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英雄詩篇  作者: 星峰 雪葉
序章
2/17

一つの始まり



いつもならばここまでの賑わいを見せないこの場所も、今日は大勢の人たちで賑わっていた。


ここは、数少ない魔法学園の一つエルトレア魔法学園、そしてその入学式である。


そしてその賑わいの中、一人の少年が人混みの中を歩いている。


この人だかりでは別段目立つようなこともないように思えるが、見るものがいれば少しは目を見張るものがいるかもしれない。


明るすぎない金髪に、少しだけ幼さを少し残した整った目鼻立ち、そして何より突き抜けるような鮮やかな青い瞳が印象的な少年だった。


「確かこの辺りのはずなんだけどな・・・」

その少年が誰かを探すようにキョロキョロと首を動かしていると。


「ゴメン、レクス!待ったかな?」


視線の先から少年と同じ年ぐらいの少女が走ってきた。

その少女もまた、顔を見る者がいれば見惚れてしまうであろう整った目鼻立ちに鮮やかな銀髪、そして身長は低めだが女性らしい体つきをした出る所は出て、引っ込むべき所は引っ込んでいるスタイルの良い体つきをしていた。


現に、道行く人達もチラチラと彼女に視線を向けている。


だがそんなことも気にかけることもないよいに彼女は少年へと微笑み、話しかける。


「昨日から今日のこと考えてたら楽しみすぎて眠れなくてね。」


笑いながら少女は少年へと話しかけると。


「ったく、気持ちはわかるけど入学初日から遅刻なんてしたらどーするんだよ、ソフィ?」


と、少し呆れ気味な顔で少女、ソフィへと話しかける。


「だからちゃんと謝ったでしょ?それよりも早く行こう、待ちきれなくってさ!」


ソフィは今にも走りだしそうな勢いで少年の手を引っ張る。


「わかったから、そんなに引っ張んなっての!」


そのままソフィに手をひかれてレクスは学園の中へと向かおうとした時


「そこの中の良いお二人さん、新入生だね?」


突然後ろから声をかけられ二人が振り向くとそこには二人の青年がなにやら大量の本を持ちながら笑顔を浮かべて立っていた。

「確かにそうですけど、どちら様で?」

少し困り気味でレクスが話しかけると。


「あはは、そんなに畏まらなくまいいよ、オレたち新入生目当てにこの学園で役立つガイドブックを配ってるんだけど、君たちもどう?」


と、明るい雰囲気でたずてきた青年に。


「タダじゃないんだろ、それ」

レクスがそう訪ねると、先ほどの笑顔の青年と一緒にいる青年が


「当たり前だ、一冊500レアルだ、だが値段に見あった情報がたくさん書かれているのは保証するぞ、なんなら少しだが見てみるか?」


などと言ってきたので、ソフィと共に本の中を覗きみると


「わぁ凄い、こんなにたくさんのお店の情報なかなか調べられないよ」


「うん、確かに詳しく載ってるな、こんな本どこから仕入れてきてるんだ?」


とあまりの出来の本に二人が聞くと


「仕入れてなんていないぜ?この情報全部、んでこの本事態もオレとファルの手作りだからな」


「はっ!?この情報全部を二人で集めたってのか!?」


レクスとソフィが驚きながら聞くと、さも当然とばかりに


「ここまでの情報が載ってる本をここの学園を知る生徒以外でだれが作れると言うんだ? 」


と、言ってきたものの、(いやいや、こんなの一介の学生が出来るレベルじゃないだろ?)と思っていたら


「そんでお二人さん、どーする?買うかい?」


と聞いてきたので、これで500レアルならと思いソフィに目を向けると


「じゃあレクス、半分ずつ出して一緒に買おう?」


とソフィも買うことを考えていたようで


「そうだな、一緒に読めばいいし二人で買おうか」


「あぁその方がいいだろ、まいどあり、んでもってエルトレア魔法学園へようこそ」


と、本を渡しながら微笑みかけられ、同じくもう一人の青年からも


「お前たちのこれからの学園生活に幸多きことを」


などと決まり文句のような感じで話し、最後に


「オレはこの学園の三年生のカルス・クラヴァスだ、よろしくな。」


と、笑顔で話してきた青年カルスは赤髪のショートヘアで、男のレクスから見ても格好いいと思えるような顔つきの青年で


「同じく、ファルム・ゼアルドだ」

もう一人のファルと呼ばれていた青年はこちらもまた格好いい、と言うよりは美しいと言ったほうが似合うような美形で混じりけのない白い髪をした青年であった。


そんな二人に今さらながら少し圧倒されていると、いきなり遠くから先生らしき人の怒声が響きわたる。


「コラァ!そこの問題児二人!また今年も新入生狙って変な商売しおって!今度は逃がさんぞカルス、ファルム!」



と声のする方から体格のいい教師らしき人が二人に向かって走ってくるのが見えると


「んじゃまそゆことだから、またなお二人さん、学園生活楽しめよ?」


と言い残し二人はその教師と反対方向へと猛スピードて走り去っていった。


と、唖然としながら見送っていた二人に

「お前たち、あの二人に妙な物を買わされなかったか?」


と先ほど二人を追ってきた教師らしき人が立ち止まり話しかけてきた。


「いえ、そんな、むしろいろいろと親切にさてくれました」


と、少し気後れしつつもソフィが言葉を返すと


「まったく、あの問題児二人とくれば」


疲れたようにその教師ポツリとこぼし


「まぁ、お前たちもああはならんようにしてくれ、頼むから」


などと本気の顔で懇願するように言い残され、少し苦笑気味にしていると


「お前たちも早くせんと入学式が始まる時間だぞ?遅刻するなよ」


と言われて時計をみると、もう式の時間まであんまり余裕がなく


「ヤバイ、急ぐぞソフィ!」


「う、うん、行こう!」


二人は急いで会場へと向かうのだった。

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