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31話 今度は負けません!

2日ほど遅れました。すみません。

魔術学院に入学してからも毎週の休日は家に帰っている。

母が寂しがっているだろうし、師匠が帰ってるかもしれない。


入学してから3週間後の休日に帰って師匠の店を確認した。


「師匠!!」

「おお、帰ってきたかミロク。」

「うん、強くなったよ!」

「そうかそうか。じゃあどれだけ強くなったか見せたみろ。」


そう言うといつものように魔物を出してきた。


「こいつは入学前にあんたが倒せなかったター トルロードと同じ個体だ。」

「どういうこと? 前の奴は潰して殺してなかった?」

「俺の能力だ。俺は竜巻を収納することができる。その時、竜巻に巻き込まれた意思のないもの、または俺に殺意を向けている物は一緒に収納できる。」


いつも魔物を凄く簡単に捕まえてくるから疑問に思っていたが、そんな能力を持っていたのか。


「強くなったんだろ。そいつを倒してみろ。」

「はい師匠!」


ということで一度敗れたタートルロードとリベンジマッチをすることになった。


「おりゃ!」

まずは鉄扇の一撃を与えた。シエラに詠唱を教わった重力魔術をのせた一撃で、今のうちで出せる一番高い攻撃力だ。


タートルロードは少し狼狽えただけでほぼ無傷だった。ダメージは入っているが、ほんの少し痛いと思っただけだろう。やっぱり鉄扇じゃ倒せないか。


師匠の収納の中で魔力が回復しているようで魔術を使ってきている。ルー先輩の斬撃より遅いから対応できるし、スクエアを使えば簡単に防げる。


ちなみに、数学魔術は固有属性だからなのか、無詠唱でも発動可能である。口に出して詠唱するよりも3割くらい

多く魔力を使うからなるべく使わないが、動きながらの詠唱はキツい。


重力魔術を纏った鉄扇の攻撃で少しずつダメージを与えながら、避ける。


あっちの攻撃はこっちに当たらない。こっちは当てれてもあまりダメージが入らない。

だが、うちでも体力が無限に続くわけではない。体力が切れてきた頃になれば、あの魔術と突進を避けられる自信はない。

100発叩いてやっと倒せるかどうかで、1発くらったら重傷の攻撃をしてくる敵は、相当面倒だ。


どうしたら......


数学魔術をうまく使わないと勝つ可能性はない。


そうだ!!


「数学魔術・カオスフィールド! トポロジー!」


カオスフィールドを展開して、トポロジーで奴の前の地面を少しだけ凹ました。

タートルロードが一瞬、動揺した。

すぐ後ろに跳んで足が溝にはまることを避けたみたいだが、一瞬の動揺がこの空間では致命的だ。


うちにバフがついてスピードと攻撃力が上がった。奴には鈍足と防御力低下というデバフがついた。

1秒もかからず10mの距離を潰して首に一撃入れたら奴は1度倒れた。

だいぶダメージが入ったようだ。


追撃を入れようとしたら、うちと奴の間に土壁ができた。

後ろに飛んで避けて、横から回り込もうとしたら、タートルロードは既に立ち上がって臨戦体制を取っていた。


相手も賢い。同じ手に2度は引っかからないだろう。


失った分の魔力をフートキューブで回復しながら次の作戦を考える。


簡単にいうと、スクエアで出したバリアをトポロジーで針のような形にして奴に突き刺す、という感じ。

スクエアの魔術は魔力を込めれば込めるほど硬くできる。折れる心配はないだろう。


だがこの作戦には3つ問題がある。


まず、1つ目はタートルロードがスクエアのバリアを認識できる可能性があることだ。

シエラやルー先輩は見えなかったようだが、まだうち以外で見える者がいる可能性は十分にあり得る。タートルロードがスクエアを見ることができるとなると、罠のように地面に設置して誘導することができなくなる。


2つ目はトポロジーの影響下にある物は、うちの意思で動くが、スライムのように柔らかい。つまり、変形中に何か障害物があれば、貫通できず遮られる。もちろん、トポロジーの影響を無くせば元の物質になるから、罠を設置する分には問題はない。


3つ目はスクエアは1度出すと押しても引いても移動させることができない。トポロジーで形を変えられるから一度移動させたい場所まで伸ばしてそこで形を整えれば移動ができるが、手間と時間がかかって今の状況的に多分できないだろう。それに、変形させて針を作ったとしてもそれを矢のように飛ばせるわけではないということでもある。


