~近畿地方のある場所について~創作論考。
とりあえずちゃぶ台返し店主を呼ぶところまでが正しい作法。
映画としては、悪くない、ギリギリ、まあ原作のテイスト部分だけで最期まで席を立たせない、かな、多分。
非原作部分が余り目立たないのが最大の長所、なのはマクドナルド的です。
完全に餌であって決して食事ではないけれど人間が口にして赦される範囲。
そんな映画。
スタッフは納得の人選。
監督と脚本の前歴を斜め読みして絶対に視聴しなければ、観なくても解る。
うん。
マクドナルドですわ。
そこで察したこと。
人間には三種類あります。
芸術家。
職人。
作業員。
小説家。
ライター。
売文屋。
作品の為に居る人。
技術の為に居る人。
注文の為に居る人。
どれが悪い訳でもありません。
能力の有無と関係ありません。
役に立つも邪魔もありえます。
例えばIT系は芸術家ばかりです。
クライアントはともかくユーザーになってみたことは誰にでもあるでしょう。
そして知ります
……余計なことをするな。
むしろ、なにもするな。
予算も納期も注文もある世界で、やらなくていいやらない方がいいやっちゃダメをコンプリートしていく芸術家の如何に多いことか。
君の創作を満たす余地ねーから!
必要なのは職人なんですが。
いやまあ元凶は、何も判らないクセに夢ばかり魅て判らないことが解らない爺婆が決裁権を握っていることですが。
貴男貴女が観たことあるのはファミコンですもう朝ごはん食べたでしょう知らないメール開いてサイトアクセスさせられてパスワード打ち込むんじゃない
……いわゆるサイバー犯罪(嗤)、ランサムウェアとかオレオレ詐欺と同じ程度の犯罪はこうして成立します。
ウィリアム・ギブスンや士郎正宗が夢見たサイバーパンクな犯罪世界は絶対に来ません。
高度な技術はおろか使いまわしのお手軽ツールでツール自体を理解も出来ないアルバイトが数撃ちゃ当たる単価ゼロでカモを釣るのがサイバー犯罪(笑)。
カモは無知を自覚できないのに会社の金だけは手放さない爺婆へデジタルの夢を売り付けるメーカーやソフトウェア産業の詐欺師がインターネットへご招待!し続けるから尽きることなしボロい商売。
手応えがまったくないですが金が好きなら、お奨め。
ま、そんな世界に溢れているのが、芸術家。
単純労働の世界にそんなのが入ってくるんですから100%約束された大失敗。
作業用ツールやユーザーサイトのリニューアルが間違いなく失敗する元凶です。
エンドユーザーが必要としてないもの。
クライアントが理解も表現もしないもの。
クリエイター気取りには出来もしないもの。
でも、朝ごはんまだかと尋ね続ける会社役員経営者は、何度でもなんどでもナンドデモ引っかかりますから、サイバー犯罪(笑)は初心者歓迎だれにでもできる簡単な作業ですからソレだけが残る。
サイトリニューアルと言えば(自主規制)。
映画の話に移ります。
ある意味「近畿地方のある場所について」の映画スタッフは真っ当な社会人です。
サイトリニューアルとかを失敗はしないタイプ。
失敗、は。
すっごくレアですよ、奇跡に近い。
経費の範囲で納期を守りクライアントの注文通りに納品しようとする。
しようとは、する。
優秀な……作業員。
安かろう悪かろう、ではありません。
安くて良い訳がありません。
安いからそれなりに、なんですよね。
だから、マクドナルド。
普通、こんな人材、まさに人の形をした材料、は映画の世界で少ないでしょう。
いやサラリーマンなら少なくないでしょうが。
なぜ「近畿地方のある場所について」の映画化にコレを選んじゃったかな~って話です。
まず原作が傑作なので芸術家は要りません。
稀に融合反応をおこしたりしますが、希。
一般的には融合爆発して終わり。
まあ映画は産業化されてますから芸術家こそ稀なんですが。
芸術家気取りは生きられても芸術家が生きるのは希。
ましてや原作ありきの企画に芸術家は無いです。
互いの持ち味を消し合うだけ。
一番ふさわしいのは職人です。
余計なことを考えず素材を極めようと最善を尽くすタイプ。
どこまで究められるのかは才能次第ではありますが。
とはいえ原作ありきの企画しかない映画の世界。
手配出来なかった、しなかったのは制作元の力不足か日和ったか。
久々の映画制作で何処から連れてきたんだスタッフ?ってのもありましたが。
それで妥協したのは、外部作品で面子も無いし原作が傑作だから手抜きでも売り上げが見込めるから、か。
コストパフォーマンスを優先した訳。
結果。
まあ。
観ても観なくてもいいから、原作者への寄付としてチケット買うのは当然、な代物が公開されました。
ファングッズみたいなモンですね。
残念です。
映画も容易に傑作と出来たのに。