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levelを上げがぼっちを加速させている

 土方充は今日も【bestfriendonline】にインをする。

 精神がキャラアバターのツミルに宿るとそこは絆を紡ぐ冒険者達の世界だ。


 このゲームは約一年前に発売され、ツミルは一週間に生まれた。黒髪ボブヘアーで整った顔立ちシャープな輪郭、見た目は美少女なアバターである。性別は男であることは一目見ただけでは判断できない。


 【始まりの森安全区】において変な男に絡まれて一度はキャラの作り直しを考えた彼だが、【加速level1】のスキルを失うのが勿体なく、嫌々ながらもそのまま継続したのだ。


 ツミルはステータスを開く。


ツミル:男の娘   level13

HP:25/25  武器:始まりの冒険者の鞭

MP:25/25  頭 :

STR:25    体上:始まりの冒険者の服

VIT:25    体下:始まりの冒険者のズボン

DEX:66    腕 :始まりの冒険者の手袋

AGI:25    足 :始まりの冒険者の靴

INT:6     盾 :


アクセサリー:


【スキル】

【両生】【加速level8】【鞭level9】


 PPは全てDEXに割り当て、SPは【加速】【鞭】の取得に使ったのが最後だ。SPは残り18である。


 スキルの取得をしたいが解放条件が満たされず、取得可能スキル一覧には各【武器名level1】しか載っていない。


 ツミルは一人でのlevel上げになれてしまった。誰にも気を使わずに自分のペースで物事を運べる。一言に楽なのだ。


 【始まりの森安全区】にいるモンスターの種類は五種だ。

 自転車程の大きさの緑色のネズミ━━プラントマウス。

 緑色の液状のスライム━━プライム。

 豚のような鼻に葉の翼を持つコウモリ━━トンモリ。

 見た目は枯れ木━━ウッドレス

 白い狼の子供━━リトル森ウルフ


 ツミルはlevelを上げるため一人で黙々と上記のモンスターを狩っていた最中だ。


 唸りを漏らす白い狼は子供とはいえ体長約一メートルくらいある。【始まりの森安全区】において最も強いモンスターだ。今日初めてツミルはリトル森ウルフと戦闘になる。


 level13にもなればここのモンスターの経験値では少し効率が悪くなるが、【friendluck】の恩恵を受けていないツミルにはモンスターのlevelはちょうど良い。


 ツミルは鞭をしならせ動き回る白い狼へとぶつける。威力が低いが命中頻度は上がってきていた。

 現実で鞭など使わないツミルにとって動く対象に当てるということ事態が難しい。鞭と弓は技術がいる分、使いずらい武器のツートップである。

 最初こそ使いずらいが【武器名】スキルのlevelが上がればシステム的なアシストが働くバッシブ効果のスキルが解放される。DEXが高ければ多彩な動きに応用できることに目をつけツミルは鞭を選んだ。


「威力が低い……」


 白い狼に与えるダメージは平均的に【9】だ。攻略サイトによればHPは【95】と書いてある。最低でも鞭の攻撃を十一回は当てないと倒せない。

 討伐推奨level7のモンスターに十一回は手数が多い。最低でも五回程度で倒せる実力にならないと狩り場は変えられない。


 白い狼の爪攻撃がツミルの腹をえぐる。痛みはない。アバターに赤く傷ができてHPは三割減少した。


(仮にも狼、リアルの犬くらいに速い)


 リトル森ウルフの俊敏さと攻撃力は【始まりの森安全区】では一番であり、初期装備では討伐に苦戦するのも無理はない。


 ツミルは鞭をしなり突進してくる狼の目を狙う。モンスターにはそれぞれ部位への攻撃によるアクションが設定されている。目を攻撃されたら少し怯む、足を怪我したら動きが鈍くなる、などだ。


 怯んだ狼へと鞭の連打を叩き込む。狼は倒れ光の粒子になり拡散した。ツミルは経験値【60】を獲得してlevelが一つ上がる。


 メニューのアイコンに赤いマークがついていた。これは新しくスキルの解放がされたときに点灯する仕組みになっている。


 ツミルはメニューから取得可能スキル一覧を開く。新しく【鞭使い】というスキルが追加してある。消費するSPは3だ。


 迷わず【鞭使い】を取得した。levelの設定がないのはパッシブスキルといい変化がない常時発動型の効果である。


【鞭使い】━━鞭装備時、STR、DEXが+25される。技スキル『スパークウィップ』を習得。


 【鞭使い】は【鞭】がlevel10になるのが解放条件である。このスキルを解放するのもツミルの目的の一つだった。


(しかし、何で一人でコツコツと何かをするのは楽しいのだろうか)


 ツミルは友達作りではなくlevelを上げることに熱心になっていた。【対話補正】スキルを取得するにはとにかくlevelを上げるしかない。


 


 




 

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