19話 部長、半端ないです
よくよく考えたら5年間学院に通って17歳で成人するのってハリーポッターと設定が被ってしまったなと思いました。特に意識してなかったから無意識に真似てしまっていたのかと内心反省したりしなかったりです。
この1話は本当に過去1難しかったです。剣のことなんて微塵もわからないので過去に読んできたラノベの表現を思い出しながら描いてました。自信はないのですが面白いと思っていただけたら嬉しいです。
魔術が使えるようになった次の日。
1限が上級生による部活動紹介だ。剣術、槍術、弓術、拳術、棒術のように武術系の部活が多かった。
人口の99.9%が魔術師のこの世界では武術は趣味か、魔術で敵に劣った時に少しでも対抗できるようの保険のようなもの扱いらしい。
武術以外にはボードゲームやカードゲーム、吹奏楽などの文化系の部活もちゃんとある。
日本の学校と違う点が球技系の部活は無かったことくらいだな。
ちなみに前世のうちは弓道部だった。姉貴がそうだったから入ったが正直言ってうちはそこまで上手くなかったし、辞めようかとも思ったこともあった。今となってはどうでもいい話だが。
兼部が可能らしいので、とりあえず剣術とボードゲーム部に入ることにした。シエラは剣術と魔工学部に入った。今日の午後は剣術部が丁度あったから2人で行くことにした。
「ミロクが剣術部に入るのとか、すごく悪い予感がするのだが?」
「大丈夫だよ。手加減はする。」
「頼むよ。」
4限が終わってから、うちらは第7訓練場に来ていた。
「新入生はこちらへ。」
部長だろうか?
背の高い上級生が1年生を集めていた。
集まっているところに行くと、1人ずつ木剣を配り始めた。
「じゃあ、とりあえず4人ずつ適当にグループを作って、俺に向かって全力で切りかかってこい」
うちは
「全力で?」
とつい聞き返してしまった。だってこの人、実力を隠していなければだが、うちが鉄扇でサクッと倒せるぐらいの実力しかないように見える。
物理攻撃ならムーンライトベアの方が強いだろう。
うちが全力でやったらまずいと判断したらしいシエラが、音魔術で他の人には聞こえないように直接うちに「だめだ!」と言ってくる。
「ああ、全力でこい。」
「では心置きなく。うち1 人で相手していいですか?」
「ああ、君がそれでいいのなら。」
うちと構えが違うな。流派が違うのかな。師匠に教わった剣術だから具体的な流派はよく知らないけど。
「試合開始!」
先手必勝。とりあえず一気に距離を潰す。
木剣と鉄扇だとリーチも重さも全然違うな。多少、剣術を師匠に教わったが、基本は鉄扇を使っての闘いを極めてきたから木剣は軽いし、長いしでちょっと扱いにくい。
さすがは先輩だな。剣速は結構速い。師匠と打ち合ってきたうちはしっかり見えてるけど。
全部見切って小さな体を活かして避けている。
15分くらいたっただろうか、少し先輩が疲れてきたみたいで、煽ってやることにした。
「あれ? 先輩、動きが遅くなってきてますが大丈夫ですか?」
後ろでシエラがやれやれという顔をしていたのが見えた。
先輩が受けるので精一杯になったくらいで、1 つギアを上げてみようと思った。
が、
その瞬間、凄いスピードで突っ込んでくる人の気配に気づいて慌てて離れた。
「メールズ、相手の技量を瞬時に理解できないといつか死ぬぞ。それにお前が得意としているのは剣と盾を持ってでの戦闘だろう。」
「申し訳ありません、部長。副部長になって調子に乗ってました。」
「下がって休憩しとけ。」
「はい…」
「新入生に凄い奴がいると報告を受けて来たが、思っていた以上だね。さっきの試合7割くらいの力しか出してないだろ。それに得物は剣ではなさそうだな。」
普通に驚いた。そこまで言い当てられたのは初めてだった。しかも今まで戦っていたメールズという副部長より少し背が小さい女性だった。青みがかった髪と、オレンジ色の目。この特徴どこかで見たことがあるような気がするけど、まあいいか。
実力を見破られたし、歩き方からして師匠並みの凄腕の剣士だということが窺える。
「凄いですね。よく分かりましたね。」
「私の目は『武将の魔眼』だ。大抵の武術は見破れる。君も遊び足りないだろう。その腰につけてる鉄扇で私の相手をしなさい。その木剣、硬化魔術がかかっているとは言えすぐに壊れそうだから。私も愛剣で相手しますよ。」
彼女の愛剣は刃こぼれも少なくよく手入れされている剣だ。魔剣というほどではないだろうが少し魔力を帯びている気がするし。
武将の魔眼か。魔眼というものが存在するだろうとは思っていたが本当あるとは。
「楽しくなりそうですね。」
花野井智数は、こんな好戦的な性格ではなかったはずなんだが。この世界に来て12年間の記憶もあるし、この世界に生まれたミロクが好戦的で、ミロクの意志と智数の意志が融合していると考えたら納得がいく。
「試合開始!」
剣と鉄扇が当たる金属音が響く。
さっきのメールズとか言う先輩と違ってこの部長は気を緩めたら、即一本取られるだろう。
木剣よりよっぽど重たい両手剣を先程のメールズの剣速とほとんど変わらない。避けたり、受けたりできない早さではない。剣の重さもその小柄な体からは考えられない程重いが、落ち着いて対応すれば弾いたり受け流したりできる。
武器を扱う技術はこちらがほんの少しだけ劣っているが、うちの方が体が小さい分そこの実力差は簡単に打ち消せた。
問題は、正確にこちらの動きを読んできていることだろう。経験によるものなのか、魔眼の効果なのか知らないが、小さな予備動作と視線からどこに攻撃を出すか読んで冷静に防御をし、カウンターを繰り出す。
凄くやりにくい。
「やっぱり重いわね、その扇子。」
「ええ、師匠がくれた最高の扇子です。」
そんな軽口を叩いているが内心では全力で集中している。
何分間打ち合っただろうか。試合を見ていた周りの人の顔色が徐々に悪くなっていく。
終いには退部すると言って出ていったやつもいた。
「イタタタ、」
体力が減ってきて一瞬集中が切れた。
そんな隙を先輩が見逃すはずもなく、峰打ちを喰らった。
先輩がすぐに治癒魔術で癒してくれたことで痛みと傷はなくなった。
負けた。これがパレス学院剣術部の部長の実力か。
でもいい試合だった。満足している。
それからはうちはまた、今度試合しようと部長のルー先輩と約束してシエラと寮へ向かった。
その瞬間周りの人は全員が同じことを思っただろう。
(もう2度と来ないでくれ。)と。
ミロク、お前はよく頑張った。今回は相手が悪かった。




