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第1話-新たな適正者-

「冬季急げ!」


「……ねみ…」


風祭と明地の2人は走っている……

いや、走っている明地と寝ぼけて歩いている風祭だ。

明地が急かすが、欠伸一つで返され、意味がない。


「明地君風祭君、遅刻ギリギリは関心しないぞ?」


2人が正門前までつくと、そこに1人の人影が立っていた。


「あ、(アカシ)生徒会長おはようございます」


その人物は、御嘉神(ミカガミ)学園の現生徒会長である。

銀髪をおさげにして肩に垂らしている


「……菜來炉(ナクロ)か…よっす……」


「君は相変わらず眠そうだね」


「俺だけ授業午後からとかダメ?」


「ダメに決まっているだろう。」


風祭が證に自分だけ午後登校を提案するが、あっさり却下される。

風祭も分かっていたのか、落ち込んだ様子はなく欠伸を再びする。

すると、学校から予鈴がなり、HRを知らせる


「もうこんな時間か、ほら2人とも行くよ」


證と明地に連れられるように風祭は自分達の教室まで歩く




「ではこれでHRは終わるから。あ、そうだ、二年生に転校生来てるぞ。興味あるなら覗いて見たらどうだ?」


担任兼生活指導の朝日(アサヒ)先生が教室から出ていくと生徒はそれぞれのグループで話し始める

転校生を見に行くグループ、タイミングをズラして見に行くことにしたグループ……そして風祭は…


「転校生ねぇ……」


「ちなみに昼休みに私と明地君は彼の元に行くよ」


「なんだ?お前らも気になるクチ?」


「そうじゃない、彼は成績優秀者の二つ持ちだよ。だから生徒会に入ってもらうのさ」


ここ御嘉神学園にはちょっとした特待生に似た制度がある。

そしてその特待生はネクタイピンを2つつけ、生徒会への所属が義務となる。

御嘉神生は2つのピンを持つことから、二つ持ちと呼んでいる。


「なるほどな、そんじゃお前らは早弁すんのか。」


「そうなるな。冬季は行かないのか?転校生の所」


「興味なし。寝る。1限始まる時起こしてくれ。」


そういって風祭は机に突っ伏す。證と明地はそれを見てお互い見合って笑う。話題に出たとおり、明地と證は二つ持ちだが、風祭は二つ持ちではない。

どちらかと言うと問題児に分類される。


「風祭君、起きろ始まるぞ。」


……机に突っ伏していた風祭を證が肩を揺すって起こす。風祭が机から顔を上げるとチャイムがなり、教師が入ってくる。

そのまま授業が進むと風祭は船を漕ぎだし、そのまま再び机に突っ伏した。

その度に證が風祭が起こす。これを3回繰り返した所でチャイムがなり、授業が終わる。

これをくりかえし、3限が終わると明地と證は持参の弁当を取り出してつまみ出す。それを見てから風祭もコンビニパンを取り出して食べ始める


「なんで冬季も食べるんだよ?」


「腹減ったんだよ…」


「明地君は弁当だが、君はいつもコンビニのパンだな。なぜだ?」


證が明地の弁当と風祭のパンを交互に見てから聞く。


「俺は朝早く起きれるからなんとなく作ってるけど……ほらこいつはこいつだし」


「なるほど」


「何納得してんだよおい。」


明地は朝早く起きるため使える時間がおおく、朝食と弁当を作る時間が生まれているが、風祭は寝れる時に寝ておくという考えで弁当は作らずにコンビニパンがほとんどだったりする


