脳力と能力 01
SF初作品です。
至らない点ばかりなので、良ければアドバイスお願いします。
ーー全ては上手くいってなかったけど、不満ばかりじゃなかった。
ーーあやふやな関係だったけど、それでもよかったと思っていた。
ーーでも……。あの瞬間に全ては塵になって消えた。
「休憩するかー」
戦車のように大きな3tフォークに乗っている男の上司から指示を受け、みんなは灼熱のコンテナから出て楽しそうに会話している。
「今日も暑いっすねー、先輩」
「そうだな、お前パチンコとかやるか?」
「先輩パチンコやるんすか? 奇遇っすね。自分もやるんすよ」
「おぉー、お前もパチンコやるのか。今日さっそく行かないか?」
「良いっすね。ぜひ、お供させて頂きます!!」
そこには黄緑の作業服に黄色の指定Tシャツを着た先輩と後輩の微笑ましい光景があった。無論、自分は蚊帳の外でそれを眺めている。
自分はそれを無視して、休憩室の指定席である真ん中の席に座り、スマホで今日の天気を確認した。
ーー松岡市 晴れ 気温31℃ 降水確率10%
「どおりで暑い訳か」
一人納得すると、昔からやっていたスキル&モンスターズ「スキスタ」を休憩中にちまちまやっていた。他の物は殆ど飽きたが、これだけは未だに続けている。
一人、黙々とパズルゲームをしていると横に先輩が座ってきた。この会社では個々の指定席があり、自分は先輩のサンドイッチになるという気まづい状況を毎日耐えている。
「この前のサッカー見たか? イタリアのアッシブが最高だったよな」
「あぁ、アッシブですよね。最高でしたね。あいつしかあのシュートはできないですよね」
サッカーを知らない自分からしたらくだらない話だけど、先輩達は目を輝かせて話をしている。自分とは確実に違うーー正気のある目だと感じた。
「でな、そのアッシブがさ。先週の誕生日に」
メガネを掛けた髭面先輩の零したアイスコーヒーが自分の方にかかった。
だが、先輩達はその話に花を咲かせたままで、自分は一人零れたコーヒーを無表情で拭いていく。
自分は汚れたテーブル拭きを流し台で濡らし、それを絞った。昔だったら反応もしたかもしれない。先輩がこぼしたときのニヤケ顏を見て、殴りかかってかもしれない。
会社での居場所はなく、毎日怒られてばかりだ。
「お前にはやる気はないんだろうが、仕事なんだからやってくれ!!」
やる気のない人間にやる気を出せと強要する。当然のことだし、やる気のない人間がたしかに悪い。
それは自分がどう言い訳しても変わらない既成事実で正しいことだ。
でも、やる気を出したくても出せない人間にそれを強要するのは「拷問」と大して変わらないんじゃないか。
そんな言い訳ばかりの自分にまた腹が立つ。