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93話 『S』ロード 


 私のなまえは『西田ひかり』です


 捨て子だった私に誰かが、その苗字と名前をつけてくれたみたいです


 中学を出て働きました。

 学校の給食の調理の手伝いでした。

 続きませんでした。

 施設から遠いけど、大きい会社の社員食堂でも働きましたが、

 邪魔みたいだったので辞めました。

 未成年で風俗で働きました。

 結構長く続けれたけど…

 捕まりました。

 私は施設を出ました。


 そして


 流れ着いた、住み込みできるSMクラブで、

 2歳上のユキノ先輩に出会いました。


 口は悪くて、むちゃくちゃ怖いけど、

 暗くてクチベタで気の弱い、私を可愛がってくれる


 とてもやさしい大好きな先輩です。


 ユキノ先輩と、出会ってからリスカする事も無くなりました。



――――――――――――――――――――――――――――――




 天まで届くバベルの塔を昇り続ける広いリフトの中央で、


 一人あぐらで座る、ユキノの元後輩SM嬢の卑弥呼(メロンレディ)は…

 いつも頭部を隠すマスクメロンを腰の横に置いている。


 赤のボンデージを着た、肩までの長さの金髪の後ろ姿…

「もう…目が限界しんどい、もうカラコン外す…ここまで来たら、もう瞳を隠さなくていいよね…(サタン)


 緑のカラーコンタクトを外す…

 もう一つも…


 その両瞳はグルグルの『渦巻き』


「ああ~超久しぶりにコンタクト外したら、きもちいい~」


 パコっとマスクメロンを被ると、


 ドゥ――――…


 低い音が、


「上で、塔の下で無駄な戦いを止める&時間稼ぎ役を買って出た『トール』がユキノ先輩と戦っている? (*'▽')」


 スマホを胸の隙間から出して、

 写真を押し、


「死んでから地獄で たくさん写真撮った イブともババアとも (._.)」


 ↑にスライドしていく…

 一緒に新宿のバーで酒を飲む、

 咥えタバコでグッドサインのユキノと、

 Ⅴサインの卑弥呼のツーショット写真がある、

 その卑弥呼の髪は黒くて肩までで、唇を噛んで微笑んでいる。

 そこを開き…


「ユキノ先輩… (._.)」



 この写真は、ワタシとユキノ先輩が死ぬ前の深夜、二人で飲んだ時…

 『S』ロードの始まりの12時間くらい前だったかな…




「ユキノ先輩…すごい…こんなにたくさんお(さつ)…」


「おう! 最近は毎日、池袋でナンバー1よ! 卑弥呼、今日は全部ごちるわ!」


「ユキノ先輩ありがとう…」


「最近、上客の常連が来てんの。  毎日8時間予約してくれてオプションもフル。   しかもね『S』uper『M』axコース…しかもソイツ、部屋に入ったらすでに『目隠し』『サルグツワ』『リード付き首輪』で四つん這いのスタンバイ状態   …どんだけ変態やねんって!!」


「ワタシなんか…一日、一人いるか…いない時もあるし…ユキノ先輩すごいです」


「まあワタシんち、リウマチの母と認知症の父がいるからね、ワタシは人一倍稼がないとね」


 昔からずっと話すのが苦手な私は… 

 人との会話に入って行くタイミングが掴めなくて…

 話相手が話が終ってから… ずれた話をしてしまう…

 ユキノ先輩、だから間を作って話してくれてるけど…

 なかなか難しい…



 数日前にチーフから…

 今月でクビと伝えられている…

 ユキノ先輩は、辞めたら、また会ってくれるのかな?

 足手まといの私を…

 たぶん無理だよね…



 私は若いと言われるだけの18歳

 でも この世界

 なにも無いじゃん



 ドンドンドン!


《 卑弥呼!? 大丈夫か!? トイレ長えぞ! 》


「うん…すこし酔っぱらったかな…眠ってたみたい」


《 そう? なら途中まで一緒に帰ろうよ 》


「うん」


《 店ん中で待ってるよ 》


「うん」


 ありがとう ユキノ先輩 最後に楽しい夜を…



 便座から立ち、ドアを開ける…


 

 住み込みのアパートに辿り着く。


「もうシャワーはいいや…」


 ピコン


 ラインが鳴り、開く、


 ユキノ先輩からだ…


―――――――――――――――――――――――――――


大丈夫?

ちゃんと帰れた?



            うん!あざっす!(*'▽')

            ゴチでした!(´▽`)

 

じゃあ、

また明日な?



