脳力と能力 04
車に入れられると手錠はされたままだったが、フードを外してくれた。
車内の中は一面中黒色だけど、向かいの状態で座れる座席があり、車の中にしてはやけに広い。更にクーラーが効いているのか、中は秋風のようにとても涼しかった。
「さっきは手荒な真似をしてすまんな。もう、しゃべっていいぞ」
後藤大輔という男に謝罪をされたが、悪いと思っているならこの無駄にハイテクそうな手錠をどうにかして欲しいと切に願わざる負えなかった。
ーーなぜ、自分は手錠をされないといけないのか。
ーーどうして、こいつは自分を連行しているのか。
ーーそもそも、BPAってなんなんだ。
様々な疑問ばかりが頭に浮かぶが、それよりも気になったのは、後藤大輔の横に座っている黒スーツを着たヨーロッパ系の少女だった。
容姿は淡い朝日のような金髪に爽快なコバルトブルーの目、髪型はミディアムヘアでどこまでも絹糸のように細く、つむじの辺りから三つ編みにしてあるのがとても印象的だ。
そして、顔は作り物の人形のように整い、身長は高めで胸もーー大きめだ。何より夏なのに……。
自分がその女を凝視に近いくらいじっと見ていると、こちらに気づいたようで立ち上がり、後藤大輔に一言。
「大輔さん、この人を射殺してもよろしいでしょうか」
その女の目はどこまでも冷徹で残酷。そして、自分の存在自体をゴミ以下だと言わんばかりの目つきであった。
「おい、やめとけ。ゴミが増えるだけだ」
「そうですか。でも、ゴミはゴミの日に捨てれば問題ないですよね」
「お前な、俺はそういうつもりで言った訳じゃない。冷静になれ」
後藤大輔も立ち上がり二人は口論になった。
自分は手錠をされたままだが、立ち上がり二人の仲裁に入ることにした。
「でも、ちょっと待ってください。自分はゴミなのでしょうか? たしかに、記憶力だけが自慢で考察癖がある変態ですが、ゴミはひどいじゃないですか? 自分は人間でゴミではないです。そもそも、あなた達は仲間なんでしょう? それに」
「ゴミは黙っててくださいよ!!」
「でも……。自分は人間で……」
「おい、ゴミは少し黙っててくれ。それとアリス、お前も黙らんか」
自分の仲裁の願いは祈らず、ますます二人の討論はヒートアップし、
「どうして、私が黙らないといけないんですか? 自分が何をしたって言うんですか? どうして、こんな変態を射殺してはいけないんですか?」
「お前はどうしていつもそう短気なんだ。お前の見た目的にどう考えても冷静沈着タイプだろうが」
「お二人とも……。そろそろ……」
「大輔さんはいつもそうですよね。私の見た目や体型で決めつけて、勝手にメガネ掛けたら塾の講師みたいだとか、お前は変態だとか。いつもそうやって、勝手に決めつけてますよね」
「まぁ、待て。お前、18歳でさすがにその体型はエロいだろ。なぁ、お前もそう思うだろ」
間違えれば死というギロチンの質問を自分にぶつけてきた。
ーー後藤大輔、たしかに自分もそうは思いますが、このタイミングで言うのは犯罪ですよ。