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光の速度で魔王は恋をした

作者: たべたべ
掲載日:2024/09/19


「やっと出会えたのう、勇者よ」


「こちらこそだ、魔王!」


数々の魔物を打ち倒し、俺たちパーティは城の最奥である魔王の間までたどり着いた。


玉座に座る魔王は足を組み、赤い長髪を携えて悠々とした面持ちで俺たちを見ていた。

奴が世を混沌と絶望に陥れた張本人、魔剣の女帝だ。



魔王は魔法を使わない。

奴は己の腕っぷし、剣さばきのみで魔族の頂点に立ったと言われる剣の使い手...。

光をも超えると言われるやつの剣技の歯牙にいつかかるかは分からない。油断は禁物だ。

俺は腰に携えた剣に手を添える。


皮肉にも同じ剣使い。

それも同じ「光速」の剣使い。

そう呼ばれた俺の剣技がどこまで通用するか。



「勇者様!」



一騎打ちを前に集中していた俺の後ろから声が聞こえた。

この声は一緒にパーティを組んでいた仲間のうちの一人、僧侶サーナの声だ。

しかし俺は振り向かない。


振り向けば最後、一瞬のうちに俺の首は胴体から離れている事だろう。


倒れてきた仲間たちのためにも、今、この瞬間を逃すわけにはいかない。



刹那、しんと静まり返った空間で魔王の手がピクリと動いた。


俺はその瞬間、魔王の懐に飛び込んだ。


同時に魔王の姿が消えた、いや剣の切っ先をこちらに向けてあり得ない速度で突っ込んできていた。

だがここで怯む俺ではない。

見える。

見える。

魔王の踏み出す足が、たなびく髪が、笑みを浮かべる口元が。


「光速」を語るに違いない速度で、俺は魔王の首を刎ねる!!




はずだった。


おそい。



おそい。




非常に遅い。





右手に剣を持ち、切っ先をこちらに向けて走る姿の魔王が止まって見えた。

いや実際に止まっている。

そして俺も同じく右手に剣を持ち、切っ先を魔王に向けて走る姿のまま静止した。


え、何これ


初めての経験に動揺し、俺は目線で周囲を見渡した。


すると魔王の背後、凄まじい勢いで突進してきた彼女の勢いに耐えられず、先程まで座っていた玉座が大破していた。


だが明らかに様子がおかしい。


飛散した瓦礫がピタリと静止、舞った埃は揺らぐこともなく滞空している。


...これはまさか...。



俺は視線を魔王に戻す。

すると魔王も俺と同じように視線だけで周囲を見渡していた不敵な笑みを口元から崩すことはないが、目線だけで動揺を感じ取れる。

そして俺の目線を感じ取ったのか、奴とピッタリ視線があった。


俺と魔王はしばらく見つめう。


だが一向に剣は首元に届く気配がない。

全く進む気配がない。

いや、厳密にはほんの微量ずつであるが進んでいた。

その証拠に魔王の赤髪、その毛先がキラキラと怪しく光を変えている。


...これは多分だが、俺と魔王の余りの速度に世界が追いつかなくなったのだろう、か。


なんて考えながらも体は全く動かず、いや実際には動いてるのだろうけれども、魔王俺とは見つめ合ったままだった。


そこで俺は初めてまじまじと魔王の顔を見た。


この世界で魔王の顔を覚えている者はいない。なぜなら会えばたちまち殺されてしまうからだ。

そんな中、世界で俺だけがはっきりと魔王の顔をまじまじと長時間見つめる。




...意外と良い顔立ちだな。



自分で言うのもなんだが、勇者ともなるとそれなりに色んなところから婚姻の申し込みが来るわけで。助けた村娘だったり、町娘だったり、果ては一国のお姫様だったりなんて事もあった。

だが毎度毎度「いえ、まずは魔王を倒してからです。それまでは」なんてカッコつけてやんわり断っていた。

勿論、断っていた理由は本当に魔王を討伐してからでなければ決まりがつかないという事もあるのだが、心の奥底に隠した小さな心情としては「もっと俺のタイプにバッチリの娘がいるんじゃね?」だった。


