あの、その、えっと 02
「アノはやっぱりチョコクッキーかな? ソノは何にするの?」
「ソノはバリッシュダッシュのアイスなら何でもいい、なのー」
ーーソノちゃん、そのアイス1個1000円だからね。
自分の目の前を仲睦まじく歩いている少女達に、心の中でツッコミを入れている自分がいたが、それよりも重大なことに気づいてしまった。
ーーあれ? これって、俗に言う少女誘拐って奴じゃない? まさか、犯罪者の仲間入り?
でも、待てよ。着いて来たのはこの子達で自分は全く関係ない。それに、自分はいきなり連れて行かれてこんな目にあったんだ。
なんて、自分に都合が良いように言い訳をしている自分がいた。
「アノちゃんとソノちゃんはどうして髪を横で縛っているのかな?」
自分の問答を消し去りたいのか、大して興味のない質問をしてしまった。
「それは、昔ね。アノとソノが居た施設でね」
アノが説明をし始めたときに、目の前にムチを持った一人の男が現れ、こう言った。
「このムチは何の為にあると思う?」
長髪で白髪の若い白スーツ姿の男が、自分に対して問いただしてきた。
だが、自分が答える間もなく、男はまた話し始めた。
「相手を殺す為、家畜を調教する為、はたまた、脅す為? 君はどれだと思う?」
自分は少し戸惑いながらも、
「脅す為じゃないんですか?」
自分は他人行儀に近い形で、それを答えた。
「君はそんな平凡な考えしかできないんだな。僕はとても悲しいよ」
なんと答えたらいいのかわからず、薄ら笑いでそれを誤魔化した。
だか、男は話を続けた。
「このムチがすることなんか決まっているじゃないか。さぁ、アノちゃんにソノちゃん。僕をこれで調教してくれないか? 僕は女の子にいじめられると下腹部から喜びが生まれるんだ。さぁ、早く!」
男はそれが当たり前かのように上半身の服を脱ぎ、膝と手の平を床にへばりつけて痛めつけてもらうのを待っていた。
ーー正真正銘の変な人だーーーー!!
自分は何も言うことができず、無表情から顔が動かなくなっていた。
いかにも、知的で爽やかなイケメンが少女に調教をお願いしている。
少し戸惑いながらも、アノちゃんとソノちゃんの顔を覗いてみた。
表情は笑顔のままだった。しかも、二人はその変態に向かって行ったのだった。
「ちょっと、二人とも!!」
自分の声は届いていないのか、二人は変態の所に近づいていく。
「ぶってくれるんだね。僕はとても嬉しいよ。さぁ、僕を快楽のるつぼにいざなってくれ」
男の息遣いは荒く、見るに絶えない状態だった。
けれど、この後起こった光景に自分の目を疑った。
ナノが左手で変態を触ると、アノからスタンガンを借り、二つのスタンガンを自分に向けて撃ち込んだのだ。