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異能パラサイト 再編の為、休載。  作者: 間口刃
第1章 全ては必然の偶然
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脳力と能力 02

 自分がこの仕事を勧めらたのは高校の担任からだ。


「お前は成績も良いんだし、ここに入ってみないか? ここは優良企業でお前にピッタリだぞ。お前が入ってくれたら先生としても鼻が高いしな」


 きっと、あの短髪丸刈りの高校教師は俺の為に必死になって就職先を探してくれたんだろう。進学校で就職をせず、殆どは進学を選ぶ。そんな中でも先生は就職先を探してくれた。


 そして、自分は特に考えることもぜず、「はい、お願いします」と答えた。


 それがあって今はこの様だ。


「ここの仕事はフォークリフトっていう乗り物を使ってな作業をするんだよ。頭の良いお前なら覚えも早いし、キツい仕事は外注さんがやってくれるから体力がないお前でも大丈夫なはずだ」


 先生はたしかにそう言っていた。それを鵜呑みにする馬鹿な自分も悪いが、実際は人員削減の為に外注さんというのはわずか三人で社員が殆どキツい仕事をやっている。


 それと頭は良いのと、運転が上手なのは=(イコール)ではなく、自分の運転技術のなさには落胆さえ覚える。


 それらがあいまって、今の惨めな自分がいる。


 でも、正直どうだっていい。あの時、何もできなかった自分なんか死んでも誰も悲しまないからだ。


 自分で自分の価値を勝手に決めつけると、傷だらけでボロボロのヘルメットを被り直し、クーラーの効いた涼しい事務所から、また暑くて埃まみれのコンテナの中へ作業をしに戻った。


 コンテナの中は亜熱帯のジャングルのように暑く、それだけでも体力を消耗する。


 しかも、それに輪を掛けるように、床の木材と鉄が熱せられた臭いが醸し出す独特な異臭のせいで、今でも時々めまいを起こしそうになる。


 そのせいか、パレットに商品を置くときに置き向きや逆さに置いてしまうときがある。それが他の人に見つかると注意を受け、自分で直す羽目になる。


 最近じゃ、新しく入ってきた後輩が間違えても自分のせいにされて怒られる。


 当然、逆ギレして怒るのが普通なんだが、自分が何も言い返さないことを良いことに図に乗っている。


「おいっ、上條!」


 3tフォークに乗っている上司から名前を呼ばれた。どうせまた、後輩がミスをしたのを自分のせいにされ、それで怒られるのだろう。


 原因も結果も分かっているのに足取りが重い。自分が悪い訳じゃないのに、結果が見えているのに……。どうして、こんなに憂鬱な気分にならなければならない。


 そんな、行かなければ永遠に解決しない自問自答をしながらも、上司の所に向かった。




 

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