リーリスライドへ
お待たせ
残り1週間と6日、それが僕に与えられた仕事の残り期限。
大罪人ヒュヒュルド・ラウンズが居るリーリスライドまでどれ程の距離があるのかは分からないため僕は朝早いうちにオーリア学院がある中立国ニューラルを出発した。
呑気に歩いて向かうなんて事はせず、賢く行く。そう、僕は馬車を使った。
リーリスライドへ出発する商人の馬車があることを知った僕は護衛という形で乗せてもらうことになった。
商人さんに聞いてみるとリーリスライドまでは休憩等を挟んで約2日くらい掛かるらしい。
向こうに着くのが早くて2日後……ヒュヒュルドの居場所を見つけるのに1日必要と仮定して、十分間に合うはず。けれど、こういった事は初めてだから手間取ってしまう可能性は非常に高い。
上手く事が進んで……5日後には処刑を終えてたら上々かな?
そんな事を考えながら僕はガタガタと揺れる馬車に乗っていた。
最初は馬車を使わず、走って向かうと思ったけれども場所が南西方向にあるという事しか分からなかったから断念した。
今回、馬車の護衛についている僕だけれど他にも同じような人が複数人居る。そのどれもが僕と同じ服ーーオーリア学院の生徒の制服を着ている。
男女ともに3人ずつで、見た感じでは全員が僕より上の学年っぽい。
そういえば、今まで特に気にしていなかったけれど、もしかして学院の生徒って世界中に居るんじゃないのかな?……うん、居そうだね。
今は特にこれといった事は無いから平和。そのため、恐らく先輩の学院生と楽しく雑談を僕たちはしていた。
「フィグラだっけ?君はどういうあれでリーリスライドに?」
そう聞いてきたのがフリッドさん。シュッとした体つきをしてて、一番最初に僕に話しかけてきた先輩でもある。
何故リーリスライドに行くのか?という問いかけに僕は少し悩む。
学院長と同じように正直に答えてはいけない。まぁ、そもそもの話として嘘だと捉えられる感じがするけどね。
何かいい答えはないかと考えて、学院生らしい答えを僕は思いついた。
「見聞を広めるためです。その中でもリーリスライドは他国とは違って奴隷が認められているので一体どんな国なのか気になって」
「なるほど。確かに奴隷が認められている珍しい国ではあるか」
「フリッドさんはリーリスライドに行った事はあるんですか?」
「何回か、こんな風に護衛としてならある」
「どんな感想を抱きましたか?」
見聞を広めるため、と答えからそれっぽい振る舞いをしていかないとね。怪しまれると色々と面倒だから。それに、行ったことある人の感想は聞いておいて損はないはず……
「本当に個人的な感想だけれど、良くもなく悪くもなくって感じだった」
「確かにリーリスライドという国へ初めて行った人はそういう感想を抱きやすい」
「シーラさんもフリッドさんと同じ感想を?」
「似たようなものかな」
シーラさんという先輩女性も話に入って来た。僕以外の人たちはどうやら全員リーリスライドへ行ったことある感じがする。他の人の方を見てみると、頷いていた。
「それで、良くもなく悪くもなくというのは?」
「国自体の景観は良いが、奴隷がチラホラと居るという点がどうも受け入れられなかった。奴隷自体も笑顔のやつは居たから劣悪環境で虐げられている訳でもない様子だったが、苦しそうな顔をするやつは居た」
その時の様子を思い出しているのか顔を顰めながらそう口にした。
生まれてから奴隷というものを見た事がない僕はリーリスライドに着いて、どんな感想を抱くのか本当に分からない。フリッドさんと同じような気持ちになるのか……はたまた、何も感じないのか。
……いや、何を感じるのかとかそんなものは今は関係ない。個人的感情より今は優先すべき事があるからね?
「フィグラが知ってるかどうかは分からないが、奴隷にも色々居るのは知ってるか?」
「おおまかにだけど」
昨日、準備とかを除いて余った時間で調べて勉強はした。
まず、借金による借金奴隷。お金が返せなくて、自分の身を売るこれは一番数が多いとも言われており共通している点が、大半が痩せ細っている事。
次に、犯罪による罪人奴隷。犯罪者が労働力として奴隷となっているこれは、主に鉱山とかの力仕事で使われている。
最後に、契約による契約奴隷。その数は少ないけど、両者の合意の上で片方が奴隷となってもう片方に忠誠を誓うため他二つとは全く違う認識を持たれてる。
「よく知っているな。そして、奴隷には年齢も性別も種族も関係ないという事も知ってるか?」
「はい。それが奴隷ですもんね」
「そうだな」
老若男女問わず、誰であろうと奴隷に堕ちる可能性はある。それこそ僕だってそうだし、学院長であろうと……
無垢な子供ですら奴隷に堕ちるという事には不快感を覚える。これは、転生前の僕の感覚なのかな。
「リーリスライドではそんな奴隷達に暴力を振るっている現場を見るかもしれないが、絶対に干渉しないことだ」
「……それが、認められているからですよね」
「あぁ。奴隷という立場は世間一般では自分達より下の種類。だからその奴隷に暴力を振るっているのが主人だった場合、罪に問えない。ただ、主人でもない人が他人の奴隷に手を出した場合は話は変わるが」
「本当に奴隷制度に好感を持てる要素が出てきませんね。聞いている限りではですが」
「そうかもな。だが、奴隷達にも訳ありの事情がある。それに、中には主人と結ばれたという奴隷が居る話も多いから全部が全部悪いわけではない」
「そうですね」
それでも、思うところはある。
頭の方では理解はしているけれど、感情と呼ぶべき何かが理解しようとしてくれない。
向こうに近づいたら意識を切り替えないと色々と支障が出そうだね。
そう考えていると馬車が止まった。
「さて、皆さん。この辺りで一度休憩を挟みましょうか」
商人さんがそう告げるけど、休憩の間でも僕たちは警戒を続ける。
休憩の間も軽く雑談をしていたけど、野盗とかが襲ってくる事はなかった。そして、この旅の間に僕たちを襲う人影も魔物すらも居なかった。
順調に僕たちは進んで行き、2日後の明朝にリーリスライドへと到着した。
城壁に囲まれたそこは堅牢な都市だと思わせる風貌を醸し出していた。そのせいで、城壁周りにある薄汚れてボロボロな建物達があまりにも歪過ぎた。
「これが、リーリスライド…」
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この作品は不定期投稿なのでブクマをおすすめします
ーー以外雑談、普通に長い時もあるので見なくても大丈夫。
到着。
しかし、そこはーー
何やら不穏な雰囲気ですね。しかし、今は優先するべきことがあるからフィグラには無視せざるを得ない。




