全員集合
間隔空いて申し訳ない。
夢を見てた。
1人の人間が誰かと楽しそうに話してるのを遠くから見ている夢……と思ってたら、今度は一人称の視点になった。
目の前には女性。とても楽しそうな笑顔を浮かべており、何かを話してる。そして、キョトンとしたような顔を見せたと思ったら笑ってるのかな?
とても楽しそうな夢。でも、僕が見てるこの視点はいったい誰の視点なんだろう………知りたい。何故かは分からないけれど無性に知りたいと思えた。
しかし、それは叶わず夢の世界にノイズが走る。そして、電源が突然落ちたようにブツンッ…と真っ黒になった。
「……んー」
「起きた?」
未だボヤッとしてる思考を少し覚醒させるように、そんな声が聞こえてきた。そして、僅かに覚醒した頭で考えた僕は彼女に聞く。
「交代の時間…?」
「どちらかというと、おはようの時間」
「えっ…」
「体休まった?」
思考が固まっている僕にそう聞いてきた。
「え、あ……うん」
カーマさんにそう聞かれて体を少し動かすと、思っていたより動きが軽い事に驚いた。それより…
「もしかして、僕を起こそうとしたけど起きなかった?」
2時間ごとの交代という話しだったけれど、一回も起こされた記憶が無いんだけど?
まさかと思って聞いてみたけどカーマさんは首を横に振って否定する。
「敢えて起こさなかった。2人にはゆっくり休んでもらうべきだと考えたから」
「じゃあカーマさんは一睡もしてないの?」
「種族柄、1日くらい寝なくても特に支障は起きない」
「なら、今からカーマさんは寝てて」
「……分かった」
絶対寝ろ、という意志をカーマさんは僕から感じ取ったのか少し逡巡したあとコクリと頷いてゆっくりと横になった。
種族柄大丈夫だとしても、休める時に休んでおかないとね。
「……大分体が楽になってるね」
手をグッパしながらそう呟く。そして、指輪を操作して周辺地図にみんなの点がないか確認をすると、遠くの方に複数の青点が映っている事に気がついた。
「みんな、かな?ーーーーうん、みんなだ」
しばらく見ていると集団で僕たちの方に進んでくる青点を見て僕は確信をする。
よかった……これで全員集合だね。今日含めて残り2日、未だ問題の解答が分からないけれど僕、思うんだ。
答えが分からなくても、みんなと一緒に楽しくやれたらなんでも良いんじゃないかな?って……でも、それではダメだから今分かってるヒントから少しだけでも予想とかしてみようかな。
それから、みんなが僕達がいる部屋の近くに来るまでの間、僕は解答を考え続けた。そして、みんなが来ている事に気がついた僕は思考を止めて部屋の扉を開けて待つ事にした。
黒仮面を被り、【死の大鎌】を槍にして待っていると、ゾロゾロと集団の気配を感じ取った。ドキッと心臓が跳ね上がる感覚がする。
そして…
「うおっ……あぁ、フィグラか」
「敵かと思ったじゃない」
「あははっ。おかえりー、みんな」
たった6時間だけだというのに数年ぶりに再開したかのような気分になった僕は、それを悟られないようにしながらみんなに向かってそう言う。
これで、全員が揃ったね。今日含めて残り2日……勝つためにはやっぱりあれしかなさそうだね。あとでみんなに提案をしてみよう。
「そうか……なにより、3人とも無事で良かった」
みんながやられた後にどうなったのか事の顛末を教えるとトーン君はそんな感想を述べた。
「強襲を察知できなかったのと、何も出来ずにやられたのは申し訳ない。それより、動かないでいる間に考えた事だが……このまま探索してヒントを集めて解答を導こうとしても絶対に無理だと思うんだ」
「それは僕も思うよ。だから、僕は考えたんだよ。
他クラスの人と協力し合う。ってね」
それが僕が考えた結論。
既に多数のヒントを集めている他クラスの人たちと協力して互いに持つ情報を一つにする。そうでもしなければ答えは導き出せないんじゃないかと思う。
そう思って言ったんだけど……みんなの反応は賛否両論だった。
「どこかのクラスが抜け駆けするんじゃないのか?」
「向こうがそもそも本当の情報を渡してこないかもしれないですし……信用できないです」
「でも、そうでもしないと答えが分からないよ」
「この世界で誰がいちばん強いのか……現時点で考える答えは、学院長と他国の王様とか?」
「思いつくものを総当たりでやってみるか?」
誰かがそう提案する。そんなゴリ押し戦法が通用するのはほんの一部のものだけであって、選択肢が無数にある場合は意味がないんじゃないのかな。
「解答をこのクラスは一回もしてないから、どういう感じなのかは分からないわよ……誰か一人行ってみるのはどうかしら」
「それなら私が行く」
リアネちゃんがそう言うと、先程まで寝ていたはずのカーマさんがすくっと起き上がってそう言う。絶対に起きてたよね。
「カーマさんは貴重な戦力でもあるから……うーん」
「今の私はみんなよりかは疲れているし、戦力になれるかどうかは怪しい……だから、私が行く」
少し疑問に思うところがあったけれど、疲れているのかは本当の筈だよね。
「…なら、カーマは学院長の所へ行ってくれ。道中襲われるかもしれないから誰かもう一人ついて行ってくれ」
「それは僕が行こうかなー?」
手を上げてそう言う。
「フィグラがか?」
「うん。僕自身もまだ完全に体力が戻ってるわけじゃないけれど、対人なら余程のことがない限り負ける気はしないしね」
それに、もし道中で他クラスの人と遭遇したら提案だけでもしてみようかと思ってる。まぁ、その前に襲われたら返り討ちにするつもりだけどね。
カーマさんは自分の睡眠時間を削ってまで僕とキルナ君をゆっくり休ませてくれたし、そのお礼もしたいんだよね。
「…戦闘特化の二人が抜けるのは痛いが、仕方ない。二人とも頼む。俺たちは引き続きヒントを集め、同時に試練官もこなしていくぞ」
トーン君がそう言い終わると同時に、全員揃った僕たちは動き始めた。
誤字脱字があれば報告の方をお願いします。
この作品は不定期投稿なのでブクマをおすすめします
ーー以外雑談、普通に長い時もあるので見なくても大丈夫。
ちょっとこの作品の話を書く気力が無く、新作の方ばかり書いてました。
しかし、このクラス別競争の終わりというのは既に決めたのでお楽しみに……そして、これが終わって次の章では現在考えている感じでは少し面白くしようかと思ってます。
新作はもう少々お待ち下さい。
ちょっと雑談する前に、この気力がある今次話や新作の方も書いていきたいので終わります。
では、またね。




