キャシー
誰に洗脳されたかは知らないけど、キャサリンって名前の人は金髪だと信じてる。
その後は、アメリアが外の世界について知りたいというので、日の暮れるまで生活様式から世界情勢まで知る限りのことを説明した。
大体のことは楽しそうに聞いていたが、最近起きた悪質な事件の話などは不安そうに聞いていた。
妹のことを心配しているのだと思った。
空腹を感じ、夕食をとるためアメリアと別れた時には8時近くになっていた。
戻る道すがら、気になっていたことを聞いてみた。
「そういえばお前のほかに使用人はいないようだが、食事は誰が?」
「担当者ならすでに来ている頃でしょう。」
まあ、そんな簡単に料理なんてできるものではないからこのくらいの時間にはいて当然だが。
「こちらです。」
ダイニングというには少々広い気もする部屋である。
10席ほどあるが今のところ俺しかいないので無駄にしか思えない。
奥の厨房に金色の髪の女性らしき姿があった。
「キャシー、少しいいですか?」
「あ、カロンさん!すみません、気が付かなくて。今できるところなので挨拶はちょっと待ってもらっていいですか?」
「もちろんです。」
こちらをチラと見てカロンが答える。
その間に料理を焦がされでも困るから当然だ。
そんな顔をしていたのだろう。
しばらくして、キャシーと呼ばれた少女が厨房から出てきた。
背恰好を見る限り年下に見える。
光をはじく美しい金髪も気になったのだが、それ以上に…。
「エルフか…」
「はい、そうです。」
人間にしてはあり得ないほどとがった耳が髪の隙間から覗いていた。
「ご挨拶が遅くなってすみません。お食事を作らせていただいているキャサリンです。キャシーとよんでください。」
「彼女の弓の腕はここにいるエルフの中でも一番なのですが、まだ幼いので前線には出さずに当主の身の回りの世話をしてもらっています。」
「今日のご飯の鹿も私が狩ったんです。あ、冷めないうちに食べてもらわないと!」
「ああ、じゃあそうするか。」
椅子に座り、出された料理を食べる。
信じられないくらい美味かった。
「あの、どうでしょうか?」
「今まで食べたものの中で1番美味い。」
そう言った瞬間、キャシーの目が大きく開かれた。
「本当ですか!」
「ああ。」
「当主様にそう言ってもらうと作ったかいがあります!おかわりもありますからね。」
満面の笑みというに相応しい表情だ。
見てるこちらまで笑顔になってしまう。
「若いっていいですね。」
ふとカロンがそんなことを言ってきたが何も答えなかった。
キャサリンの略称はキャシーとケイトなんですよね。
もう、キャシーはキャシーって名前で思いついたのでキャサリンの方が後付けです。