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第2話ー新人研修ー

学校も休日に入り、休みだった證、明地、風祭、そして仕事がオフだった一宮が所長室に呼ばれていた。

所長の隣には風祭達が連行してきた転校生が立っていた。


「彼の調査が終わったよ。彼には我々『救世主』に所属してもらうことになった。」


「古都瀬 修也です。よろしくお願いします。武器の名前は『光銘鳥(コウメイチョウ)』らしいです」


所長から紹介された後、古都瀬は丁寧に頭を下げながら自己紹介をする。


「今回は彼とスリーマンセルで警らしてもらうよ。メンバーは古都瀬、證そして風祭だ。」


風祭の名前が上がった瞬間に全員がどよめきながら風祭を見る。風祭も見られてるに気づいたのか分からないが、ため息をはいてから答えた


「めんどくさい……」


「風祭には拒否権はない。あれほどやっておくようにと言った招来の陣をしていなかったからな。」


逃げ道をも潰された風祭は先ほどよりも深いため息をついてから両手をあげた。

それを見た所長は満足気に頷いてからデスクに戻った。



3人は各自準備を終えたら玄関前に集合といって、各自準備に戻った。


集合場所に最初にやって来たのは風祭であり、いつもの服装にウエストポーチを肩から斜め掛けしている。

それから少しして古都瀬がやって来た。

黒のスラックスに水色のTシャツの上に袖なしジャケットを着ている。荷物はなく、全てポケットに入れてきたようだ

それから10分が経ち、證が来た

制服ではなく、白を基調としたワンピースを来ていた。手にはバスケットを持っている


「待たせてすまない、ちょっと準備に手間取ってしまって」


「いえ、大丈夫ですよ證生徒会長。そんなに待ってませんから」


證は遅くなった事を謝罪すると、古都瀬は気にするなと言って出発しようとする。

それより気になるのがこういう時に小言を言ってきそうな風祭が静かな事に證は少し戸惑っている


「(なんでなにも言わないのだ?何かおかしな所でもあったのか!?)」


「…っと、おせぇぞ菜來炉。ついでに荷物持ってやるから、ほら貸せ」


證に見られてるのに気づいたのか、ハッとしてからいつもの小言を言ってから證の持っているバスケットを奪うように持ちながら警らのルートを先頭で風祭は進む。それに続くように2人が風祭を追いかける


