29話 数学魔術は有能です
29話には四次元という言葉が出てきますが、数学でいう四次元空間ではなく、某国民的アニメの猫型ロボットがもつポケットとと同じような四次元時空だと考えてください。今後、四次元空間を元にした能力もミロクに与える予定なのでややこしいかもしれませんがよろしくおながいします。
花野井智数。15歳。性別男。身長165cm。体重43kg。
勉強が結構できる、中学3年生。
特に数学が得意。
兄妹でショッピングモールに来て買い物していたら緑色の光に包まれて死ぬ。
目を覚ますと、ミロクという名前の男の子に転生していた。
ミロクとして生きていってシエラという友達に出会い、魔術学院で数日過ごした。
「ミロク! 起きろ! 遅刻する気か? 学院の精霊に指導されんのは嫌やで。」
今日もシエラが起こしてくれた。急いで準備する。
朝の最終バスにギリギリ間に合った。教室に入った瞬間タイムテラーが鳴いた。ギリギリセーフ!
席に着いたらガトンラ先生が、ネズミを咥えた魔植物を入れた植木鉢を持ってきた。ハエトリグサを超巨大化させたような見た目で、全長が1.5メートルくらいでうちより少し大きい。そんな植物が魔物のように動いていてねすみをむしゃむしゃと美味しそうに食べている。その見た目に相応しいデビルプラントという名前で、森の中で植物に紛れて小さな動物を食べて生きる魔植物だという。
そんな恐怖の植物の授業が終わって、2限の特殊属性の授業。途中で少し眠くなった。
居眠り中、夢の中でうちは真っ白な世界にいた
そんなうちの前に、急に文字が浮かび上がってきた。
『数学魔術』
この世界の言語ではなく、漢字で書かれていた。
数学魔術か。聞いたことがない。固有属性かな?
あるなら是非使ってみたい。
そう思った時、大量の謎の記号が現れ、うちの体の中に入ってきて……
ビクッってなってうちはパレス学院の101教室に戻ってきた。
その日の授業が終わってシエラと寮に帰ろうとしてた時に、さっき思い浮かんできた言葉を小さな声で読み上げてみた。
「数学魔術・スクエア」
すると目の前に魔方陣が描かれた。魔方陣と言っても普段、魔術を行使するときに出る丸い術式ではなく数学で言うところの3×3の魔方陣が出てきた。
正方形の透明な壁ができた。地球で見たアニメに出てくるバリアみたいなものだった。
うちはぶつかるのを避けるために歩くのをやめたが、反応が遅れたのか、シエラは思いっきりぶつかった。
「いててて。なんかある。」
「ごめん。脳内に浮かんだ呪文を言ってみたらなんか出てきちゃって。」
「これ何があるの?」
「シエラは見えないの? 正方形のガラスみたいなのが出た。」
「面白い魔術だな。攻撃魔法も物理攻撃も防ぎそうだな。」
バリアは消すこともできるらしい。
「スクエア解除」
そこでうちとシエラはルー先輩も誘ってバリアの強度を確かめることにした。
教師に空いている教室を借りて、3人で集まった。
「スクエア!」
バリアを1 枚出してみた。
ルー先輩も見えないらしい。
まず、シエラに軽く風魔術をバリアに向かって打ってもらった。
バリアはほぼ無傷で風魔術を受け止めた。
次にルー先輩に軽く切ってもらった。あっさりと真っ二つに割れた。
いろいろ試していると魔術を発動する時に使う魔力が多ければ多いほど大きくできて強度が増す。
たくさん魔力を込めて作ったバリアはシエラの本気の風魔術を少しだけダメージを受けたが、貫通はしなかった。
ルー先輩の本気の突きも止めた。
「硬すぎる。」
「私の剣が止められただと!」
「でも、結構魔力使わないこの硬さは作れないから普段使いはできないな。」
「魔術も含めての勝負だと私じゃもう勝てそうにないな。」
その後もいろいろ実験していった結果、既に出したスクエアを大きさだけ大きくして硬度はそのままにしたり、大きさは変えず硬度だけ増したりと、器用な真似もできるようになった。
そんな感じで色々検証して行ったけど、まだあるんだよね、覚えた魔術。
「あのー、まだあと8つあるんだけど。」
「「えーーー!!」」
『図形作成』
『四次元収納』
『友愛数』
『完全数』
『社交数』
『タクシー数』
『カオスフィールド』
『トポロジー』
の8つ。
『図形作成』は単純に、複雑すぎない、うちが名前を言える平面または立体なら何でも生み出せるみたい。
なんの物質でできているかよくわからないが、結構うちのイメージ通りに作られる。
つまり、透明なガラスのような見た目や材質で作れたり、ゴムみたいなものも作れる。
切頭20面体くらなら簡単に作り出せる。これでどこででもサッカーができる。
前世のうちは運動が苦手でサッカーなんて絶対無理だったけど今の身体能力なら楽しめそう。
次は『四次元収納』。3次元のxyz軸に加え、時間軸wを自由自在にいじれる四次元時空が生み出せるみたいだ。四次元収納内は収納魔術と違い、時間を止めたり、早く経過させたりできる。
時空魔術の時空収納と同じようなものだと考えればいいのかな?
