16.控室
おざなりに扉を叩き、間をおかずに開いて、目の前に飛び込んできた人物を見て俺は思わず目を見張った。
「‥‥それで何故貴女がこの部屋にいる」
「‥‥それはこちらの台詞でもあるのですが‥‥」
義姉だった。
侍女のお仕着せに身を包んだ義姉だった。手には抜身の剣、これは俺に向かって振られていたのだろうか、と、思う間に彼女は鞘に納めて腰に戻した。その動きは驚くほどなめらかで、俺は確かに生命の危険を感じたのだけれど感動すら覚えた。
「兄上の真意を尋ねようと」
「左様ですか。ではこれが答えなのでは?」
ひどく脱力したようにぞんざいに、彼女は言った。そして腕を振る、今度は武器など持たないその腕、それだけで俺の目の前で寝室を覆う魔が濃くなった。さらに、この部屋、お付きのものの控えの間に当たるのだが、この部屋にも結界が張られる。これは‥‥
「‥‥だから何の真似だ」
彼女はあまりに簡単に魔を操って見せる。そしてやはり意図が分からず、自然見据える視線はきつくなる。
それなのに彼女は楽しそうに言うのだ。
「秘密の話をいたしましょうか」
と。
成程確かに音が完璧に遮断されている。それを感じ取り、そして逃げ場もないのだろうと思い至り、逃げるつもりもないが、しぶしぶと頷く。そんな俺に、彼女はおとぎ話のように彼女のこれまでを語ってみせた。
いつもよりさらに短いですが、キリがよかったので。
というか、続けると長々するので切りました。




