桜の意外な一面
高校二年生、春、新学期。
俺と桜はクラスの皆のの視線を全面に受けながら登校した。まぁ、クラス内序列が限りなく最下位に近い俺と美の具現化転校生が一緒にいるのだからしょうがないではあるが。しかも若干ボディータッチが多い。「静斗様ぁ、お席、隣で嬉しいですね!」
とか
「私、国語は得意なんですよ?何でも聞いてくださいね!」
とか。
…ヤメテ!青春満喫してます系女の子大好き性欲クズ野郎たちに睨まれてるから!!
「桜…話しかけてくれるのは凄く嬉しいんだけど…ね?」
チラッと目線でアピールした。
「………」
すると桜は何も言わずに立ち上がった。
桜?…さくらー?さーくらー
そして青春満喫…以下略の前に立った。
青春野郎たちは呆然と桜を見つめている。「…あなた方?…静斗様を睨んだり、けなしたりしたらどうなるか分かっていますか?今すぐ殺すことも出来るんですよ?ウフッ…今殺す、というのもなかなかに楽しそうですね…まぁ、金輪際、静斗様に目線を向けない、と言うならば許してあげてもかまいませんが…?」
スカートのポケットからチラッと黒い塊を取り出した。
…赤い。いつもは濃紺の桜の目が赤い。まるで獲物を追いかけるトラのように。
「桜!止めろ!」俺は桜に怯えながらも声を絞り出した。
「…あなた達、次はないと思いなさいね。」
「静斗様ー!そんなに心配ならさなくて大丈夫ですよー。もうあの人たちは正義の味方がやっつけましたから!思う存分喋れますよ!」
何。このギャップは。
「桜…お前って家庭教師…いやお手伝いさんだよな?」
サッと桜の表情が変わった
「お、お…お手伝いですよ!?」
「銃を持ってるお手伝いなのか?」
「そ…それは…っ」
「本当の事を言って。桜。」
「シ…シークレットサービス…です…」
「おい…それボディーガードってことか!?」「はい…でも!静斗様をだまそうとしたとかじゃなくて…っ!」
「分かってるって。泣くなよ…なんで嘘をついたんだ?」
「だって静斗様は従えるとか嫌いでしょう?」
「そうだな。ははっ。そんな事か。良かった。そろそろ先生が来るぞ。新入生は紹介されるはずだからしっかりしろよー!俺のお手伝いさんとして。」
「…つっ。はいっ!」
桜の自己紹介はとても好評だった。…一部の男子たちを除いて。その人たちは桜が笑いかけるごとに体を震わせていた。