プロローグ―この話は序章に過ぎない―
キィンキィンと音がビル街に響く。
ここは都会だというのに何も無く、人も居なかった。
否、一般人は居なかった。
そこには1人の人間と、腕は鎌、顔は能面であり、二本足で立つ謎の黒い物体が向かい合っていた
「切り裂け、紫兎之月!」
紫色の髪を後ろに纏めて下ろしている少女が薙刀を構え、黒い謎の物体を切りつける
黒い謎の物体はもがきながらも、散布した。
「こちら一宮。ポイントD2クリア。」
散布を確認した一宮と名乗った少女は懐から通信機を取り出してどこかへと連絡する。
一宮がいた場所からはなれ、かなり開けた場所には2人の少年が立っていた。
一人は自分と同じ程の大きさをした少し変わった形の鎌を持ち、もう一人は赤色の弓を持ち、背中に矢を背負っていた
「へいへい。こちら風祭。ポイントXYZ到着。これより殲滅を開始する。」
「こちら明地、風祭におなじく。ポイントXYZに到着。流石に皇居では素早く終わらせないとな。風祭」
2人はがいるのは皇居であり、目の前には先程一宮が倒していた黒い物体が大量におり、鎌状の腕をカチャカチャと鳴らして2人の様子をうかがっている。
風祭は明地を一瞬見ると、鎌を引きずりながら敵の集団に走り込んでいく。
それに対して、黒い物体の内の3体が風祭に飛びかかろうとするが、体に矢が刺さり、散布して消える。
「後はお前の仕事だ冬季。」
「そら、刻むぜ蒼破羽」
走った勢いを殺さずに鎌に乗せて切り上げる。正面にいた黒い物体が何体か打ち上げられる。
それと同時に風祭の被っていたキャスケット帽も風圧で脱げる。
「いつものやっちまえよ悠斗。」
「ならいつも通り避けよろ?さぁ、唸れ紅虎雷」
明地が弓に矢を番えると弓が淡く光り、矢を上空に放つ。矢が上空で弾けた瞬間黒い物体の集団に赤色の落雷が何本も降り注ぐ。
そこには先程走り込んだ風祭もおり、風祭は焦った様子もなく落雷を交わす。
しばらくすると落雷は止み、黒い物体はほとんどが散布していた。
「いやー相変わらずの殲滅力。」
「アホ言ってないで残りも仕留めるぞ」
残りの黒い物体も風祭の攻撃を交わせば矢で撃ち抜かれ、明地を狙えば背後から風祭に斬られ、散布していった。
「あーこちら風祭。ポイントXYZのバグ殲滅完了。」
キャスケット帽の土埃を払ってからかぶり治り、懐から通信機をとりだして連絡する。
通信を終えると通信機をしまい鎌を引きずりだして歩き出す。
それに合わせるように弓を閉まって明地も風祭の隣を歩き出す。
「最近やけにバグの発生報告が増えたな」
「たしかにな……しかしこちらの行動も迅速になったおかげか、一般人への被害はかなり抑えられたな」
そんな、他愛ない会話してると途中でジープが隣に止まる。
すると助手席の窓が開き中からドライバーが2人に声を掛けてきた
「あれ?明地に風祭じゃん!仕事帰りでしょ?ほら乗りなよ!」
「一宮さん!言葉にあまえさせて貰いますね。」
2人には一宮の誘いを断らずに車に乗り込む。
ちなみにジープの後ろには一宮の使っていた薙刀が立てかけており、それに習って風祭も鎌を立てかける。
「玲奈よろしく。」
「本当、年上に敬語使わない奴ね」
「所長とかには使ってるからいいだろ」
風祭は敬語を筆頭に堅苦しいのを極端に嫌う。
そのため、基本的に正装はしないし、年上に敬語も使わない。
一部からは常にそれを注意されているが本人はどこ吹く風。
「ついたついた。ほら降りな」
一宮の運転で目的地についた2人は一宮を待ってから中に入っていった
「一宮 玲奈、ただ今戻りました。ポイントD2のバグは全て殲滅。狩りのこしはありませんでした」
「明地 悠斗、同じく戻りました。ポイントXYZは無事です。」
「同じく風祭 冬季、戻りました。以外同文。」
3人がそれぞれ報告を済ませると座って聞いていた男性が立ち上がり風祭の前まで歩き、そのままアイアンクローを食らわせる
「いたたたた!?痛いですよ所長!?」
「報告はペアだろうがきちんとやれといっただろうが!」
「したじゃないですか!」
「以下同文など報告になるかー!」
叫ぶと同時に手に力を込めて風祭の頭を掴む。
しばらくすると抵抗とばかりに腕をペチペチ叩いていた風祭の腕もダランとして抵抗がなくなっていた。
それに気づいた所長は手を離すと風祭はその場に倒れたがスグに起き上がった
「うぅ……いてて……ポイントXYZのバグは全て殲滅しましたよ。」
「うむ。たしかに報告を受けた。では下がっていいぞ。」
「「「失礼します」」」
3人は所長室を出るとそれぞれの個室に戻りそのまま睡眠についた