            先輩ありがとう(´;ω;`)

            こんなワタシに(´;ω;`)



気にすんな

だけど

ラインと実際話す感じ全然ちがうよね

卑弥呼は?



            そうかな(^_-)-☆

            顔見せなくいいからかも(^ω^)


客少ないなら

仕事でもさ

ラインみたく明るくしてみたら?

仮面被ってでも?



            やってみようかな(;^_^A

            ユキノ先輩がいうなら・・・




ほじゃ

おやすみ


がんばれ



            おやすみなさい (*'▽')



―――――――――――――――――――――――――


 『だいすき』と最後に書きたかったけど…

 先輩を苦しませるかもしれない…

 苦しまないかもしれないけど…


 前夜から用意していた自殺用に結んであるビニール紐をトイレのドアノブにかける。

 結んだ紐を首にセットして、

「ふう~~ふう~~…よし…」


 その時…


 敷布団の下から…


 スル~~っと鎖が出てきた?


 幻覚? クスリは最近やってないけど…


 黒い鎖の先は蛇…


《 西田ひかり 》


「うん…そうです…」


《 オレにその命をくれないか? 》


「なんで?」


《 ユキノと… 》


「先輩?」


《 一緒に死んでくれ、明日、SMクラブ『ヘブンズドアー』で 》


「なんで? ユキノ先輩と?」


《 ユキノは混沌(カオス)のお墨付きを貰い、オレの後継者候補の女 オレはまだユキノの姿しか知らなくて どんな人間かは知らないけどね 》


「なんの後継者なんですか?」


《 オレはサタン 》


「サタン? 魔王? あなたが?」


《 ずっとこの世の悪を取り仕切ってきたけど オレはもう今の時代ついていけないんだよね 悪の神も世代交代が必要 だから次の世代のサタンを造るため地獄で『S』atanロードが始まる 》


「サタンロード? ユキノ先輩がサタン…? 」


《 明日、ユキノと一緒に地獄に堕ちて欲しいんだ『西田ひかり』…ある理由があって時間が無いんだ 》


「地獄…」


《 もし受け入れてくれたら… 『西田ひかり』には、頼みたい使命もある 》




 使命を聞いた…




「 いいよ ユキノ先輩が神様になれるんだよね? これからの時代の?」


《 おまえの使命の「最後の審判」を越えたらおそらく… だけど『S』ロードはヤラセ無しの 知力・体力・時の運 すべてが必要な命がけのガチの試練だから サタン継承を成す確率は極めて低いだろうけど 》


「ユキノ先輩なら ぜったいになれる あの人がならなきゃダメ」


《 西田ひかり… 》


「こんな私の命が…これからの私と同じような人の役に立てるのなら…」


 『 よろこんで 』


 心から、そう強く思った。


《 本当にありがとう これで『S』ロード計画の同志(メンバー)は全て揃った 明日は頼む… 》


 私はリスカの跡を見た後に…


「私が地獄に堕ちたら…地獄デビューできないかな?」


《 地獄デビュー? 》


「高校デビューとか分かる?」


《 地味なのが派手になる…みたいなの? 》


「うん…髪も金色に染めてみたい、マスクメロン大好きだけど、生まれて一回しか食べた事ないから、いつでも食べれるようなのがいいな…性格もまるでラインのような性格で…」


《 うんうん…他には? 》


「やっぱりSM…」


《 SM 》


「ユキノ先輩とのつながりだから…」


《 分かった オレのチカラの一部『S』パワーを与え… 『西田ひかり』の希望を叶えよう…」


「名前は、私のハンドルネームの『メロンレディ』にして…『西田ひかり』はもういらない…」


《 分かった では…地獄で待っている 地獄では残り少ない時間を大切にしろ メロンレディよ… 》



 

     ガタン



 リフトが最上階で止まる。


 そこには同志トールの死体。

 ケルベロスの3人。

 四つん這いで眠って動かない中年奴隷。

 ユキノ先輩の姿は無い。


 ケルベロスが、焦って!


セント 「メロンレディ!?☆」

ショウ 「くそ!! やばい!! 俺達だけでメロンレディなんて無理ゲ―!」

リュウト「ユキノ様は一人で頂上決戦に行った! メロンも行け!! 俺達を無視して最後の戦いへ!! ユキノ様と決着つけろ!!」


 ワタシはチャッカマンで金色の巨大ロウソクに火を付けた後に、

 階段へ走り!


「さあ~~イブを助けて~ユキノ先輩との決着にいっくよ~~ (´▽`)」


 階段を駆け上がる。

 





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