「そういう菜來炉も弁当だな。手作りか?」


「うん。私の手作りだよ?両親共働きだから親のも私が作ってるんだ。気になるなら一つ食べてみるかい?ほら」


證は自分の弁当から卵焼きを箸で摘んで風祭の顔前まで持っていく。風祭はそれを食べて咀嚼してると隣で小さな笑い声が聞こえた


「……なんだよ明地?」


「どうしたんだ?」


「いやな、だってよ目の前であの『はい、あーん』が行われたからな、笑うしかないだろ!あはははは!」


それを聞いた風祭がしばらく停止し、證は顔を赤めて俯いてしまった。


「それよりも冬季、味はどうだ?」


「甘すぎない程よい甘さでふわふわしてるし、正直言うと結構な頻度で食べたくなるな。」


「くくく…」


「うぅ……」


その休み時間は、普通にパンを食べた風祭と、笑いながら弁当を食べる明地、そして赤くなり、俯き気味に弁当を食べる證。といった、少しシュールな光景で終わった。


「それじゃ4限も起こしくれ」


風祭が再び机に突っ伏すと、担当とは違う先生が入ってきて自習と付けたため、證と明地は風祭を起こすことはなく、終了のチャイムで風祭は目を覚ました


「それじゃ、私達は転校生君の所に行ってくるよ」


「おーう」


教室から出ていく證と明地をおにぎりを咥えながらの風祭が適当に送り出す。

そして證と明地が行ってから少しして突然サイレンがなる。


『全校生徒へ!バグの出現を確認!直ちに体育館に避難するように!繰り返します!バグの出現を……』


その校内放送を聞き、ほとんどの生徒がパニックになりながら、体育館に向かう。そんななかグラウンドに飛び出した二つの影が教室の窓から見えた


「招来!『黒白狼炎(クシロウエン)』!」


「招来!紅虎雷!」


2人が手をかざすとそこに2人の武器が現れる。

證の黒白狼炎は狼がレリーフされている二丁拳銃で、左が黒く狼が口を開けている右が白狼は口を閉じている。


「さぁ行くよ明地君。」


「もちろんです。会長」


「生徒会長は生徒を守る義務があります」


「生徒会副会長はそれを補佐する義務がある!」


「「これより生徒会義務を執行する!」」


2人が体育館の通路を守るように武器を構え、迫るバグの集団をいなしていく。

そして風祭もグラウンドに到着する


「今手元に武器がねぇからバグを倒すことは出来ねぇから護衛だけするわ」


「冬季お前武器に招来の陣入れてないのか!?」


「……サボってた」


「後で説教だね」


3人が会話していると遠くからジープが走ってきてバグを轢きながらグラウンドに勢いよく突っ込んできてから止まる。


「風祭!持ってきたよ!」


運転席から一宮が出てくると蒼破羽を風祭に投げ渡す。そして一宮自身も紫兎之月を取り出して3人と並ぶ


「さて、いつものメンバーが揃った事だし……やるか」


「「「おう!(うん!)」」」


風祭と一宮が前衛を行い、證と明地が後衛で援護する。しかし前衛2人の武器は大鎌と薙刀、どうしても動きに制限がでてしまい、3体を後ろに通してしまった。


「菜來炉!悠斗!3体通した!」


「なるほど近接ならばと…残念だな、私に苦手な距離はない!」


自身に向かって来たバグを證はサマーソルトでズラした後、近距離で黒白狼炎を連射する。

他の2体は近づかれる前に明地と證で撃ち抜いた。


「スキルを使う!さぁ、噛みつけ『黒白狼炎』!」


證が唱えるとレリーフの狼が両方吠えだし、武器が光り出し、引き金を引くと炎の弾が敵を追従しながら放たれる。



「こんなもんか?」


「殲滅完了ね」


「皆、お疲れ様」


「!皆まだだ!」


全員が武器を下ろした所で消滅しかけていたはずの一体の体が修復され、4人には目もくれず、駆け出した


「しまった!一般生徒が!」


反応した風祭と一宮が追いかけるが、バグの方が僅かに早いらしく、追いつけないでいた。

風祭が蒼破羽を投げようと振りかぶった瞬間にそのバグは突然真っ二つになり、消滅した。


「…はぁ……はぁ……」


バグの先を見ると一般生徒が光る刀を持って、息をきせている。


古都瀬(コトセ)!?お前なんだよそれ!?」


「お前、俺の質問に答えろ…」


古都瀬と呼ばれた生徒が顔を上げるとその首に鎌が添えられる。風祭が後ろから古都瀬の頭を掴んでいる


「落ち着け冬季!そいつは転校生だ!」


「なら転校生、お前その武器はどうした」

駆けつけた明地がその生徒の説明をしてから、風祭を宥めるように言い聞かせる。

だが風祭は譲る気がないのか、質問を古都瀬に投げかける


「わ、わかりません…無我夢中で、気がついたらあったんです!」


「嘘はお前の為にはなんねぇぞ?…まぁいい。お前は二つ持ちらしいからな細かいのは悠斗と菜來炉に任せるか。」


風祭は鎌を古都瀬の首から外すと古都瀬の首根っこを掴んで持ち上げる。


「え!?え!?なんですか!?」


「菜來炉、悠斗、玲奈、こいつ本部に連れてくぞ。」


3人もそれには頷いて一宮の乗ってきたジープに乗り込む。その間も風祭は古都瀬に対して注意をはらっていた。


しばらく移動して、ジープはメシア本部に着くと風祭と證が先に降りて古都瀬を所長室に連合した。



「所長、謎の転校生連合しました。調べてほしいです」


「えーと、掻い摘んで説明しますと、バグに対抗出来る武器を当然具現化させました。なので調べる必要あるのでは?と風祭君は言いたいのだと思われます。」


風祭の説明から證の説明を聞いた所長は頭を抑えた後に頷いた


「わかった…こちらで調べるから君たちは下がって宜しい。」


「そんじゃ、失礼しましたー」


「それではお願いします。失礼しました。」


そういって2人は所長室を出ていった。

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