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働きには報酬を

「気分はどうだね軍曹?」


「...何で扶桑のエンペラー付きの近衛武官殿がハワイにいるんです?」


「ちょっと君たちに話したい事があってね、新型機の試験に便乗した。」


「...あの自分、新型機の事話して良いんですかい? 愛国心ないですが一応ステイツの軍人なんですが...?」


「「「「自分達も軍曹と同じく一応軍人...」」」」


1935年10月5日土曜日午後2時

ハワイ国立病院

ここ暫くの間ハワイ国立病院では先の『松事件』で墜落し松型駆逐艦に激突した機体の操縦士であるオットー・フランシス軍曹が入院していた

事故の際に墜落した軍曹を心配して直掩機から逃げ遅れて捕虜になった操縦士達四人が監視の立ち合いの元見舞いに来ていた

そこに直哉が病室に訪ねて現在病院は大騒ぎになっていた

直哉は病室で唖然としている操縦士達を気にせずに、連れてきた護衛を病室のドアの所に立たせて空いていたベットに座った

唖然としていた操縦士の内の一番年を食っている男が一人が


「じ、自分は隊長のアーサー・ストラウド大尉であります...話とは何でありましょう?」


と思い出したようにアメリカ式の額に軽く手を付けるタイプの敬礼をして尋ねた、周りにいた部下達も大尉に続くように敬礼した

直哉も


「やっぱり扶桑式の敬礼は慣れないねぇ、そっちの敬礼に慣れてたから。」


と英語で話しながらアメリカ式の敬礼で返した

そして


「さて、君達に良いニュースとかなり悪いニュースがある。 どちらから聞く?」


と話した

操縦士達は顔を見合わせると、大尉が代表して


「良いニュースからお願い致します。」


と話すと

直哉は頷き、軽く室内を見渡しながら


「正直な所かなり悪いニュースから聞いた方が良い気がするかね...良いニュースは君達は合衆国で昇格の上英雄らしい。」


と話した

操縦士達はそれに首を傾げた

直哉はそんな操縦士達を同情するような目で見て


「そして実に言いずらい事に、かなり悪いニュースは...君達扶桑に殺された事になってるよ、クソッタレな大統領のおかげで今合衆国の民衆のスローガンは『扶桑に懲罰を!』だってさ。」


と話した

操縦士達は始めありえないようにしていたが気の毒そうな表情をした直哉から手渡された9月17日の合衆国の新聞に書かれた


『扶桑海軍攻撃か?! 空母エンタープライズ所属の戦闘機隊の爆発を確認したパイロットの証言! 大統領は扶桑に激怒!』


という記事を見て、怒りが噴出し始めた

直哉はその様子に


「...君達が墜落した軍曹を心配して旗艦に着艦してから二週間後位かな、合衆国の駐在大使からこの新聞が外交封印袋で送られてきてね、その後外交チャンネルで合衆国から一方的に国交断絶を突き付けられてね...駐扶桑大使のグレー氏経由で君達の帰国交渉をしていたんだが無期限中止になった、この事にグレー氏もブチ切れしてね、大統領に抗議として扶桑に亡命してきた、家族と親類も丁度扶桑に観光として来ていたから心配は無いって大笑いしていたよ。」


と告げた

操縦士達は怒りを押し殺しながら


「..交渉は......どうなったのですか?」


と直哉に尋ねた

直哉は当時を思い出しているのか足を組み苛立ちながら


「こっちも最低でも君達の受け入れを求めたんだがな、電文でこう来た...『そんな者達は知らない、我が軍にはそんな名前の者達はいないから好きにしろ。』だと、グレー氏も本国から来たこの電文に激怒して今回亡命してきたのさ、合衆国の軍部の良識派もブチ切れしているようだよ...あいつらついに頭に虫が湧いたようだ。」


と怒りが滲み出ている口調で返した

操縦士達は仮にも育った国から見捨てられた事にショックを受けたのかプルプル震えていたが、隊長であるアーサー大尉が突如近くにあったテーブルを拳で叩き割った

そして手から血が滲み出ている事にも気に留めず、絞り出すように話し始めた


「自分は仕方なく軍に入った人間です...軍の操縦士になったのも民間の旅客機のパイロットになろうにも学校に行けるだけの金が無かったので仕方なくです...それでも学ばせてくれたステイツには感謝していた、そして海軍の空母の戦闘機の操縦士として働いてきました...自分なりに頑張って来た積りです.....これがその働きに対する報酬か! ふざけるな!」


始め辺りは声は小さかったが、段々話していく内にそれは怒声に変わっていった

部下達もそれに同意見だったのか顔に怒りの表情を浮かべながら頷いていた

直哉はそれを確認すると


「怒るのもわかる、ただ俺の話だけ聞くのも公平じゃないだろ? だから軍曹の怪我が治ったら一旦扶桑本州にいるグレー元大使を訪ねてくるんだ...神楽皇帝から扶桑に亡命するなら受け入れると言質を取っておいた、まあ俺が話すよりも先に言ってきたけどね。」


と話した

そしてそれに続けて


「もし亡命するなら君達に頼みたい仕事がある、全扶空(全扶桑航空会社 扶桑版全日空)のシャム地方とウルル大陸間の旅客機のパイロットを探しているそうだから紹介しよう...戦争とは無縁の第二の人生を歩むと良い。」


と話した


後に彼等はグレー大使に会い事実を確認した後

『恩に報いたい。』

と直哉に話し、反対する直哉を押し切り、旅客機の民間パイロットでは無く激戦地であるシャム地方所属の帝国陸軍航空隊として戦争の渦に飛び込んでいった...

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