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近代乙女怪談物語集  作者: 白百合三咲
12/18

七色マーメイド 第1話

人魚姫と七人みさきミックスした話です。

 昔々海の底にはお城がありました。そこには7人の人魚のお姫様が暮らしていました。人魚は昔人間に捕まった過去があり、人間の世界へ行くことが禁じられておりました。6人の姉姫達は言い付けを守りましたが末の妹姫は反抗期で言い付けを破り人間の住む陸地へと向かおうとしました。

 水面下に顔を出すと船が見えます。船の甲板で華やかな舞踏会が行われてます。

「素敵な王子様がいるわ。」

姫は1人の白い軍服の紳士に目を奪われます。

その時突然雷がなり嵐がやって来ました。船は激しく揺れあっという間に海に飲み込まれました。

「大変。あの人を助けなきゃ。」 

姫は白い軍服の紳士の姿を探します。

「いたわ。」

彼を見つけるなり浜辺へと急ぎます。紳士はゆっくりと目を開けます。

人魚は人間に姿を見られる訳には行かないので姫は海へと飛び込んでお城へ帰っていきました。



「何ですって?」

「貴女本気なの?」

「はい、お姉様方。私は人間の世界で暮らします。」

妹姫は人間の紳士に恋をしました。

「私、あの人に会いたいの。」

「駄目よ。人間は危険よ。」

「そうよ、命の保証だってないわ。」

姉達は妹姫を止めます。

「どうして?一番上のお姉様だって王子様と婚約したんだし。私にだって好きな人と結婚する権利ぐらいあるわ。」




 その夜妹姫の姿がなくなっていました。お姉様達がお城の中を探し回りますが見つかりません。

彼女は姉達に内緒で海の底の魔女を訪れていたのです。魔女は薬で願いを叶えてくれる代わりに大きな代償を取ります。妹姫は人間の足をもらう代わりに声を取られました。

そして条件として紳士が他の女性を選んだら泡になって消えることを要求されました。

 妹姫は陸地に上がると薬を飲みます。すると人魚のしっぽはなくなり代わりに足が生えてきます。そして身体には人間の女性が着ているような着物を看に纏っています。これは袴というものだと海に沈んだ本で読んだことがあります。

 妹姫は海岸で船の上で見た紳士の姿を探します。

「君、1人?」

姫は声をかけられます。

振り向くとそこには船で見た紳士がいます。彼はあの時と同じ白い軍服を着ています。

(あの)

声をかけようとしますが声が出ません。

(そうだわ、私は声を取られてしまったんだわ。) 

「公爵様。」

そこに白いドレスという洋装に日傘をさした淑女がやってきました。

「ごめん、琴乃。今行くよ。」

「急ぎましょう。わたくし達の婚約披露会に向けてやらなければ。」

彼は華族の子息で既に婚約者がいたのです。

彼は一礼すると婚約者と共に去っていきました。すると

(嘘?!嫌よ!!私消えたくないわ。)

姫の手は泡になって消え始めます。

(嫌!!)

声にならない叫びと共に姫は消えてしまいました。

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