92話 ロンギヌスの槍
広き石畳の頂上…
一番乗りはイブ、
【エデン…】
剃髪の上の魔王アスタロトの黒いレディースハットのツバを、上にずらし見上げる。
真上にあるは、地獄の赤い空にうねるブラックホール。
その周りはウジャウジャと飛竜ワイバーンが沸いている。
【ゆけ! ワタシにまとわりつく蛇!!】
黒き鎖のドレスの鎖蛇を放つ!!
グ―――――――――――――――――――――
蛇の口にはカギの先が向けられている!!
ブラックホールに突入すると、
黒から青にス―――… うねりも消えた…
それを見たイブ…
【 ただいまエデン アダムとワタシのふるさと 】
その時…
エデンの横に、食虫植物の様な巨大な時空の隙間が少しずつ開きだす…
グググググゥゥゥゥ
【 やはりきたか創造主… 実体で… 】
巨大な黄色い瞳から。
<●>「 イブ 目を覚ませ 」
その時、
ヒュ―――――――ン
下から、黄金の鎧・アームメットヘルムのトールが▲(三角)羽で飛んできた…
【 くっこのタイミングで…天界最強のトール… 】
しかし、トールは角度を下げて、下の階の周りを凄い速さで旋回し始める。
鎖蛇の頭がエデンから戻って来て、
《 心配するなイブ トールとオレは同志だから 》
グシャ!!
下の階の石壁をトールが突き破る音がした。
《 下は、閻魔女王とトールでバトルを始めるようだ さてと… 》
サタン… 『渦巻き』の瞳で『創造主』を見て、笑む。
《 20xx年 ついに おまえの時代が終わる 》
<●> 「おのれぇぇ裏切者がぁぁ!!!」
食虫植物の隙間の眼力が直視できないレベルに!
無数いたワイバーンたち!
ヒュヒュヒュヒュヒュっと堕ちていく!
イブは全くの無事だが鎖蛇は苦しむ!!
《 ぐぎゅぅぅ!! 潰れるぅ動けないぃ クソがぁぁ『気合』だぁあ!! 》
<●> 「イブ!! そのヘビの正体はルシファー(サタン)!! そしてアダムはすでに死んでいる!!」
【 なに? 】
鎖蛇はイブを見つめ、
《 イブ!! 『創造主』へ放て!! その右手の宿命の槍『ロンギヌスの槍』を!! 》
<●> 「イブ!! ルシファーを殺せ!! その槍で!!」
【 ロンギヌスの槍の残数は2… 】
イブは鎖蛇の頭へ『ロンギヌスの槍』を振りかぶり…
【 もち蛇いくっしょ!! 】
顔面蒼白の鎖蛇…
《 ちょいちょぅぉいちょいちょい 》
創造主は黄色い瞳を垂らした直後…
【 ……ふんは!!! 】
ブ――――――――――――――――――――――ン
<●> 「なぜ? イブ?」
瞳の中心からやや右側に槍は刺さっている。
【 クソボロだけど…ロンギヌスの槍はもう一回だけ放てる 創造主あなたが死ぬ前に答えよう よく聞け 創造主にルシファーのバカ二人 】
イブは槍に宿った魔力で
ス―――――――――――っと投げた後に戻ってくる『ロンギヌスの槍』を右手に戻す。
創造主の瞳は徐々にパズルの様に崩れ始める…
鎖蛇は、イブを見て…
《 そうかい 『ロンギヌスの槍』…最後の一撃で…オレを殺すんだね?》
顎を少し上げて、強く目を瞑り…
《 いいよ… イブに殺されるなら… 》
瞑った目の隙間から一粒の輝くナミダが…
【 アホか? おまえ 】
《 え? 》
左手の青いティファニーのバッグを鎖蛇に突き出し…
プルプルと震わせ、コメカミには血管が浮き出ていた。
【 ふざけんなよぉ このクソザコヘビィィ…おまえぇぇルシファーだったのかががぁぁ… 創造主はぁぁ嘘を言えないんだよぉぉ!!】
《 うっ 》
【 このバッグの中のドブネズミを…アダムだと~? 創造主に魔法かけられたぁぁ? エデンの扉を開けたら創造主出てきて殺したらアダムの魔法が解ける~? 】
《 あわわわ… 》
イブは今までずっと大事に持っていた、青いティファニーのバッグを投げ捨て、
【 言え…鎖蛇 おまえがアダムを殺したのか? アダムのスキル『王様ゲーム』は おまえがアダムを殺して強奪してたのか? …おまえベリアル同様に『サーチマニア改ざん』を持っていたな?】
《 うっ… 》
目を瞑った鎖蛇は沈黙を続けるが、ついに…
《 ああ そうだ オレが アダムを殺した 》
『渦巻き』の瞳が笑む。
《 ころせよ イブ アダムを殺したオレが憎いだろう? ころせ 》
【 ヘビ おまえは殺さない 】
《 なに? 》
イブは己の首に『ロンギヌスの槍』をつける。
《 待て!! イブ!! やめてくれ!! 》
<●> 「や…め…ろ…イブ」
【 ワタシは『不死』『自然治癒(強)』『創造主の加護』を与えられてるけど…『ロンギヌスの槍』なら死ねる…ワタシが死ねば‥‥ワタシのエキストラチート『伝播』で…この世もこっちも天国もヒトは全て死ぬ… 】
<●> 「…イ…ブ…ほん…き…か」
【 あんたが創ったワタシ(ヒト)をぶっ壊してやる… ワタシにはその権利もある あんたを先に殺したのは逃げられたら永久に殺せないから… 】
《 やめてって!! イブやめろって!! 》
【 クソヘビ お前の大好きなヒトが誰一人居ない世界で永久に生きろ 】
イブはロンギヌスの槍を首からすこし距離を作り、
【 もうアダムの無い世界に 生きてる理由は無い 】
その時!!
ガシャ――――――――――――!!!
岩に砕ける高波の様な、石床を砕き散らす衝撃に! イブは吹き飛ばされる!!
【 黒いムチ!? 閻魔女王の!? 】
《 あのトールがムチに巻かれている! 》
吹き飛んだ『ロンギヌスの槍』は… 見えなくなる。
イブは憤る!!
【 閻魔女王のクソがぁあ!! 】
その時…
パタパタパタっと
白い天使の羽で、やっと頂上まで上がってきた、黒の胸当てを装着した金髪ベリーショートヘアで小柄なワルキューレが到達…
その左手には…
『ロンギヌスの槍』
『イブ』『鎖蛇』『崩れゆく創造主』の一同、
ワルキューレに一点集中…
それを見たワルキューレ、
「最高のモンを手に入れたわ…『フェンリル』の不意打ちで奪われたオーディン様の【ドロップアイテム】を…」
右手で、腰の魔法剣 Fを抜き、
「創造主が崩れていってる? 鎖蛇はクソ女じゃなくて…ワタシが『ロンギヌスの槍』で殺し…イブは永久に魔法剣の『F』antasy(幻想世界)に封印させてもらう… オーデイン様とワタシは対イブ専用で選ばれた二人だからね…」
もはや崩れ過ぎて 言葉を発せなくなった創造主…
心で、
まさに招かざる客 ワルキューレ…
ワルキューレ お前の言った、それは幻想だ
だれにも伝えてない事がある…
『ロンギヌス』はヒトでしか 放てない
それに圧倒的に弱いお前が死ねば
最後の最強の仏体Ⅹシリーズ type C
ジズが発生してしまう
そうなれば最後の希望…
閻魔女王は死んでしまう
ん?
もう1人… ヒトが近づいてきている…
メロン?




