第4話 黒円の真下で──
空中に浮かぶ黒円が、静かに脈打っている。
街の上空。
空気が重い。
黒円が裂け、二つの影が降り立つ。
一人は銀髪の女Kratos
鋭い目つき、唇の端を吊り上げている。
もう一人は整った所作の青年が一歩前へ出る。
《まずは自己紹介といきましょうか、私はLizと申します。Zelosを倒したのはあなたたちですね》
フィスは黙って睨む。
ダイスが低く返す。
「だったら何だ」
Lizは穏やかに微笑む。
《見事でした。あれは我々の中でも上位戦力でしたから》
Kratosが鼻で笑う。
《ふん……でもさぁ、そんだけでしょ?それで調子乗ってるなら痛い目みるわよ? さっきは遊んでただけ、今度のあたしは甘くないから》
フィスが前に出る。
「来いよ、ぶっ壊してやる」
銀髪が踏み込む。
速い。
ダイスと真正面から激突。
衝撃で道路が割れる。
《へぇ……やるじゃない。でも足りないわ》
回し蹴り。
ダイスが吹き飛ぶ。
フィスが斬り込む。
リスが滑るように割り込む。
《連携は良いようですが、焦りが見えますね》
笑いながら刃が受け流される。
衝撃。
フィスが数歩下がる。
ダイスが戻る。
「分かれてると削られるな」
銀髪が笑う。
《気づくの遅くない? かわいいけど》
再び同時攻撃。
Lyzは正確無比。
無駄がない。
Kratos荒々しく、だが鋭い。
徐々に押される。
建物が崩れ、瓦礫が舞う。
フィスが息を整える。
ダイスが視線を送る。
頷き。
二人が左右へ大きく跳ぶ。
《逃がしません》
Lyzが追う。
《どこ行くのよっ》
Kratosも加速。
その瞬間。
フィスが急停止。
ダイスが反転。
挟み込む形に誘導。
《チッ……やられた!》
「見た目騙しだったなぁ!」
フィスがKratosを蹴り上げる。
Lyzが支えに入ろうとする....がダイスが割り込む。
拳がLyzの軌道を逸らす。
空中で二人の幹部が並ぶ。
「今だ!」
フィスが跳躍。
ダイスも同時に踏み込む。
光刃と拳。
二方向から同時打撃が一点で炸裂。
空気が弾ける。
Kratosが笑いだす。
《あは……やるじゃない》
Lyzが静かに目を閉じる。
《見事...です》
次の瞬間。
二人の身体は光に分解され、完全に消滅した。
途端に東京は静寂に包まれる。
黒円が強く脈打つ。
空気が潰れる。
立っているだけで膝が震える。
黒円の中心が裂ける。
巨大な影が降り立つ。
地面が沈む。
言葉はない。
ただ、圧倒的な威圧。
フィスの呼吸が浅くなる。
ダイスの拳が震える。
影が、ゆっくりと顔を上げた。
黒円は、なお空中で脈動している。
――本当の戦いが、始まる。