「あ、こら風祭君!待ちなさい!」


「あの人はいつもあぁなのかな?」




「────なのでもしバグを発見しても慌てずにメシアに通報をお願いします」


「────メシアがスグに駆けつけますから!」


「────襲われたく無かったら背後に気をつけるんだな」


警らの途中でお宅訪問し、目撃証言や、現状などを聞いて回ったりする。

警察と似たようなことではあるが、これもメシアの仕事である……ただ1人は逆に市民を怖がされてる気がしなくもないが……


「君はもう少し丁寧に愛想よくできないのかな?」


「證生徒会長、この人っていつもこうなんですか?」


「そうだね…いつもこんな感じだ。」


「無駄話してねぇで警らを……」


「おや?楽しくピクニックかなぁ?風祭くぅん?」


警ら途中で公園を突っ切ろうと歩いていると木の上から声をかけられる。

その声は仲良しの友人といった感じではなく、喧嘩するための挑発のような声だった


「この公園なーんかミルクくせぇと思ったらお前がいたからか大神ぃさっさとママンの所帰ってミルク啜ってろよ……」


「けっ、救世主だとか言われて有頂天になりやがってよぉ…ん?ソイツ見ねぇ顔だな?どうだ?俺様達と来ねぇか?」


「……お断りします!」


「おいおい一人ぼっちで寂しくなったからってうちの新人誘わないでくれよー?バカが移っちゃうだろー?」


「はっ、お前といた方がバカになりそうだよなぁ」


風祭も大神と呼ばれた男もその場から動かずに睨み合っているそして次の瞬間同時に動きだす


「……古都瀬、これ持ってろ。招来、蒼破羽」


「来やがれ!碧盧竜爪(アオノリュウソウ)!」


お互いが武器を取り出して一瞬で間合いを詰める

しかし、風祭の蒼破羽に対し、大神の碧盧竜爪は刃部分に竜のレリーフがついた青色の双剣である。


「「ぶっ殺す!!」」


鍔迫り合いの衝撃波で公園の草木が揺れる……證と古都瀬は踏ん張ってこらえている。


「證生徒会長!彼は誰なんです!?」


「彼の名前は大神(オオガミ) (サトシ)…メシアでもバグでもない第三勢力…堕ちた(フォールズ)のリーダーだ。同時に風祭君の喧嘩相手でもある……」


「そらくたばれ大神!」


「テメェがくたばれ風祭!」


古都瀬に説明しながら、證はその場で祈るしか無かった…あの2人の喧嘩には割り込めない……せめて風祭が無事であるようにと…祈るしかなかった


「!!バグ出現反応!證生徒会長!風祭さん!」


それと、同時に3人が手首に付けてる時計型端末からアラームが鳴り響く。

風祭はなぎ払いで間合いを取ると端末を確認する。


「出現ポイントは…ここか!」


「バグ出現を確認……古都瀬君…初戦闘だ、覚悟はいいかい?」


「もちろんです!」


「ちっ、邪魔が入ったか…興ざめだぜ……ま、せいぜい生き延びな風祭、テメェは俺が殺すからよ」


「はっ、言ってろ」


風祭にそれだけを残すと凄まじい跳躍力で消えていった


「招来、黒白狼炎」


「招来!光銘鳥!」


2人も武器を召喚すると背中を合わせて構える。

古都瀬は風祭に渡されたバスケットを小脇に抱えているため少し動きにくそうにしている


「古都瀬、戦闘は初めてだろ……教えるのは菜來炉に任せる…俺からは見て覚えろ。合わせろ菜來炉!」


「あぁもう。君は相変わらず強引だな!」


風祭が鎌を引きずりながら駆け出す。證はそれを撃つ訳ではなく、2丁拳銃を構えて待つ。

古都瀬は刀を構えながらそれを見守る。


「刻むぜ、蒼破羽!!」


風祭が鎌をフルスイングしてバグを吹き飛ばす。

吹き飛ばされた際に消えずに残ったバグを證が的確に撃ち落としていく。

大鎌を振り回すため、大量のバグを巻き込めるが、場所によっては威力がでないため一撃で倒せる数は多くない


「古都瀬!後ろだ!」


「なっ……!……あっ!」


バグの1体が古都瀬の背後を取り切りかかるのを寸の所で交わすが、手に持っていたバスケットが吹き飛ばされ中身が飛び出す。

中身は弁当であり、持ち主が證だった事から證の弁当であることがわかる


「私のお弁当が……」


ぶちまけられた弁当をみてショックなのか證がその場で止まる。

同じように散らばった弁当を見た風祭が證の頭にぽんと置いてキャスケット帽を深く被り直すと鎌を構え直す


「テメェら1匹残らず刻んでやる……古都瀬!やんぞ!」


「は、はい!」


そこからは蹂躙に等しかった。

