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 ここは惑星ウェストにある大陸ヴェストにあるオヴェスト国にあるオエステ領にあるオッキデンスの町付近にあるデュシスという森にあるザーパトという迷宮の中──かもしれない。


 まあボクに分かるのはここが洞窟型の迷宮ってことと、ボクが宝箱に転生したってことくらいだよ。



 お、冒険者がきた。

 いかにも初心者な少年2人組だ。


「あ、これって宝箱かな?」

「ああ、初心者用クッキーしか出さないって噂の宝箱か。……開けるのか?」


 おい、ボクのクッキーを馬鹿にするなよ、そこの少年。

 軽いし、保存状態さえ悪くなければ賞味期限は無いと言っても過言じゃないクッキーなんだぞ?

 備蓄しておけば飢饉だって怖くないんだぞ?


「初心者講習で貰った鍵があるからね」

「ああ、そういやそうだったな。なら、俺も見学するか」


 何だろう、この居たたまれない感じ。


 てか。

 ボクの鍵は本来は鍵を喰らったもしくは喰わせたモンスターからしかドロップしないはずなんだけど……。

 作りが簡単すぎて、模造品が初心者講習で配られるようになったってこと?

 軽く凹める。


「鍵穴はここかな?」


 遠慮も何もない感じで、ぐいぐいと鍵が差し込まれる。


「もうちょっと丁寧に扱ってくれませんかね?! ボク、一応宝箱なんですけど!!」

 と叫んでみるけど、聞こえないみたい。

 人は未だ、宝箱と会話できるほどには進化していないってことか。


「あー、やっぱりクッキーだけか」

「クッキーしか出ないって聞いてはいたけど、やっぱりクッキーしか出ないんだね」


 そんな声を聞きながら、ボクの体は消えていく。

 ……開けられたら死んじゃうからね、ボク。


 まあ、仮初の死だけど。




 闇に消えている間、生まれ変わるまでの短い時間、ボクはいつものように考える。

「さて、次は何を作ろうかな?」


 最終的に選ぶのは決まって初心者用のクッキーなんだけどね。



 ちなみに、ボクのステータスは今こんな感じ(↓)。


  種族:宝箱(桃色) 種族レベル:1

  名前:西保和(にしやすかず)

  HP:100 MP:0 SP:0 状態:普通

  スキル(一般):物理攻撃無効、魔法攻撃無効、状態異常無効

  スキル(種族):宝物作成(桃色)1

  称号:異世界人


 突っ込みどころ満載だよね、アハハハハハハハ……はあ。


 まあ一番つっこみたいのはあれだよ。

「称号が異世界人になっているのになんで人じゃないの?」

 って部分だよ。


 つか桃色ってなんだよ。

 しかもリボンと羽つき……どこの乙女だよ。


 宝物作成のスキルで作れるものも、レベルが低いせいか両手剣でさえ物理攻撃力+2だし……。

 だったらもうちょっと実用的なものを作るかと農作業用の超シンプルな鎌を創造したら、勝手に刃の部分にまでフリルとかレースとかリボンとかがくっついてきて、なぜか魔法攻撃力+1……。

 味見ができない体になったので、食べ物もデフォルトの初心者用クッキー以外は怖くて作れないし……。


 折角の異世界で折角のアイテム創造スキルなのに……ままならない。

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