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んー、今回も人通りが少ない通路……ん?
白い骨が何かこっちを見ながら歩いてきているような……気のせいかな?
うん、気のせいだ。
顎がカタカタ鳴っている気がするけど、気のせいだよね?
君、単なるスケルトンだよね?
普通はもうちょっと汚れていたりするんだけど、ただ単にレベルが高いとかそういう感じのスケルトンだよね?
うん、そうだ。
あれは単なるスケルトンだ、そういうことにしよう。
そんなボクをあざ笑うかのように、カタカタ鳴り続けていたスケルトンの顎がふと止まった。
指の一本をおもむろにボクの鍵穴につっこんできたけど……。
え、まさかそれで開いたりするの?
……おお、開いたよ!
ものすっごい複雑な気分だよ!
「で、話の続きだが……」
再び帰ってきた闇の中、幼女が宝箱の中から取り出したクッキーをぽりぽり食べながら話を続ける。
お茶とか無いんですけど大丈夫ですかね?
本体は骨みたいだし、大丈夫なのかな?
とりあえず次のクッキーを作るかな。
いや、次もどうせこの子が食べるんだよね、この調子だと。
んー、プリンでも作るかな。
前に作ったケーキがケーキっぽい感想を貰えたし、プリンもプリンっぽい感想が貰えると思うんだよ。
「おお、これまた柔らかいの。うんうん、うまいうまい。それでの……」
幼女がロールケーキを頬張りながら話を続ける。
……どんだけ食べるつもりだ。
とりあえずクッキー12枚とプリン6個とロールケーキ6切れを食べて満足したらしい幼女の話を要約すると、
「もう打てる手がないよ、どうしよう?」
だった。
「もっと強い大人の人に任せればいいんじゃないの?」
と言ってみたんだけど、それは絶対にイヤだとごねられた。
……反抗期ですか?
そんな彼女にボクに言えるのはこれくらいだよ。
「君がボクの金色の宝箱の鍵を開ければ万事解決じゃないの?」
幼女さんは力がある姿に戻れる。
ボクたちは元いた世界に戻れるし、戻らないという選択肢もある。
うん、幼女さんには頑張ってほしいね。
大人に頼る方向でも頑張ってほしいね。
……え?
この洞窟は2人組じゃないと攻略できないから一緒に行こうって?
君、スケルトンじゃん。
モンスターじゃん。
どんな罠があってペアじゃないといけないって条件になっているのか知んないけど、1人で行けるんじゃないの?




