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近代乙女怪談物語集  作者: 白百合三咲
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紫陽花の少女 第1話

双子のお姫様に同時収録してましたが、分けることにしました。

少女画報編集部様








 ごきげんよう。わたくしは小田原の女学校に通う3年生でごさいます。

本日は編集部の皆様や雑誌に少女小説を掲載されている先生方に聞いてほしくて手紙を書いた所存でございます。

 この話はわたくしのお姉様が体験した話でございます。

お姉様とわたくしが出会ったのはちょうど1年前今と同じ梅雨の季節小雨が降っていた日でございます。わたくしは朝家に傘を忘れ駅で立ち往生し学校へと迎えずにいたときでした。


「君、相模女学校の生徒だろう?」


ふと見ると隣に軍服姿の美青年が立っておりました。

「良かったら僕の傘に入っていかないか?僕も同じ方向だし。傘がないと袴の裾が濡れてしまうよ。」

気持ちは嬉しかったが美青年といえども男性。一緒にいるところを見られたら級友になんと言われるでしょうか?

「安心して。取って食べたりはしないよ。僕は女だから。」

その方はわたくしが通う女学校の専科で法律を学んでいると話してくださいました。


わたくしは女と聞くと安心してその方の傘に入れてもらうことにしました。


 それがきっかけでわたくし達はお昼休みや放課後と一緒に過ごすようになりわたくしは自然と「お姉様」と呼ぶようになりました。

お姉様は「男装の麗人」とでもいうのでしょうか?

清朝の王女が断髪して男として生きると決意文を新聞社に叩きつけたことが話題になり、また西の兵庫県にある女性が男性を演じる「少女歌劇」がわたくし達女学生の間で人気を博し髪を短くする少女達が増えているとは聞きますがお姉様もその影響を受けているのでしょうか?

どちらにせよわたくしはその清朝の王女や少女歌劇のすたあの姿にも似た方を「お姉様」に持つことを誇りに思っておりました。



 前置きが長くなりましたが今日お話しますのは3年前お姉様が女学校の5年生最終学年だった時の話です。


お姉様のご実家は神奈川で名の知れた地主でした。ご自宅は小田原でしたが箱根に別荘をお持ちでした。休日は家族でそちらで過ごし何度かわたくしも連れて行ってもらったことがあります。


別荘には常に管理人ご夫婦がいて普段はその方々が管理しております。馬小屋の備わっておりお姉様が幼い頃から可愛がっている白馬のジョセフィーヌもおります。


乗馬の好きなお姉様はジョセフィーヌに乗って森林を散策するのが常でした。


森林の中の川辺にジョセフィーヌを連れていきジョセフィーヌが川の水を飲んでいる間ご自身は横になり、木々の囁きや小鳥の囀ずりを聞き日々の暮らしから解放される。

これ以上に癒されるときはないとおっしゃっておりました。

 それはお姉様が女学校の5年生の6月のことでした。


「少尉、少尉。帰ってきたのね。」


お姉様がいつものように横になっていると少女が傍におりました。薄紫の生地に桃色と青色の紫陽花が描かれた着物を着ていたそうです。

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