風祭が鎌で引っ掛けた所を古都瀬が一刀両断していく。

古都瀬も初戦闘とは思えない程活躍し、バグを切り伏せていた。

バグをすべて消滅させると風祭は落ちた弁当を掴んで口に運び、咀嚼する。


「な!?風祭君!やめないか!」


「うん……美味いな……これ」


證の静止も聞かずに風祭は落ちた料理を拾って食べ続ける地面に付いていないものだけではなく地面に付いたものでもすべて食べている。


「ごちそうさん。やっぱり菜來炉の作る料理は美味いな。あ、悪い2人の分まで食っちまった……」


「あ、ありがとう…ってそれより!そんなの食べて!お腹を壊したらどうするんだ!」


「そうですよ風祭さん!」


「んな事言われたって美味そうだったからな」


證と古都瀬に注意されるも、風祭は指を舐めて反省の色を見せずに立ち上がる。

バスケットを拾って歩き出す。


「お前ら飯どうする?金出すし、どこか行くか?」


「私はそんなにお腹空いてないからいいよ」


「僕もそんなに空いてませんよ」


「俺の燃費が悪いだけか?……まぁいい。次のエリア行ったら警ら終わりだし、さっさと終わらせようぜ」



途中で堕ちた者のリーダーとの戦闘、バグとの遭遇は会ったものの、それ以外はこれと言ったアクシデントはなく警らを終え、救世主本部前に到着した。

明地と一宮は簡単な事務作業のみを終わらせ、既に帰宅している。



「警ら報告来ました」


「所長失礼します」


「入りますよーっと」


所長室の扉をノックして證、古都瀬、風祭の順番で所長室に入る。

風祭にはスルーなのか、無視をする。


「今回警らの途中にて堕ちた者所属大神 聡と遭遇、風祭が戦闘中にバグが発生。と同時に大神 聡が撤退。それ以外概ね問題ありませんでした。出現場所も人気のない公園でしたので、一般人への被害も0でした。」


「ふむ。では證、風祭。古都瀬はどうだったかな?」


證からの報告を少し険しい表情で聞いて大きく頷く。

切り替えるように静かに目を閉じてから古都瀬を見て2人に評価を問う


「古都瀬君はしっかりもので真面目ですから訪問の際もしっかりと受け答え出来ていました。」


「俺は戦闘面の評価言わせて貰いますよ……古都瀬はまだ動きが甘い所が少し見受けられる。だが少しだけ。何が武術でもしてなきゃ……天才と言われてもおかしくないレベルではあります。下手すりゃ…化けるレベルだ。……おい。なんでお前ら驚いてんだよ…」


證からの評価に静かに耳を傾ける古都瀬とそれを簡単に秘書にメモをさせる所長。しかし、風祭からの評価になり、風祭が口を開くと證、所長、秘書が揃って驚いていた。それを見た風祭が全員をジト目で睨む


「風祭が褒めた…だと……?明日何が起こるというのだ……!?」


「風祭君が褒めた……?これは何かの前触れか!?」


「彼が褒めるですって……?世界が終わるのか!?」


「テメェらそういうのは本人がいない時もしくは心の中だけで言いやがれ……」


敬語を使わずに全員を睨んでからため息を風祭がつくと隣で苦笑いしていた古都瀬が何を思いついたのか……とんでもない爆弾を投下した


「そう言えば風祭さん證生徒会長が作ったお弁当を吹き飛ばされて怒ってましたよね。しかもその後それを平らげましたし……っていたたたた!?痛い!痛いですよ!?」


「痛いようにしてるからだバカ野郎……!なんで所長と秘書はニヤニヤしてやがンだよ!?」


事実であるが思い返すと恥ずかしいのか余計なことを口走った古都瀬をヘッドロックして制裁する。

その時所長と秘書はニヤニヤしながら風祭を眺めている。


「ンンッ!とりあえず報告は終わりだ!俺達は帰るぞ!」


「休日にわざわざすまないね。ゆっくり休むといい。」


「ちっ!」


「いたた……失礼しました」


「失礼します。」


完全に敬語が抜けている風祭に未だ暖かい目を向けている所長が労いの言葉を述べてから退室許可を出す。

再び本部前まで出てからそれぞれ解散となり帰路につく


「それでは證生徒会長、風祭さん、お疲れ様でした。それではまた!」


「おーう。気ぃつけて帰れよ。さて、俺も帰るとするか……あ、菜來炉これ弁当箱とバスケット。あとその服似合ってるな。」


「お疲れ様、帰るときも気を付けるように。

え?あ、ありがとう……急に褒めるな君は………。また学校で会おう。」


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