そして今、こんな命のやりとりを行っている刹那に小さな心情は大きく震えてしまっていた。


いやいや、そんな邪な考えはいけない。

いつこの状況が打破されるかも分からないのだ。

次の一瞬にも首が飛んでいるかも知れない。

と、思ったその時、


「...おい、勇者よ」


と目の前の女から声が聞こえた。

口元は動いていない。しかし声ははっきり聞こえる。


「勇者よ。聞こえるか。今お前の頭に直接語りかけておる...」


そういうことらしい。

魔王は魔法を使わないと聞いていたが、間違いだったのか。それとも魔法ではない魔物特有の能力なのだろうか。

...いや、もしかしたら時をゆっくりと動かす魔法のような物を使って俺の隙を伺っているのかも知れない。

集中しなければ。


「おい、勇者よ」


「......。」


「聞こえないのか勇者よ」


「......。」


「...おーい?」


「...。」


「え、聞こえないの?我だけ?今のこのゆっくり感、我だけ?」


「...。」


「やー...マジか。マジかー。恥ずかし。我恥ずかし。独り言恥ずかし。でも聞こえないならまあいいのじゃ...」


「...。」


「マジなんなんじゃ?この状況は何じゃの〜?362年生きてて初体験することもあるもんじゃわ〜。長生きするもんだ」


「聞こえてる」


「え!?」


魔王は表情をほんの数ミリも動かすことなく驚嘆の声を上げた。


「聞こえてんの?」


「聞こえてるが」


「...ふふふ、勇者よ。よく聞け」


「いまさらそのキャラはもう遅い」


「ぐっ...。我の素を人間に見られるとは一生の不覚...。今すぐその首掻っ切ってやる!」


「いますぐ、と言ってもどうするんだ?全く動けないんだが...」


「...ははは!勇者よ!我が術中にハマったな!コレは人間を動けなくする魔法なのじゃ!!」


「じゃあアンタは動けるわけだな。さっきから表情すら全く変わってないが」


「ぐっ...。そ、そういうモノなのじゃ。我は動けるし」


「嘘つけ」


「ぐっ...」


「やっぱりお前の魔法ってわけじゃないんだな?」


「...そうじゃ。我は何もしてない。これは予測じゃが、互いの速度が速すぎてゆっくりと見えるアレじゃ」


「そうか」


「そうじゃ」


「...。」


「...。」


「おい勇者よ」


「なんだよ!」


「せっかくだし話そう。そうそうこんな機会はない。人間の感情というものを我に教えよ」


「こんな状況で何を言ってるんだお前は?」


「じゃあいつ動くかも分からないままずっと見つめ合ったままでおるか?お前としても中々ある機会ではないだろう。悪い提案ではないと思うが?」


俺は少しだけ考えた。

もしここまでが全て魔王の策略だとしたら?

次の瞬間動いてしまったら?

...しかし次の瞬間はずっと次の瞬間であって今ではない。

ここはとりあえず、奴の話に乗ることにした。


「...わかった」


「よし。では聞こう。勇者、いや人間よ。お前らはなぜ我を殺そうとしている」


「それはお前が一番わかっているだろう!」


俺は魔王の質問に語尾を強めて答えた。

魔族は今現在、本拠地である魔王城から近隣諸国へと侵攻をし始めている。

侵略の魔の手は早いうちに摘まなければならないということで俺が勇者として派遣されたのだ。


「お前たち魔族は俺たちが国の領土に侵攻しているからだ」


「え、あ?そうなの?」


魔王は拍子抜けな声を出した。


「何を言ってるんだ?」


「いや、そうか...。あれは他国の領土だったか...。普通にただの森と山だったから良いかと思って...」


「馬鹿なことを言うな。村や町、果ては一国すら襲っているだろう!」


「いやいやいや、それはお前たちの勘違いじゃ!そんな命令は出しておらん!そもそも、今国外に派遣しているのは測量隊じゃ!」


「そ、測量隊ぃ?」


「そうじゃ!いわゆる周辺のマッピングじゃ!」


「じゃあなぜ襲っている?」


「だからそこが勘違いじゃ。周辺地域の調査中に立ち寄った村や町の話は聞いておる。実地調査の一体として聞き込みを行おうとしたところ、お前らときたら我らの姿を見かけるやいなや叫びおって話も聞けぬとな」


