してくるかもしれません。」
と報告した
それに落ち着きを取り戻した直哉が頷き
「それ件に関してはこっちでも報告を受けてる、めんどくさい事になったよ...どうやって知ったか聞くなよ?」
と話した
それに岩倉が
「ああ、その件でしたらご心配なく、出来てから古いので最早公然の秘密みたいな物ですから。」
と苦笑しながら答えた
直哉はそれに笑って答えた
それから会議は午後3時位まで続いた
そして会議が終わり執務室に戻った直哉は手に持っているロ号作戦計画書を見ながら
「(提案した自分で思うのもなんだが成功するのか不安になってきた...賭けるしかないか。)」
と考えると、計画書を机に置き、同じく机の上に積み重なっている資料を手に取りパラパラと見始めた
そして見ながら
「(義親父殿(幸の父親、諜報機関の長)からの報告では合衆国政府と軍の上層部は扶桑帝国を舐めてる、それについてはありがたい...ただ絶対に舐めていない軍の指揮官はいる筈、そうなればこちらの奇襲を警戒して艦艇を分散する筈だ、そうなればこの作戦は失敗する...北方のアリューシャン列島からの奇襲も警戒しなくちゃならないな。)」
と考えて海軍へ意見書を書く為、机の上で書類の山に埋もれていたタイプライターを手に取り打ち始めた
そして暫く打ち込んでいると
「少し休憩なされてはどうです直哉さん?」
「?! あ、ああびっくりした、幸か...どこから入った?」
忍者装束(二次創作に出てきそうな物ではなく、真面目な物)を着た幸が話しかけてきた
そして直哉の問いに天井を指差して答えると、慣れた手つきで執務室にあるティーセットを使い紅茶を入れ始めた
直哉はそれを見ながら苦笑すると
「せめてちゃんとドアから入ってくれば良いのに。」
とタイプライターから手を話しながら話した
幸は小さく笑みを浮かべながら
「だって皆入ってきそうなんですもの。」
と紅茶をいれながら話した
そして執務室のドアがノックも無しに開き
「京都土産の饅頭じゃ、一緒に食わんかのぅ?」
「詰めすぎるのもダメですよー!」
と腹が出ている神楽とグレイスが饅頭とクッキーを持ちながら入って来た
直哉はいつもの日常に笑み浮かべると執務室にある大きなテーブルを片付け始めた
開戦まであと少し...