とりあえずは、奴がスクエアのバリアが見えるかどうか確かめよう。


「数学魔術・スクエア」

魔術攻撃を1度やめて、突進してこようとした奴の前に大きめのとびきり硬いスクエアを出した。


パキッ


そのままぶつかった。だいぶ硬く作ったと思ったのだが、スクエアに大きな罅が入った。

見えてはいないようだ。

1度の突進は耐えたが、もう1度突進されたら流石に壊れる。


今のうちに罠を作っておかねば。


「数学魔術・スクエア、トポロジー」

地面に硬めのスクエアを配置する。トポロジーで針をたくさん作った。あとはタートルロードがスクエアを突き破ってくるのを待つだけだ。


パリーン

ガラスが割れるような音でスクエアを突き破ってきた。その勢いのままうちに向かった突進してきた。


そしてうちが設置した罠にしっかりとハマってくれた。


見えない何かに足を突き刺され、もがいているタートルロードに更なる追撃を与えようと鉄扇を奴の首に叩き込んだ。カオスフィールドによる攻撃力上昇効果に加え、重力魔術で威力を増し増しにした過去最高火力の一撃。


タートルロードは最後に一矢報いようとしたのか最後にうちに向かって水の矢を飛ばして力尽きた。

最後の水の矢をスクエアで止めたうちは、高揚感、達成感、満足感、疲労が湧き上がってきた。


「倒せた...倒せたよ師匠!!」

「うんうんよくやった。まさかこいつを無傷で倒すとは思わなかったぞ。強くなったな。」


師匠に褒められた! 凄く嬉しい!


「次からは脅威度6の奴を連れてきても良さそうだな。」

「え。」


速攻で地獄に突き落とされた。


「それにしても固有属性が使えるようになるとは思わなかった。学院でも習っていると思うがこの世の魔術は一般属性、特殊属性、固有属性、超越属性、3大属性の5つに分かれている。一般属性は魔術が使える人なら簡単に使える魔術だ。水魔術や火魔術がそれに当たるな。特殊属性は一般属性を応用させた魔術だ。代表的なものだと光魔術の応用で虹光魔術や月光魔術 があるな。固有属性は1000人に1 人しか使える人がいないというその人固有の魔術だ。この魔術はそれぞれに特別な魔方陣があるのだ。ミロクの場合は正方形9つに数字が書かれた魔方陣みたいだな。超越属性は特殊属性や固有属性を極めていったときに使える極大魔術のこと。3大属性は前にも話した通りだ。ミロクが超越属性の魔術を使えるようになったら俺ともやりあえるかもな。」


「絶対師匠を超えてみせる。」

「その意気だ。」









カノン視点

王の勅命で2週間ほどテリンの町を離れていた。


戻ってきてから数日。ミロクが俺の店を訪れてきた。

俺は弟子が2人いる。サラとミロクの2人だ。

サラとミロクは、同い年でその上、誕生日も一緒だという。


サラは俺の姪だ。4歳の時に冒険者だった両親が亡くなって、俺が育てることにした。

あのときも今も俺は結婚はしていない。子供もちろんいない。子育ては難しかった。ワイバーンの大群を倒した時よりもよっぽど苦労した。彼女が5歳の時、俺は彼女を鍛えることにした。幼い頃に無理矢理魔術を発動させようとすると魔術についてではなく主に剣術と鉄扇術を重点的に教え込んだ。魔法剣士だった俺の兄の娘だからか、鉄扇術より剣術の方でみるみる成長した。

サラを弟子にしたのは、ゼピュロスがそうしろと言ったからだ。ゼピュロスは魔王具の1つで、暴風神の鉄扇だったとも言われている。そして、俺はゼピュロスから意志を感じる。会話ができるわけではないが、なんとなく、何をして欲しいのか、何をした方がいいのかが理解できる。

あの時は、サラを弟子として鍛えろと言っていたのだと思う。

俺は近衛魔術師団副団長だったから弟子入りを志願してくる者がたくさんいた。数多の魔物を倒してきた剣士、元Aランクハンターの魔術師。その人たちを幾度となく断ってきた。俺は、ある日たまたま魔王具の所持者に選ばれて最強の力を得ただけで元々はDランクハンターほどの実力しかなかった、どこにでもいるごく普通の男だった。そんな俺が弟子なんて取ったって教えられることなんてない。