「そんな馬鹿な話が、」


「じゃあどうじゃ?襲われたと言われる地域で死人はいたか?」


「...確かに聞いたことはないな」


「そうじゃろ〜?お前たちの勘違いじゃ!それを...何処かの勇者様が追いかけなすってブチ殺がしまくっているという話を我は聞いておるんじゃがな〜?」


「...そんなの分かるわけ無いだろうが。それにここに入って来たときだってお前たちは襲ってきた」


「な〜に馬鹿なことを言うか。そりゃそうじゃろ。急に関所で暴れて?入国許可もなしに周辺住民をブチ殺がしまくり?果ては城まで無断で入る殺人鬼集団だぞ貴様らは?襲われて文句があるか?」


「...。」


「どーせあれじゃろ。ここの領土を狙った貴様らの国の馬鹿共に旨いこと利用されたんじゃろ。あー可哀想可哀想。哀れよの〜」


「...。」


「ま、よいわ。我ら魔族は死んだとてお前らのように消えてなくなるわけではない。何十、何百年という時の輪廻の後に記憶もそのまま復活するからの」


「...申し訳ない」


「よいわよいわ」


俺は何故か丸め込まれて謝罪していた。

確かに魔族が現れたから討伐してこいと国から命じられたのは間違いない。

しかし人間の死人が出たという話を聞いた記憶がないのも間違いはない。

俺は間違っていた、騙されていたというのか?


「いや、待て」


「なんじゃ」


俺はとある噂を思い出したのだ。


「魔王、お前は人を殺しているだろう」


「ほう」


「魔剣の女帝と恐れられる由縁。光速の剣技で人々殺め、顔を覚えているものはいないと言われているからな」


魔王はふう、と顔色も変えずにため息をついた。


「じゃあなぜ女帝とわかるんじゃ?見たものは全員がぶっ殺されているのじゃろ?」


「...たしかに」


「声を聞いたってものはいるかの?」


「いや...」


「じゃあ他には?」


「うーん...」


「馬鹿じゃの〜お主。マジクソ馬鹿じゃの。殺し殺したなんていうのは300年も前に人間と争った時以来全くもってないぞ?」


「300年前は殺してるじゃないか」


「そりゃあ我ら魔族がこの地に誕生したときに争いが起きたからの。地獄の使者じゃ〜なんて言いながら襲ってきたわ。というかお前、もうひとつ聞きたいんじゃが。国からの命でここまで来たのじゃな?なんと命じられた?」


