表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏村晴明の非日常  作者: 空き缶
プロローグ
1/15

プロローグ

本日の17時頃に二話目を投稿します。


 2026年1月6日 冬休み最終日。

 時間も0時を過ぎようかという真夜中に、一人の少年が街を全力で走っていた。

 まるで何かから逃げるように。


 「くそっ!ヤバいの見ちまった、どうしよう…!」


 少年は走りながら、少し前のことを思い出す。




 少年、夏村晴明なつむらはるあきは暇を持てあましていた。

 冬休みの最終日、何かしたいけど特に何も思いつかず、


 (――外に行けば何かあるかな?)


 と考え、家の外へ出る。

 歩くこと10分。近くの公園で言い争う声が聞こえた。それを、面白半分で見に行ったのが運の尽き。

 

 言い争っていたのは2人。 片方は赤髪で長身の女の子――外国人だろうか?


 (もう1人のほうは、深くフードをかぶっていてよく見えないな…)


 そんなことを考えている間に フードの人物が女性に向かって手を伸ばす。

 すると突如、女の子のほうが燃え出した。


 「!?」


 全身が炎に包まれてもだえ苦しんでいる、しばらくすると女の子はピクリとも動かなくなった。


 (え?死んだ、のか?)


 あまりに突然のできごとに動揺していると、フードの人物と目が合い、逃走。 

 現在に至る。

 



 (何なんだ!?わけわからんっ!とにかく逃げなきゃ!)


 わき目もふらず走り続け、住んでいるアパートまで逃げ切ることに成功。そのまま自室のベッドへと逃げ込んだ。


 寝てしまえば忘れられる。そんな短絡的な考えで布団にくるまり目を閉じる。人間とは、意外とたくましい生き物で、こんな状況でもすぐ眠りにつけた。

 



 夢を見た。それは、10年以上も前の記憶だ。

 

 『君に限った話じゃないが……今後生きていく上で様々な体験をするだろう。そして、いつかだれかに殺さそうになったり、逆に殺してやりたいと思うこともあるかもしれない。――もし()()そんな目に合いそうになったら、覚悟をするといい、誰かに言われたり、その場の勢いではなく自分の意志で行動するんだ』


 ――――たしか、夏のとても暑い日にそんなことを言われた気がする。



 ――   *   *   *   *   ――



 翌日、休み明けの学校。

 始業式も終わって生徒たちは自分のクラスの教室へ集まっていた。


 (昨日のあれは何だったんだろう……。俺の見間違い?何かの撮影とか?)


 俺は自分の席で頭を悩ませていると横から声を掛けられる。


 「よぉ!晴明、二学期ぶりだな」


 「久しぶり、和人!脅かすなよ」


 声をかけてきたのは、中学からの友人である西岡和人(にしおかかずと)だ。彼は俺の一つ前の席に座ると、そのまま話続ける。

 

 「冬休み明けだってのに、始業式終わったら通常授業だぜ!だるくね?ってか冬休みの宿題終わった?」


 「…そうだな。宿題は完壁に終わったよ」


 俺は和人の話にめんどくさそうに答える。


 (いいやつだし嫌いじゃないんだけど、ちょっとうっとおしいんだよな…)


 「どうした?すいぶん機嫌悪そうだけど、はっ!ひょっとして実は宿題おわってないとかか?」


 「別に。いつもこんな感じだよ」 


 そっけなく答えると和人は「そっか!」とだけ言って、お前も何か話せとばかりに見つめてくる。


 「……なあ和人!何の前触れもなく突然人が焼け死んだっていったら信じるか?」


 「は?なにそれ都市伝説?」


 「そんな感じ。で、どう思う?」


 和人は腕を組んで天井を見上げながら、考え込む。


 「もし本当にあったら怖えーなー。って感じかな」


 「ま、そうだよな……」


 和人は実際にその現場を見たわけではないのだ。当事者でないものからすれば、こんなことを聞かれても、その程度の感想しか出ないのは仕方がないだろう。

 

 すると――


 「二人とも何の話してるの?」


 女性の声が聞こえた。

 その女性は日本人離れした金色の長髪に、翡翠色の美しい瞳を持ち、一目で美人だとわかる見た目をしている。


 (あれ、こんな人うちのクラスにいたっけ?)


 「ぃよっす!アリスさん」


 「!?」 


 さも友達みたいな距離感であいさつをする和人に面食らう


 「おい和人、誰だこの人お前の知り合いか?」


 俺が当然の疑問を口にすると、正気かこいつ!?みたいな目で見られた

 

 ――――――解せぬ。

 

 「お前クラスメイトを忘れるとか無いわ~、冬休みを経てとうとうボケたか!」


 (???ひょっとして冬休み前からいたのか?……そういえばいた気がする)


 まるで何かの暗示にかかったように納得する


 「アリスさんか!ごめん、普通に忘れてた」


 そうだ。この女性、アリスさんは入学したころからずっといたじゃないか、なんで忘れてたんだろう。

 俺はその後も三人で雑談を続けた。

 

 「そういえば聞いたかよ、今日転校生がくるって」


 休み時間も残り少ないというタイミングで、和人はその話題を持ち出した。


 「転校生?もうすぐ2年になるっていうこんな時期に?」


 「あ、それ私も聞きました。どんな子が来るのかしら」


 「俺は女子が来ると予想します」


 晴明が疑問を投げかけ、アリスさんが答えて再び疑問を口にする、そしてそれに和人がグッとサムズアップをして答えた。

 チャイムが鳴るギリギリまで、三人で雑談をして、時間を潰した。



 教室に予鈴が鳴り響き皆が自分の席に戻り始める。

 それぞれが自分の席で暇をつぶしていると授業開始のチャイムが鳴る、すると、うちのクラスの担任にして、黒のツンツン頭で目の下にはクッキリとしたくまがある気だるそうな先生が、教室に入ってきた。


 本当に教師か疑いたくなる身なりだ。

 ―――ちなみに生徒からは親しみを込めて、ウニ野郎というあだ名をつけられてる。


 「はい、じゃあ冬休み明け初の授業をする前に、突然ですが転校生を紹介します」


 「え?転校生?」「なんで突然?」


 とクラス中から当然の疑問が沸き上がるが――


 「はいはい落ち着いて、先生だって急に任されて困惑してるの」


 そう言ってみんなを落ち着かせると、先生は廊下に向かって”それじゃあ、入ってきてください”と声をかけた。


 扉を開けて入ってきたのは、この学校の制服を着た、()()()()()()()()()だ。


 「はじめまして、エルザ・アンダーソンです。イギリスから日本に引っ越してきました。こうして日本の学校に通うのは初めてです。よろしくお願いします」

 

 クラス中が驚いた。

 当然である、突然の転校生というだけで驚きなのに、まさかそれが外国の人だとは思わなかったからだ。しかし、すぐ気を取り直して


 「よろしく~」と声をかける。

 

 みんなが拍手をして声をかけていく中、俺は驚きのあまり皆とは違う理由で固まってしまった。

 なぜなら、俺は彼女のことを見たことがあるからだ。

 冬休み最終日、あの公園で。


 彼女は昨日、全身を炎に包まれて死んだはずだ。 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