ぜビュロスがサラを弟子にしろと言わなければ俺は間違いなく、サラを普通の女の子として育ていただろう。


今、彼女はルーベルン学院に通っている。

「母さんと父さんが通ってた学院に行きたい。」

っていたから教えてやった。


ミロクは、近くに住んでいて、近所でも有名な美女イザベラの息子だ。

彼との出会いは6年前、彼が6歳の時に俺が作る扇子が気に入ったらしく弟子入りを志願してきた。

初めは「まあ、扇子作りを教えるだけならいいか。」なんて思っていたのに、彼も戦士として、弟子に取れとゼピュロスが言っていた。


理由はわからんが、この2人以外にぜピュロスが弟子に推した人はいない。


数年の修行の末、2人ともDランクハンター以上の実力をつけて魔術学院に送った。

剣士としての実力はこの国の平均以上だろう。


魔術は少し教えてやったが、2人とも使えなかった。

原因は、2人の体内に魔力がほとんどないからだろう。


魔力石がないと詳しいことはわからんが、詠唱しても、普通なら体内で動く魔力が見えないから魔力不足だろう。

魔力嚢は空気中の魔力を吸収して同時に吸収した魔力より少し少ない量の魔力を排出している。その差分だけ魔力嚢に魔力が貯まる。おそらく2人は吸収する作用が人より未発達なのだろう。

たしか、王家の担当医師が魔力吸収(マルアブゾープショ)不全症(ンシンドローム)という病気で、1億人に1人が発病するかどうかという珍しい病気だという。マナポーションを飲めば魔力を補給できて、魔術が使えるらしいが、魔力排出量は変わらないからすぐに魔力が枯渇してしまうという問題がある。

もちろん、まだまだ幼いから魔力嚢と魔術脳の発達が常人より遅れているだけだという可能性もある。

だから2人には「魔術学院に行けば魔力が使えるようになるさ」と言って簡単に誤魔化して、魔術学院に送ったんだ。


魔術学院から1度テルンに帰ってきたミロクが強くなったと言ってきたから、収納してあったタートルロードとまた闘わしてみた。

本当にびっくりした。まさか固有魔術を使えるようになって帰ってくるとは。


まず、魔術が使えるようになっている。確かにミロクは魔力を持っている。どこでその魔力を手に入れたのか。

答えは簡単だった。俺がミロクに渡したフートキューブが魔道具化していた。相当な魔道具技師に学院で出会ったのだろう。

揃えると魔力を供給するシステムみたいだな。これなら今後、魔力不足になることがないだろう。


次に、固有属性が使えるようになっている点だ。


1つ目の『スクエア』は【魔力の物質化】という権能だろう。魔術結界や物理障壁と違い、魔術と物理の両方に対して防御が有効みたいだ。魔力感知のスキルか、魔力感知の魔眼がなければあの正方形の結界は見えないだろう。

過去に、同じように魔力の物質化に成功した人に会ったことがあるが、彼女はこう語っていた。

「攻撃魔術も物理攻撃も防ぐこの魔力体は作成に成功した人を私は他に知らない。私が10年間の研究の末ついに成功したのだ。しかしな、この魔力体には3つの欠点がある。1つ目が、術者は物質化を維持するのが大変だということだ。こいつは許容量以上の衝撃で破壊されるか、術者自身が魔力物質化を維持できなくなったら、魔力の粒子となって空気中に散らばって消える。魔力の物質化は、魔力を圧縮して固めるのだ。小麦粉を捏ねてパンの生地を作るようなイメージに近いかも。この時、空気中の魔力を圧縮するために自らの魔力を使う。そして、圧縮を維持するためには持続的に魔力を使わなければならない。だから、魔力を使い続けることになり、持久戦には向いていない。2つ目が、動かせないこと。押しても引いてもその場所に固定されているみたいで、運搬できない。1度出したところから違う場所に出したい時は、1度消してから出したい所にまた出さなければならない。3つ目が、光系と闇系の魔術は防げない点。魔力感知能力がない者には見えないし、見える者にも透明なガラスのような物に見える。そのため、ガラスと同じようにその2種類の属性には干渉できない。」


ミロクの行動を見ている限り、1つ目の欠点は関係ないのだろう。1度出したスクエアは基本的に放置していて、維持のために魔力を使っているようには見えなかった。固有属性だからなのかもしれない。2つ目の欠点は確かに共通していた。タートルロードが激突しても罅が入ったが、場所は全く移動しなかった。3つ目の欠点は試してみないとわからないからタートルロードを倒してから少し検証してみると確かに防げずにそのまますり抜けた。


2つ目の『トポロジー』は【物体の形態変化】という権能だろう。面白い魔術だ。


3つ目の『カオスフィールド』は正しいかどうかは分からないが、【自分に有利になるような領域の展開】という権能だと思う。


その3つしか使ってなかったが、この3つだけでも大抵の魔物は倒せる。今の彼ならCランクハンターをも倒しうる実力がある。ゼピュロスに所有者として選ばれる前の俺なんかよりよっぽど強い。


本当にミロクを弟子にとって良かったと思えた。

何となく詠唱してできた魔術『スクエア』。実は王国でも1人しか成功できなかった超高等技術。


サラは今後重要人物になるので覚えておいたください!

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