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お、人がきた。
というか、子供がきた。
うわー、子供には渡したくないな、今回の宝物は。
火遊びされて、それをボクのせいにされたらかなわないからね。
あ、保護者っぽいおじさんが一緒にいるから大丈夫かな?
「おら、キーシュ。あんまり奥に行くんじゃねーぞ?」
「うん、わかった!」
おりこうさんな返事はするけど、足を止める気はないみたいだ。
「今回だけ特別に解放されているが、ここは危険なんだからな?」
「うん、トクベツだね!」
子供の足がますます速くなる。
おーい、逆効果じゃないの?
「あれ? これ、なぁに?」
あ、ボクですか?
宝箱さんですよ。
「ああ、なんかうまい食いもんが入ってたとかニールのやつが言ってたな」
「うまいもん?!」
お、おじさん……。
子供がつんつんとボクを突く。
ぺしぺしとボクを叩く。
がんがんとボクを蹴る。
……いや、そんなことをされても開かないんだけど、ボク。
「開けたいのか?」
「うん」
「鍵がないと無理だぞ」
「ええっー?!」
しょんぼりしているじゃないか。
もっと早く教えてあげてよ、おじさん。
「しゃーねえな」
「わ! カギだ!」
いや、なんで鍵もってんの、おじさん!
てか、おじさんがボクの鍵を持っている確率って地味に高くない?
「わ、わー……なんだろ、これ」
「さあ。食いもんではなさそうだな」
子供のテンションが急激に下がる。
おじさんのテンションは最初から低い。
「まあ、持って帰るか。鑑定スキルを持ってる人間に訊くのが一番だ」
「うん」
へー、鑑定スキルってあるんだね。
あるんだろうなと思っていたけど、持っている人を見たことが無かったんだよね。
「ギルドの買取の窓口にいる人間は大抵持っているからな」
「へー」
へー、知らなかったよ。
そういえばギルドの人間は1人も鑑定したことなかったな。
今度機会があれば鑑定してみようかな、憶えていたらだけど。
てか、ここで疑問が出てきたね。
ボクが使っている鑑定って一体なんなんだろ?
てっきりこの世界の住人は全員できるものだと思っていたんだけど……うーん。
それっぽいスキルはないから、異世界人の称号の力かな?
言語理解と、簡易鑑定と……あと何があるんだろう、この称号。
持っているのは、未覚醒勇者と未覚醒魔王と未覚醒聖女とレベル10の人形とボク……。
ボス的な職業に就きやすくなるとか、そんな感じかな?