時空収納は常時、魔力を消費しているみたいで、入れている物の体積と重量が大きければ大きいほど消費する魔力が多い。それに対して、四次元収納は収納を開く時と空間を拡張する時以外魔力を消費しない。フートキューブで魔力が簡単に手に入るようになったとはいえ、まだ使い放題ってわけではない。
『友愛数』の効果ははよくわからなかった。3人で色々行ったが、何もおこらなかった。220と284の組み合わせしか試していないけど数を大きくしたらなんか変わるのかな?
『完全数』は治癒魔法だった。対象の状態を完全体に近づける作用があるらしく、シエラや先輩は傷が消えたり、魔力や体力が回復したりしたらしい。
ただその分、魔力の消費がすごい。魔力が400くらいごっそり削れた。
自分を対象に完全数を行使したとき魔力が一気に0まで減った。
どうやら、うちは完全体は魔力0の状態らしい。
フートキューブで魔力を補給してまた検証を続けた。
『社交数』は3人以上で行動するときに魔力の供給ができたり、念話で簡単に連絡が取れたりで結構便利そうな能力だった。魔力消費もほとんどなく協力して何かしなければならない時に役立ちそう。
『タクシー数』は空飛ぶ自動運転のタクシーの召喚。
こいつがあるだけで移動が凄く楽になる。もちろんカーナンバーは1729だ。
『カオスフィールド』は小さな出来事がとてつもなく大きな出来事になる、バタフライ効果が頻繁に起きる結界を作る魔術で、結界内では、通常状態なら取り返しのつく小さなミスが致命的なミスと化す。自分にも相手にも有利にも不利にも働く魔術だった。
使い所をしっかりと見極めないと。
最後の『トポロジー』はどんな物でも穴を増やしたり減らしたりしない限り、粘土のように変形が可能になるというものだった。しかも直接触れなくても見える物ならスライムのように形を変えられる。魔力消費もそれほど激しくないから今後、使いまくるであろう魔術だな。
「にしてもどれもこれも強くねえか?」
「でも攻撃系魔術がないぞ。」
「確かにそうなんだが、うち数週間前まで魔術が使えなかったから今はこれで十分だよ。」
「いやいや12歳の能力じゃないから、どう考えても!!」
その後、先輩に魔鉄行を渡していつでも連絡が取れるようにした。
シエラが作った魔鉄行が超便利で、持っている人同士なら電話のように遠く離れた距離の相手と連絡が取れるという。
シエラ曰く、
「通信距離の限界が半径8キロ程度だから、まだまだ実用性に欠けるよ。」
だそうだが、正直パレス学院内での連絡ならお互い、対角にいたりしない限り繋がるから、何も問題はない。
「ではまた部活で会おう。」
「ありがとうございます先輩!」
先輩に検証の手伝いをしてもらった感謝を伝えた。
今日は、いつもとは少し違ったメニューを頼むのもいいかもと思いながら、うちはシエラと食堂へ向かった。
だいぶ強めの能力を手に入れたミロク。
だが最強への道はまだ遠い。今後のミロクにご期待を!




