陸軍の改革その一
会議は海軍から陸軍に移った
「次に陸軍ですが、何よりもすべき事は歩兵装備の改良と前線への補給手段の増強ですね。」
「ん? 機甲戦力の改良ではないのかね?」
直哉の改革案に石原は疑問の声を上げた
直哉は頷きながら
「はい石原閣下、始めは自分も考えたのですが、よく考えたら無理がありますのでやめました。」
そこまで言うと直哉は、近衛に持って来てもらっていた世界地図を黒板に貼った
「ここにいる皆さまはよくご存じの事と思いますが、帝国は海洋国家ではありますが大陸にもわずかですが領土を持っております、といってもこの国が広いのでわずかに見えるだけですが...話を戻します、現在大陸における国境線...シャム地方(ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム、マレーシアを合わせた地方)には現地住民の方々からの志願兵達で構成されている師団が張り付いております、理由としては隣国である天朝帝国(中国)が政情不安による内戦勃発間近だという事もあります。」
そこまで言うと石原が
「ああ、元々天朝帝国は我が国と同じ他民族国家なんだが現在の国王が母親の出身民族である舘族よりの政策をとり元々汚職だらけだったことも拍車を掛け、かなりまずい情勢だ、こちらも情勢不安による密入国者対策の為と軍閥の暴走対策の為軍を展開している状態だ。」
と苦虫を100匹纏めて噛み潰したような顔をしながら話した
直哉はそれに頷き
「はい、今はまだ爆発しませんがもう数年したら始まるでしょう、自分もその事から戦車部隊を投入する事も考えたのですが残念ながらインフラが少ししかなく、整備しようにも山岳地帯な上にそのせいで軍用トラックも苦労する程の狭い道しかなく、戦車を配備しても部品や砲弾や燃料の輸送が間に合わないことが目に見えますので、無理に戦車を配備するよりは山岳を利用した歩兵の重火器による優勢火力による防衛線を引いた方が良いという結論に達しました」
と言った島郷も
「確かに海軍としても現在の補給線は海上輸送ののちに鉄道輸送を行った後に人馬による輸送らしいじゃないですか、現時点でもギリギリなのにそこに戦車もとなると...考えたくもないですよ石原さん。」
と石原に言った、石原もそれに同意しつつ
「だが歩兵の重火器を増やすと言ってもどうするんだね?」
と疑問の声を上げた
直哉はそれに
「それに対しては提案があります、重機関銃としてアミリゴ合衆国(アメリカ合衆国)のブローニングМ2重機関銃のライセンス生産しましょう、砲撃火力としては重砲ではなく比較的補給が楽な重迫撃砲を中心に配備をすれば良いかと、また補給を楽にする為町工場でも量産できるリヤカーにエンジンを付けたような軽車両の生産を提案します。」
と返した、そして
「理由としてはМ2重機関銃は整備性威力射程弾数どれを取っても一流です、更に対地だけではなく対空火器としても十分な性能なのでライセンス生産すべきです、軽車両ですが既存の生産ラインを食い合わせないようにするのと優れた技術を持つ町工場が少しでも潰れないようにする為の物です。」
と付け足した
石原は納得しながら
「確かにな、量産性が高ければそれだけ沢山の物資を送り届けられるか。」
といい、島郷も
「艦艇にも搭載できればかなりの戦力になりそうだな。」
と呟き考え始めた
ただ直哉は
「しかしそれでも機甲戦力は重要です、戦車は重火力走破性重装甲を重点的に開発していくべきだと考えます。」
と石原に機甲戦力の事も忘れないでと釘を刺した
石原も
「わかってる、企業にはそう伝えておこう。」
と返した
会議はまだ続く...