俺は国王直々に呼び出されたときのことを思い出す。



───


『よく来た。勇者よ』


『はい。国王様のお呼びとあらば』


『よろしい。お主には直々に命を与える。ここ最近近隣に魔物が出現している。該当地域に赴き、危害を加える物がいれば討伐を許可する。さあ行け』


『はい!』


───


「あー...危害を加える物がいたら、討伐してもいいって...」


魔王は再びため息をついた


「は〜...。自分の勘違いでここまでする馬鹿がおるかの〜?困った困った」


「...申し訳ない」


「まあ良いわ。お主ら人間と我らじゃ生死感が違うからの。死んだもんもそのうち蘇るわ」


魔王は余裕綽々、きっと普通に話していたのなら大笑いしていただろうという風に声を上げた。


「まあ同胞を殺したことは気にするな。お主が老衰でくたばった後にでも蘇るじゃろう。我も蘇るのには大分時間がかかったからのお」


「お前も死んだことがあるのか?」


「そーりゃ当たり前じゃろ。何度となく死んだわ。」


「昔からその姿だったのか?」


「いや、ちがうの。300年前はもっとゴリゴリのおじさんであった。享年2歳じゃ」


「2歳...」


「で、今度は転生したらこの姿じゃ...。恥ずかしくて外も歩けんわ」


「恥ずかしい?なぜだ?」


「そりゃ...」


魔王はそこで言葉を切った。

表情が変わらないので本当のところはわからない。でも多分だが、なんだか何かを気にするような雰囲気を醸し出している。少し目線も泳いでいるし。


「...こんな見た目では目線も気になるじゃろ...」


こんな姿じゃ、と言われ改めて俺は魔王全身を見渡す。

鎧、と言うには余りにも薄っぺらい、最早ただの布切れと言っても良いような服。

そこから伸びた腕は透き通るような白さで、剣を持つには余りにも細かった。

もちろん女性ならでは膨らみだってあるし、顔に至っては大きな赤い瞳を宿した美形だ。


「これ、あまり見るな!」


「ああ、すまない...だが、別に普通だろ」


「普通...?どこがじゃ」


「俺には普通の人間と同じに見えるって言ってるんだよ」


「そこがダメなんじゃ!」


魔王はこれまでで一番大きな声を出した。

思わず僕は全身を震わせる思いだった。


「ぜんっぜんかっこよくないじゃろ!こんな細い腕、細い足!真っ白な肌では魔物とは言えん!乳だって並々ならぬ量あるし!」


「いやだから」


「余りにもブサイクじゃろ!?もっとこう、ゴリゴリでバッキバキ...。ゴツゴツな鋭角に全身包まれてこその美形じゃ!色ももっと闇のような黒黒しさが...ああああ恥ずかしい!!」


