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揺れ動く世界

1935年3月16日金曜日午前10時

直哉が研究所を訪れてから直哉が書類仕事に追われるようになってから、扶桑では色々と変わってきた


海軍では従来の戦術の大幅変更に、有事には対潜航空母艦や潜水艦母艦や強襲揚陸艦にもなる椿型汎用輸送艦等の最新鋭の艦艇の建造を始め、民間でもこれらの艦船建造をする場合は有事の際には海軍で使う事を条件に補助金等を出す事にしてひたすら数を貯め始めた


陸軍でも戦術の大幅変更等を行い、歩兵装備の急速な近代化にネコ型輸送車と呼ばれる輸送車が生産され、後に世界大戦と呼称される1931年の12月13日から始まった大戦での特需を受けていない軽工業や車両関係の会社にその恩恵が降りり注いでいた


内政に関しても現在戦っている連合諸国と同盟諸国の両者に食料と医療物資を輸出している特需により税収が上昇、この期を逃さんとばかりに国内各地の大規模インフラ工事を行い未曽有の好景気に笑いが止まらなかった


ただ外交は各勢力から自勢力への参加を呼びかけられていた、そもそも扶桑からしてみればこのたびの大戦は連合国の列強であるガリア共和国フランスによるゲルマン連邦帝国(ドイツ帝国)への奇襲攻撃により勃発した戦争なので、心情としては同盟諸国であるゲルマン連邦帝国とスルタン中東同盟オスマントルコとゲルマン連邦帝国の友好国であるモスクワ連邦(ロシア帝国)寄りの中立だったが日増しに強まる外交圧力に決断を迫られていた 


今日1935年3月16日金曜日の会議室で、その対応の為と正月食中毒を起こして入院していた総理大臣と外務大臣の顔見せの意味で会議が開かれる事になった 



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「それでは会議を始めさせていただきます。」


午前10時ちょうどに内閣総理大臣の岩倉健三郎いわくらけんざぶろうから会議の開始が宣言された

始めに海軍大臣の島郷から


「では海軍からご報告させて頂きます、海軍は直哉殿からの計画案に修正を加えた改革案に基づき計画を実行中です、またこの計画の要の一つである椿型輸送艦と命名した多目的艦も一番艦二番艦共に建造を開始しております、またこの椿型輸送艦は量産する事が決定しておりますので名前は付けずに、~~番艦と命名してゆきます。」


と報告した

続いて石原が

「こちらに関しても同じですな、合衆国のブローミング社よりライセンス購入した重機関銃の配備を開始、また対戦車火器であるロタ砲も配備を開始しました、補給手段も少しずつですが機械化も進んでおります。」


と報告を終えた

内務省の黒崎も


「内政もひたすらインフラ整備と公害対策をした工場の増設に邁進しております。」


と軽く報告を終えた

そして問題外交については外務大臣の芝原賢二しばはらけんじが報告を始めた


「外交に関してですが、我が国に対する圧力は日に日に増え続けております、つい先日も連合諸国であるブリティッシュ連合王国(イギリス連合王国)より大戦参加の要望が届いております、同盟諸国であるゲルマンからも要請が来ており、外務省としては形だけでも参加するべきだと報告致します、総理と皇帝陛下のご意見お伺いしたく...」


と意見を求めた

岩倉は


「私としては参加には反対だ、形だけとはいえ大戦に参加してはただでさえ増やしている軍事関係の予算を増やさなくてはいけなくなる。」


と厳しい意見を述べ、神楽も


「わらわとしても反対じゃ、このたびの戦争の大義は同盟諸国にある、連合諸国として参加するとしても大義名分が無いし同盟諸国として形だけでも戦うとしても連合は強大じゃ...いまは同盟側が戦局有利でもモンロー主義を掲げているアメリゴ合衆国が連合に参加すれば戦局は引っ繰り返るからの、今は中立国として両国の死者を間接的減らすため食料と医薬品の輸出だけで留めておくべきじゃな。」


と厳しい表情で述べた

ただ直哉は


「...そうはいかないだろうな。」


とぼそりと厳しい表情で述べた

出席者達は直哉を見た

注目を浴びている直哉は


「同盟諸国はまあそれなりに常識があるから大丈夫だろう、ただ問題は連合だ。」


そういうと直哉は立ち上がり壁に掛けられている世界地図の方に歩いて行った

そして書かれている連合諸国を指差し始めた


「これは自分の考えですが、現在連合はかなり追い込まれているといっても過言ではありません、今回の大戦を引き起こした共和国はゲルマンの攻勢に前線は後退し、ブリティッシュ連合王国は海により守られており政府は戦争継続万歳と言った所ではあるが国民は戦争継続反対っと言った所です、なぜ政府は戦争を続けているかというと合衆国の政府が大戦に参加する姿勢を見せており、つい先日もゲルマンの潜水艦により輸送船が沈められたとかで騒いでいます...実際は不法で商売していた武装輸送船なので沈められて同然です。」


とそこまで言うと溜息を尽き


「合衆国の参戦も時間の問題でしょう、そして参戦して次に狙うのは扶桑でしょう合衆国にとってこの国は目の上のたんこぶです、ゲルマンの時と同じように挑発してくる手を使うか、最悪事件を捏造して連合諸国を巻き込んで戦争してくるでしょうね...合衆国は自らを世界最強の大国と自称している位ですから、実際に工業力は頭一つ高いですからね、我が国を刀を持った誇り高い侍とするならば合衆国はライフルを持ったやんちゃ盛りで調子に乗っている若造と言っても過言ではありません、畜生が。」


と毒を吐きながら話を終えた

出席者達は直哉の話に思い当たる点があるのか頷いていた

神楽はそれを見ると


「直哉の言う事にも一理ある、各々方最悪に備え行動する様にしようかの...では解散。」


と話し、会議を終わらせた


その日の夜、ベットで夫婦がする試合で第一回戦を終えた直哉と神楽は休憩しながら話をしていた


「のう直哉、会議ではああ言っておったが実際にあり得るのかの?」


「ああ、世界が違うが連中が良く使っていた手だ。」


しなだれかかってくる神楽の問いに直哉はそう答えた


「そうか...」


神楽も直哉の怒りにも似た雰囲気で察したのかそう呟いた


「まあ、この国は内需経済だから戦争になっても経済は問題はないだろうよ、戦いになっても地理に戦力にドクトリンに問題は無いよ。」


神楽は無言で直哉を抱きしめた、直哉もそれを甘んじて受け入れた

戦争は徐々に激しくなっていく...

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