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歴史の変革

1935年1月7日火曜日午前11時30分

京都御所 和室


扶桑帝国の皇帝は代々自らの判断で退位することが出来る、その理由は様々だが一番の理由は『無理をして国民に迷惑を掛けたくない』で、神楽の父であり前の皇帝である宏仁ひろひと大帝は体の不調と始まった大戦への影響を理由に二年前退位し、現在京都御所で妻である良子よしこ皇后と一緒に海洋関係の研究と神道の儀式を神楽の代理で行いつつ療養をしていた

直哉は昨日の朝早くから神楽に


「わらわの父上と母上に挨拶に行くのじゃ!」


と無理矢理連れられお忍びで京都観光をした後一泊し、現在は神楽の両親に挨拶をすべく京都御所の皇帝が家族で使う和室で緊張しながら待っていた


「おい、大丈夫かの?」


部屋に通された際から落ち着かない様子で正座している直哉を見て、神楽はニヤニヤしながら尋ねた


「婚約者のご両親に会う事を緊張しない男はいないと思うぞ。」


直哉も神楽が緊張している自分を見て楽しんでいる事に気付いており、少し不愉快そうに返した

神楽はそれにケラケラ笑うことで答えた

そんな風に待っていると


「すまないね少々研究に夢中になってしまっていた、待ったかな?」


と言いながら四十代程の男女が入って来た

直哉は立ち上がろうとしたが、入って来た男性が手で止めさせ、二人の前に座った

そして後から入って来た給仕が緑茶が入った湯呑と高級そうな和菓子を人数置くと一礼して出て行った

そして入って来た二人が


「君が神楽の婿か、私は神楽の父の宏仁だ。」


「私は妃の良子と申します、よろしくね婿殿。」


と自己紹介した、ただ直哉は


「う、うそだろ...」


「おい、どうしたのじゃ...?」


その男性の姿を見て衝撃を受けていた

その様子に神楽も心配そうな声を出した

その男性は第二次大戦の時代を生き帝国の終焉を見届けたあの方だった


「...直哉君は私の事を知っているようだね。」


大帝は思い当たる事があるのかそう呟いた

直哉はその言葉に


「はい! まさかあなた様が...」


と言葉にならないように話した

大帝は直哉に頷くと


「ああ、私は気が付いたらこの国の皇帝になっていた...聞こう、君から見て日本はどうだった? 私がマッカーサー将軍に命を懸けただけの価値がある国になったかね。」


と優し気な表情で直哉に尋ねた

直哉は涙を浮かべながら笑みを浮かべると


「あなた様ならご存知の筈では? そうでなければあなた様が命を懸ける理由はありません、始めこそ価値があるかわかりませんでしたが少しずつ価値が出てきていました...あなた様の行動は無駄ではありませんでした。」


と言った

大帝はその言葉に満足げに頷くと俯きながら泣いている直哉の肩を叩いた

その日京都御所では遅くまで新しい家族との会話を楽しむ皇帝一族の声が響いていた



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