魔王はゆっっっっっっっくりと頬を紅潮させた。

どうやら人と魔族では美醜の価値観にかなりの差があるようだった。

人間からしたら魅力的美貌を持つ魔王だが、魔族の中ではかなりの醜女らしい。


「いや、あー...魔王。魔族としてはわからないけれど、人間からしたら、そのかなり美形だと思うぞ?」


「...そんなお世辞など不要じゃ...」


「お世辞じゃないって」


「嘘をつけ!!」


「本当だって!そうだ見てみろ俺の後ろの女!あいつどう思うよ」


俺は多分まだ後ろにいるであろうパーティメンバーの僧侶、サーナのことをみるように促した。


「うしろ...あの女か、まあなんというか。イケてはいないの...」


「そんなことない!サーナ、俺の後ろの女!あいつは相当な美形だと専らの噂なんだぞ!?」


「ほんとかの〜...」


「本当だって!村中、いや国中から注目を集めるような女なんだから!」


「え〜...。だってアレ...。白いしちっちゃいし細いし...それに破けた服から見るに乳はデカいし、ケツも...」


「それが良いんだろうが!!」


俺は今まで生きてきて最大音量の声を魔王の眼前で出した。

もちろん、どうにか後ろを振り向けないかと尋常じゃない力を体中に入れながら。


「ひっ...!そこまで怒るでない!」


「お前がわかってないからだ!わかれ!」


「そう言われたって信じることができん!」


「そうだ!お前たち魔族は死んでもすぐ蘇るだろ!?記憶残したまま!」


「なんじゃ急に...すぐではないが、まあそうじゃの...記憶もあるぞ」


「そうだろ!?人間はそうはいかないのは分かるな!?だから人間にとっての死は重い!お前たちの何倍も何十倍も重い!それと同じだ!違うんだよ価値観が!」


「なるほど...そう言われれば少しは納得がいくの...」


「だろ!?だから俺の後ろの女は人間にとって美しいんだよ!それでお前もあいつと同じくらい、いや、あいつより美しいと言っても過言じゃない」


「へ?」


「あ?」


思わず口を滑らせた。

時がほぼ止まっているにも関わらず、魔王の頬は凄いスピードで赤くなる。


「ななななな、なーに言っとるんじゃお前は!馬鹿にしているのか!?」


「いや、決してそんなことは...!ただ、本当に」


「まだ言うか!この大馬鹿者が!」


「...す、すまん」


「...もうよい」


「...。」


「...。」


「おい」


「な、なんだよ」


「お主、名前は?」


「...名前。トゥだよ。トゥ・アマンダス」


「そうか...」


「お前は?」


「なんじゃ」


「お前の名前は?」


「...アモルじゃ」


「そうか...」


「...。」


「...。」


「...あー、お主、いやト、トゥよ。何アレとかあるかのアレ」


「なんだよ...」


「あっ...ご、ご趣味とか」


「...剣の手入れ」


「ほー...我と一緒じゃ」


「ふーんそうなんだ...一緒ね...。じゃあア、アモル、好きな食べ物は」


「...い、芋とか?」


「あー、旨いなうん」


「そうじゃろ?ははは...」


「ははは...」


「...。」


「...。」


「きょ、今日は〜、あれじゃの。お日柄もよくって感じじゃのー!!」


「いや、外真っ暗だったけど」


「馬鹿!魔族的には真っ暗なのが最高なんじゃ!」


「そういうもんなのか?」


「そうじゃ!」


「人間的には晴天がいい天気なんだが」


「晴天...のお。見たこともないわ」


「太陽をか?」


「そうじゃなー...。我らの魔族の体質だとあまり良いもんじゃあないからの...。体がカチカチで真っ黒ならまだ耐えられるがの。我みたいな貧弱じゃあ即刻昇天じゃ」


「そうなのか...。でもまた生き返ればいいだけだろ?」


「魔族は死んだ場所で生き返る。そんな日当たりの良いところで死んだらもう終わりじゃ。これも同じよの。お主の言う価値観の違いってやつと」


「そう、だな」


「でもあれじゃな。一回くらいなら見てみたいもんじゃ」


「もう蘇れないかも知れないのにか?」


「そうじゃの。生まれてこの方300と何十年。影で醜女と罵られ、ずっと闇の中のさらに影で住んできた我からしたら魅力的じゃの」


「それなら、」


「まあよいんじゃ」


「なにがだよ」


「今日は少しいつもより明るく感じたからの。目の前に太陽でもあるんじゃないかと思ったわ」


魔王そういうとまた、短くため息をついた。


「そろそろじゃの」


俺も気付いていた。

段々とゆっくり流れていた時間が正常に戻りつつあることに。

そして互いに向けられた切っ先が、このままどちらかの首を刎ねるだろうということにも。


「最後に色々話せてよかったわ。ま、どっちが最後か分からないがの〜?お主が死んだらこっそりメソメソしてやろうか?」


「そりゃどうも。こっちも勘違いで来ちまって悪かったな」


「...悪いことあるか、」



そこで、時は急に加速した。

思いとは裏腹に勢いは止まらない。



──悪いことあるか、



魔王、いやアモルとの距離が一瞬で縮まる。



──初めて見られてよかったわい



彼女の喉元をめがけた剣はまっすぐに進む。



──いや、初めてきたような感覚じゃの!







そして、俺の剣は彼女の首を捉えた。









────────





「勇者様ー!無事ですか!?」


僧侶のサーナがパタパタと近寄ってくる足音が聞こえた。


「一瞬でした...!流石です勇者様!魔王一撃でなんて!!」


サーナは傷ついた体で俺を讃えた。

だけれども、俺が見つめていたのは動かなくなったアモル、彼女だけだった。


「さあ勇者様!国まで戻りましょう!あ、その前に手当しなくちゃですね!他のみんなにも伝えなきゃ!」


「ああ...帰ろうか......」


「勇者様...?」


サーナはペタンと座り込み、心配そうに俺をそばで見つめていた。

俺は彼女に目線を合わせて少しだけ微笑んで言った。



───日の当たる場所へ。




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